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第19話『何もないはずの地下』

お待たせしました!

第19話できましたので、宜しくお願い致します。


※改稿しました。ストーリー・キャラ設定等は変えてません。

※2022年2月6日改稿しました。

※文字数少し多めです。

『魔王様、本日はお疲れ様でした! おかげで良いものが撮れましたよ!』


『ソレハ……ヨカッタネ……』


 魔王はまるで生まれたての小鹿の如く、プルプル震えていた。今にも真っ白に燃え尽きそうな感じだ。


 赤髪ちゃんは、そんな弱っている魔王に見向きもせず、投影器具の先程撮った写真を見てはぁはぁと変態の呼吸を繰り返している。


 赤髪ちゃんも魔王も、それぞれ美少女がしちゃいけない顔をしている……。


 赤髪ちゃんはグヘヘと不適な笑みを浮かべながら修練場をあとにした。


 そんな赤髪ちゃんは、端から見たら完全にヤバい奴である。いやガチでヤバい奴だったか。


『なあ、もしかして普段爺さんに変身してたのって、これを避けるためでもあるんじゃ?』


『ソレモアルネー』


 今の魔王には覇気が感じられない。まるで感情を失った壊れたロボットのようだった。


『なんというか……頑張れよ』


『アリガトウネ』


 ダメだこりゃ。


 もうこれ以上見てられないので、退室しようとすると、魔王が俺に死にそうな声でこう言った。


『あ、今日は好きに過ごしてて。ただし魔王城の外には出ないでね。庭くらいならいいけど』


『あ、ああ……』


 そういうことなら、今日は適当に部屋でくつろいでようかな。なんか激しい運動でもしたかのように身体がやけに疲れてるし。


 俺は修練場をあとにし、自分の部屋へ戻った。


 だが、いざ部屋に戻ってずっとくつろいでいても、虚無感しか生まれず、休むのが苦痛という事態が発生した。


『やることないと暇だな……』


 しかも、今はまだ真昼である。つまり夜まで食事の時以外は何もすることがないということだ。


『……そうだ、魔王城の中でも探検してみるか』


 そう思い立った俺は、虚無感に引っ張られつつ部屋を出る。


 そして部屋から出て1歩目を踏んだところで、また()()()()()()()()


『またかよ、ホント何なんだ?』


 一体誰が俺を見てるんだか……ってもういい加減考えるのも飽きてきたな……。


『とりあえず、食堂に行ってこよう』


 食堂に誰がいるかによっては、俺を見ている犯人が分かるかもしれない。いや分かるわけないけどさ。とりあえずこの虚無感を解放されたいとそう思い、食堂へ向かった。


『そういえば、昼間に食堂行ったことないな』


 まあ、前の記憶の俺はよく昼間に食堂行ってたみたいだがな。だからなのか、あまり新鮮さを感じない。変な感じ。


『そういえば、あの時……アレンと一緒に食堂に行った時、()()()()()の話をしていたな』


 かつての親友アレンによると、この城の地下のどこかに魔法の壁があって、資格がある者のみが、すり抜けて通れる……と聞いたことがある。


『まあ、ただの噂だけどな』


『何が、ただの噂なんです?』


『うおっ! ビックリした!……ってあおいちゃんか』


 いつの間にかあおいちゃんは俺の背後に立っていた。


 少し前にも驚かされたことがあったな。あおいちゃんってそんなに、気配遮断できるタイプなのか?


『あああ……また驚かせてしまい、申し訳ございませんでした。やっぱり私はいない方が……』


 あおいちゃんは、俺を2度も驚かせてしまった罪悪感に耐えられず、懐からナイフを取り出して、自分のお腹に刃を向けようとしていた。


『ちょっと待って! 早やまらないで下さい! 俺がビビりなだけなんで!』


『でも、私が……私が人騒がせな事をしてしまったので……』


『そこまで大げさな事なんてしてないですよ! 大丈夫ですよ!』


 それからあおいちゃんのネガティブトークが長くとにかく長く続いたので、俺はあおいちゃんを精一杯励まして、なんとかいつものあおいちゃんに戻したのであった。


『ダスト様、おかげで落ち着きました。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした』


『それは良かった……』


 こうして、あおいちゃんのネガティブトーク劇場は幕を閉じたのであった。ホント、マジで長かった。体感的に30分くらいかかったぜ……。


『あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど、他の皆は、どうしてますか?』


『他の皆さんですか? お姉様は多分自分の部屋で、さっきの撮影会で撮った写真を眺めていると思います。ゴールドさんは、先ほど、そちらですれ違いました。シルバーさんとブロンズさんは分かりません。魔王様は撮影会で疲弊しきってしまったので、自分の部屋で休んでるかと思います』


