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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
4.5章〜魔王城殺人事件編〜
290/727

第281話『■の国』

お待たせしました。

第281話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※誤字があったので修正しました。

 一方、■の国では。


 ――かつてここは毎日旅行者が訪れるくらい豊かで賑やかな国だった。


 そこに住む人々は喜び、笑い、時に悲しみ、それでいて法律によって秩序が守られている平和に身を置きながら暮らしていた。


 この国はとにかく暑いことで有名だが、その対策として全建物内に風魔法を用いた冷房の設置。天然で出来た氷を細かく刻み、そこにシロップをかけて食べる、日本でいうところのかき氷も販売されていた。


 なんて画期的なアイデアなんだ――当時は大盛りがありだった。冷風とかき氷が開発されたおかげで観光客が来て、経済が飛躍的に良くなった。■の国の名物になった。


 人も増えてきた。ここに引っ越してきた人さえいた。


 そして国はどんどん大きくなり、やがて大国と呼べるほどに成長したのだ。


 侵略者が来ても、この国には特別な強い結界が張ってある。


 悪意ある者や、破壊しようとするもの一切を通さない。そういう結界だ。


 その結界は大国になったからセキュリティ意識を高めるために張ったわけではなく、はるか前からこの大地にその結界は張られていた。


 大昔からこの国は守られていた。おかげで今、世界を破壊しようとするゼウスの雷さえも、この国には通用しない。


 たとえ世界が滅んでも、この国だけは生き延びる。



 しかし、今この国には――


 肝心の人がいない。かつての賑やかさが嘘のように無くなっている。


 国と歴史は守られても、人がいなければ意味がない。“かつてそこにあった文明”という“跡“が残るだけだ。


 ■の国に他に残されているのは、建物と設備と、人が暮らしていたであろう生活の跡だけだった。


 なぜ人がいなくなったのか。


 それは――300年の間に起きた結界でも防ぎきれなかったほどの大きくて巧妙な災害。これにより■の国だけではなく他の国にも影響を及ぼした。しかも1回だけではなく何回も何回も……まるで世界そのものが人類を本気で追い出そうとしてるかのように……。


 その時の犠牲者達は今、この国のおよそ1割を占めるほどの巨大な墓地の中に眠っている。


 あまりに多くの墓標。それはこの世界で起きた災害によって大量に増えてしまった。


 そこに魂はない。


 これは犠牲者の数を視覚的に示すもの。悲しみの大きさを表すもの。


 墓標に対する価値観は国によってそれぞれ違うが、この国はそういう文化だ。決して災害時の悲しみを忘れてはいけない。そう教え込まれている。


 はるか昔から――


『ここが……あの■の国?』


『ああ……ずいぶん変わってしまったがな』


 静寂に包まれた国に2人の冒険者が現れた。


 華奢な女の名前はミユウ。体格が良い男の名前はダイゴ。


 2人は元々、アクタ達と共に火の国の基地で暮らしていたが、ブロンズちゃん達がダストを探しに行ってから別行動をしようとした時に、アクタにある国の大きな墓標の下にある人物の身体があるから、掘り起こしてほしいと頼まれていたのだ。


『ねえ、本当にここで合ってるの……?』


 広さのわりに静寂すぎるこの国に不気味さを感じたミユウは、■の国に入るのを躊躇している。まるでお化け屋敷に入る前から怖気づいているように。


『ああ、アクタさんから■の国の墓地にある人物の身体が眠ってるから掘り起こしてほしいと言われたからな』


 お化けが出そうな雰囲気でも冷静なダイゴは、遠慮なしに■の国へ足を踏み入れた。


『ま、待ってよ!』


 ミユウはダイゴの腕をぎゅっと掴み、離れなかった。


『仕方ないな』


 ダイゴは怖がりなミユウに少し微笑み、そのままカップルのように離れることなく共に歩いた。


『ねえ■の国ってさ、こんな感じだっけ? もっと暑かった気がするんだけど?』


『確かにそうだな。前にここに来た時はあまりの熱暑で倒れるかと思ったが、今はなんというか……静かで……肌寒いな』


『それに、何でこの国には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』


『そこは俺も気になっていた。■の国の敷地に入った瞬間、ピタリと雷が来なくなるとはな……』


 世界の全てを穿つ雷は魔王城とこの国にだけは落ちてこない。特別な結界が張ってあるからだ。


 だがそれだけでは説明がつかない。結界を張るには術者が近くにいる必要がある。しかしここに人はいない。じゃあなぜ結界が発動し続けているのか……。


 それは――


 ある人物の身体。


 それは死んでいるようで生きている。生きているようで眠っている。不思議な存在だ。


『ここだ。アクタさんの言う通り、この墓標だけ強い魔力が帯びている』


 ダイゴとミユウは数ある墓標の内の魔力を纏った“特別な墓標”を見つけた。


『この墓標の下を掘るの? 大丈夫なの? バチとか当たらない?』


『アクタさんが言うなら大丈夫だろう。それに今はそんなこと言ってられるような状況じゃない。アクタさんはここに埋まっているものを必要としている。きっとそれは――』


『ねえダイゴ』


『何だ?』


『あなた、そんなに喋る性格(キャラ)だっけ?』


『……俺自身も驚いている。今まで俺はそんなに喋る機会が無かったからな……会話してみると意外と俺は喋る方だって分かってな』


 ダイゴはそう話しながら、“特別な墓標”の下の土を素手で掘り始めた。


 すると――


『ん? これは……?』


 黒い棺桶のようなものが、土の中から顔を出した。


 それは一見普通の棺桶に見えるが、この棺桶自体に物理ダメージ、魔法無効の結界魔法がかけられていた。普通に開けるために触れるのも物理ダメージとみなされ、弾かれる仕様になっている。


『これは……何で棺桶に強力な結界魔法が?』


『分からないが、アクタさんは起こしてきてほしいと言っていた。つまり、この中に誰かが眠っているということだろう』


『眠っている……? 普通、棺桶って言ったら遺体が入ってるわよね? なのに眠ってるってどういうことなの?』


『分からない。とにかくこの棺桶を開けてみよう。ミユウ、結界魔法を解いてくれ』


『わ、わかったわ』


 ミユウは両手を前に出し、結界魔法を解いた。


 そして触れられるようになった棺桶を恐る恐る開けてみた。


 するとそこには――


『……え、うそ……な、なんで……?』


 2人は棺桶の中の人物を見て驚愕した。


 なぜなら――


『……間違いない。棺桶に眠ってるこの人は――』


第281話を見て下さり、ありがとうございます。

……次回の更新なんですが、来年……ではなく今日の20時頃にもう1回投稿します。その更新分で4.5章は終わり、次は5章になります。来年すぐに5章の更新と言いたいところですが、すみません。ずっとやってなかったこれまでの話の改稿を優先させて下さい。


ちょっと今のペースでやると、改稿ができる余裕がないので、そうなると作品として中途半端な状態が長く続くことになります。それは作者的にもモヤモヤしたままだし、なによりこれから話を振り返りたい読者様の為にも改稿を進めてしまおうと思います。


その言い方だと5章の更新はずいぶん先になるのではと思われる方もいらっしゃると思いますが、その点はご安心下さい。あくまで“改稿を優先”に進めるだけで、更新自体はします。ただペースは下がってしまう可能性が高くなってしまいますが……。


長くなってしまいましたが、色々と不安定な作者で申し訳ございません。


前に言いましたが必ず完結させます。これだけは絶対です。


これからも何卒宜しくお願い致します。


最初の方で言いましたが、本日20時頃にエピローグの更新がありますので、そちらの方も宜しくお願い致します。

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