第274話『声を荒らげた男は希望を求めない』
お待たせしました。
第274話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※今回は文字数少なめなのでいつもより内容が薄いかもしれません。
『ん? なんだよしびれ粉って?』
あまり聞き慣れない単語に困惑したフランはエレックにそう質問をした。
『しびれ粉とはその名の通り、体内に入れる事で身体中がしびれて動けなくなる粉ですよ。しかもこれ魔法を使えなくすることもできます。犯人はダストさんの身体にこれを入れて完全に動けなくしてから殺したんですよ!』
『うん、だから私がそれを作って、ダスト君の口の中に入れてから殺したんだよ〜』
などと狂気じみたサイコパスのように言っているが嘘である。そもそもケールにはしびれ粉のような魔道具を作れるほどの技術は持ち合わせていない。
『あなたにかぎってそんなはずはないです! あなたの強さならそんなもの使わなくても十分勝てるでしょう!?』
エレックの言う通り、ケールの実力ならばダストを倒すのも苦ではない。故にわざわざしびれ粉など飲ませてから殺す必要性がないのは、エレックだけではなくここにいる全員が、推理が大の苦手なフランですら理解できることだ。
『確かにそうだけど、さっきエレックさんも言ってた通りダスト君って警戒心が強くて、いざという時に保険をかけて逃げ道を確実に確保する賢い人なんだよ〜。だからそんなすごい人を相手にするならこれくらいしないと勝てないと思ったんだ〜』
ケールの言うように、ダストはこれまで殺された経験があったからこそ警戒して、強い相手に対してもどんな場面になっても逃げられるように常に保険をかけることを心がけている。仮にケールが本当の犯人だとしてもダストならなんとか逃げられるだろう。……ダストはケールに1度殺されているから尚更だ。
『ケールさん! 嘘をつかないで下さい! あなたは犯人なんかじゃない! もし犯人を庇ってるのならもう辞めるんだ! それは犯人のためにならない! やったことにはきちんと罰を受けて秩序を保つ! これが欲ばかりの醜い人の世を混沌に貶めない唯一の方法なんだ!』
『ちょっと後半何言ってるかよく分かんなかったけど、私は嘘ついてないよ〜』
『じゃああなたが犯人である証拠はあるんですか!』
『だからさっきから自白してるじゃん』
『いい加減にして下さい! 私はもう犯人は分かってるんだ!』
エレックは持ち前の俊足で犯人の1人である女の子を捕まえようとする。
『犯人はあなたですね!』
エレックの大きい手が犯人の女の子の身体に抱きつくように掴もうとする。しかし、その女の子は瞬時に自分のハンマーでエレックの手を弾いて、更に反撃を繰り出そうとする。
『くっ……!』
犯人を捕まれられなかったエレックは更なる反撃を恐れ、後ろに下がって距離を取った。
『はぁ……はぁ……』
エレックの手はゴールドちゃんのハンマーによる打撃をモロに受けて、指が何本か紫色に変色し使い物にならなくなってしまうほどのダメージを受けたが、それでも表情を変えることなく話しを再開した。
『……犯人はあなたですよね……ゴールドさん』
エレックはついに犯人の正体を明かした。いやいやそんなわけねえだろとこの場にいるほとんどが信じていなかったが、ゴールドちゃんのらしくなく悟ったような真剣すぎる表情を見て、本当にゴールドちゃんが犯人なんだと理解した。
『……ああ、もう誤魔化しても無駄だろうし自白してやるよ。そうだよ、アタシがダストっちを殺した』
ゴールドちゃんはハンマーを肩にかけながら犯行を認めた。
『嘘だろ……何でお前が……ダスト兄ちゃんを……?』
どうしても信じられなかったフランは、ゴールドちゃんに詰め寄る。
『ごめんなフラン。それは話せねえ』
『何だよそれ……意味が分からねえよ! 何で話せねえんだよ!』
『話せねえもんは話せねえんだ。それに理由を話したところでどの道アタシは仲間を殺した殺人鬼だ。アタシとはもう関わらねえ方がいいんじゃねえのか?』
『何言ってんだよ! 俺達は300年も仲間だったんだぞ……だから、お前が……お前が理由もなしにこんなことするような奴じゃねえことくらいは知ってるぞ!』
フランはゴールドちゃんの自白を受け入れつつも、何か訳があっただけで私利私欲のためにやったわけではないと信じている。それは他のみんなも同じ思いだ。家族や仲間はもちろん、知り合ったばかりの者でさえゴールドちゃんを信頼している。
『フラン……』
『だから……本当の事を話してくれ……何でダスト兄ちゃんを殺したんだ……?』
『それは――』
ゴールドちゃんも本当の事をみんなに話したい気持ちでいっぱいだが、今回ばかりは責任が重すぎる。もし喋ってしまえば、うっかり口を滑らせたじゃ済まない。世界が救えなくなる恐れすらある。
『すまねえ、やっぱり言えねえ。いや正確にはまだ言えねえんだ』
さっさと喋って楽になりたいゴールドちゃんは震えて握り拳を握った。
『まだ?』
『ああ、実は近い内にある男がここにやってくる……はずだ。その男が来たとき、アタシ達に降りかかる問題は全て解決する』
『ある男が……全てを解決するだと……?』
――その男が魔王城に現れた時、誰もが驚愕の声を上げる。
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