『なるほど……ありがとうございます』


 俺はあおいちゃんにお礼を言って、そのまま別れた。あおいちゃんはあおいちゃんで他にやることがあるそうだったので。


 コックであるシルバーちゃんとブロンズちゃんの居場所が分からないということは、食堂には誰もいないってことか。


『となると……食堂じゃなくて、地下にでも行ってみるとするか』


 俺は前の俺の記憶を頼りに、地下への入口を探した。


『確か、娯楽施設の隣に……あ、ここだ』


 娯楽施設の隣には地下への階段がある。アレンと一緒に地下へ入った事もあったが、あの時は、特に何も無くて、そのまま何事もなく戻ったな。


『やっぱり、地下の階段暗いなー、うーん光魔法が使えればな……ってあれ?』


 俺は今のところ魔法を扱える数が極端に少ないはずだが、気づいたら俺の手から光が飛び出して、地下の階段を全て照らした。


『え? 何だ? 何で俺が光魔法を使えるんだ……?』


 ここに来たばかりの俺はもちろん、過去の俺ですら、使えなかった光魔法だ。いや、そもそも俺の魔法なのかも疑問だが。


『もしかして俺の隠された能力ってやつか……? でも、魔王は俺には、”身体能力を上昇させる”魔法だって言ってたが……』


 そもそも隠された能力って何だ? 何で俺にそんなのがあるんだ……?


『まあ、ここでそんなこと考えてもしょうがないか』


 俺は一旦あれこれ考えるのをやめて、地下の階段へと足を踏み入れた……と同時にあることに気づいた。


『ん? よく見たら足跡が残ってる……?』


 誰かが入っていったんだろうか。この足のサイズから推測すると、ゴールドちゃん達3姉妹の誰かかな?


 さっき、あおいちゃんに聞いた情報だと、ゴールドちゃんはさっきすれ違って、シルバーちゃん、ブロンズちゃんは分からないって言ってたな。


 いや、よく考えたら魔王の可能性もあるな。今の魔王はゴールドちゃん程じゃないけど、ロリっぽいし、足がこれくらい小さくてもおかしくはない。それに、さっき部屋で休んでると言っていたが、あの魔王の事だ。すぐに身体が回復していてもおかしくない。


 そう色々と考えてる間に階段は下り終わり、地下へ着いた。1階と比べても特に変わってる所はなく、ただ物置き部屋がいっぱいあるだけだった。ここも前の俺の記憶通りだ。


『特に意味は無いのかもしれないが、とりあえず探険してみるか』


 それから俺は地下の隅々まで探険し尽くしたが、特に収穫はなかった。


『ホントに何も無いんだな……』


 いや、あるにはあるんだ……でもその部屋ってのが、美少女魔王とあおいちゃん、ゴールドちゃん達3姉妹の可愛い写真や際どい写真が貼ってあったり、ゴールドちゃん達3姉妹の自作フィギュアらしきものが大量に隅から隅までぎっしりと置いてあって、まるでオタク部屋のようだった。


 俺はすぐに分かった。これ絶対赤髪ちゃんのコレクション部屋だ……。赤髪ちゃんと交渉して、際どい写真1枚くらい貰えないか頼んでみようかな。それかフィギュアもいいかも……スカートの中も忠実に再現してたし……正直金出してもいいから、めっちゃ欲しい。


 と、ほんの数秒前まで思ったが、やめておこう。なんか殺されそうな気がする……。


 それより気になったことがある。それは、まずこの地下には俺以外誰もいないはずだ。だが俺が下る前に階段に付着してたあの足跡は何だったのか? もう既にここにはいないのか? いや、だとしたら下る分と登る分で、()()()()()()()()()()


 なのに1つしか無いということは、この足跡の主はこの階段を往復していないことになる。


 つまり、この地下には俺以外に誰かいる。


 やはりどこかに隠し扉があって、そこにその誰かが入っている可能性がある。


 とは言っても……ホントに少しの手がかりもないから困る。他に見てない所もないし……ん?


 突然どこかから足音が聞こえた。静寂を極めたこの地下なだけあって、足音がはっきりと耳に入ってきた。


『誰だ? 足音がする……』


 俺は足音がする方へ顔を向けた。


 足音と共に現れた人物は――


第19話を見て下さり、ありがとうございます。

第20話も出来次第、投稿していきます。

宜しくお願い致します。

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