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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
4.5章〜魔王城殺人事件編〜
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第270話『マーリンの奇行』

お待たせしました。

第270話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※シリアスな時ですが今回はギャグ回です。

 ドアの奥から現れたそいつは、信じられないくらいに何の反省の色も無くヘラヘラとしていて、みんなの注目(ヘイト)を集めた。


『やあやあみんな。ブロンズちゃんとシルバーちゃんから全部聞いたよ。どうやらみんな私を疑っていたようだけど、残念ながらダスト君を殺した犯人は私じゃないよ』


 などと言っているが、誰一人として信頼してもらえるはずもなく、二十数人の訝しい視線が一斉に刺さっている。


『マーリン……お前今までどこに居たんだよ……?』


『いやちょっとブロンズちゃんの部屋でブロンズちゃんの下着を物色しに行ってたんだ!』


『マーリンお姉ちゃん、真面目に話して』


 マーリンは一切空気を読まずにウケを狙おうとするも、状況が状況なので誰一人笑ってはくれず、この重い空気を塗り替えることは叶わなかった。


 マーリンもこのタイミングで言うんじゃなかったと少し後悔を覚えている。


『あ、はい、ごめんね』


 マーリンはそう言って咳払いし、真面目な顔つきに変えて、改めてこれまで何をしていたのかを詳しく話してくれた。


 マーリンはダストの死亡推定時刻にはもう既にブロンズちゃんの部屋で本当にブロンズちゃんの下着を漁っていたようだ。どうやらある儀式の触媒としてブロンズちゃんのパンツが欲しかったらしい。意味が分からん。


『ちょ、ちょっと待って、その儀式のために、ほ、本当に私のパンツ漁ってたの?』


『うん、他の娘のパンツでも良かったんだけど、やっぱりブロンズちゃんのパンツが1番触媒になりそうだったから』


 さっきの冗談がマジだったと知ったブロンズちゃんは途端に顔を真っ赤にして、マーリンをか弱い拳でポコポコと何度も何度も叩いた。そんな可愛らしいブロンズちゃんを微笑ましく思ったマーリンはニヤニヤ顔で見守っていたが、一方で行き過ぎたセクハラを許さない赤髪ちゃんと自分の可愛い娘にセクハラしたマーリンを許さないプラチナは、鬼の形相でマーリンをめちゃくちゃ睨んでいた。


『おや、気のせいかな? とてつもない殺気を感じるよ』


 本当は殺気立っている2人に気づいているが、あまりの恐怖で気づかないフリをしている。


『つまりマーリン、あなたは犯行可能時刻から今に至るまでずっっっとブロンズちゃんの部屋でブロンズちゃんの下着を盗もうとしたと……?』


『うん、そうだよー! いや〜、さすがブロンズちゃんだよ。洒落たパンツがいっぱいあって思わず魅入っちゃったよ! たとえばこのパンツは――』


 マーリンは懐からブロンズちゃんの下着と思われる布を食堂の面前で掲げようとした。


『いやああああああああああああああ!!! 何で持ってきてるのよ!!!!??』


 すると顔全体が真っ赤になっているブロンズちゃんが、みんなに見られる前に目にも止まらぬ早さで盗まれた下着を取り上げた。


『えぇ……せっかくブロンズちゃんのオサレで可愛いパンツをみんなにも見てもらおうと思ったのに……あ、もう1枚ここにあるから、今度こそ……』


『やめてえええええええええええええ!!!!!』


 またマーリンが懐から2枚目のブロンズちゃんの下着を取り出すと、そのタイミングで食堂の扉が空き、マーリン捜索隊が手がかりになりそうなものを見つけたと言って現れた。


『あ』


 マーリン捜索隊がその時にちょうど見た光景は、赤面涙目のブロンズちゃんがマーリンからパンツを取り戻そうとするという、とても殺人事件が起きたとは思えないほど呑気で平和でアホで、まるで日常の出来事のようだった。


『あ、あの……これは……その……』


(ヤバい! よりによってルキウスに見つかってしまった!)


 思わずマーリンは目を泳がせた。まさにセクハラの真っ只中のタイミングで入ってこられたので、得意の魔法を使っても最早誤魔化しようがない。


『あ……あぁ……!』  


 マーリンは戦慄した。ただでさえさっきまで行方不明で心配をかけて捜索までさせてしまっているのだ。それだけでもお説教案件なのに、それが今、食堂でのうのうと、ニヤニヤ顔でブロンズちゃんのパンツを持っている。端から見てもこれは完全にセクハラしているようにしか見えない。そんな所をよりによってルキウスに見られたらどうなるか? それはもちろん――


『マーリン……? 何をやっているのですか?』


 案の定ルキウスの顔にはブチブチとイカリマークが次々と現れ、今にも爆発(おせっきょう)しそうな雰囲気だ。


『ひ、ひぇっ……!』


『覚悟はいいですね?』


『嫌です!』


 マーリンが手を挙げて素直にそう言うと、余計に大爆発(ぶちギレて)しまったルキウスは容赦なくお説教モードに入り、(まるで母親のような)威圧感をマーリンに与えた。


『マーリン!!!!!!!!』


『あ、はい……』


 マーリン及び元正義教団の幹部は知っていた。ルキウスが1度ああなるともう誰にも止められないこと。正義教団の中でもルキウスは一際優しい心を持っているが、お説教モードに入ると、色々な人に怒られ慣れているマーリンでさえ萎縮してしまうほどの恐怖を与えられる。


『すみません、皆さん。こんなことをしている場合ではないのは重々承知していますが、このバカ……マーリンにはキツイお仕置きが必要なようなので、少しの間離席させて頂きます』


『あ、はい、どうぞどうぞ』


 満場一致でマーリンをルキウスのお説教部屋(じごく)に送ることに賛成した。まだ年端のいかない乙女のパンツを盗んで恥辱を与えてしまったのだ。この罪は重く、もはや同情の余地はない。


『ありがとうございます。マーリン行きますよ?』


『嫌でs――』


『行・き・ま・す・よ』


『……はい』


 マーリンはルキウスの威圧に屈し、お説教(かみなり)を受ける覚悟を決めた。


『それでは失礼致します』


 ルキウスは恐怖で震えているマーリンを連れて、食堂をあとにした。


『……マーリンお姉ちゃんのバカ。いざという時の勝負下着だったのに……どうせなら1番に“彼”に見てほしかったな……』


 未だ顔を真っ赤に染まっているブロンズちゃんは、盗まれたパンツをギュッと握りしめてそう小さく呟いた。


『マーリンちゃん可愛いけど、人のパンツを盗んだのは正直引くよな』


 比較的女が好きなケイでさえ、今回のマーリンの奇行に呆れ果て、1ミリも庇うことはなかった。


『はぁ……』


 こんなシリアスな状況の中であまりにもバカバカしい展開に一同はため息をついた。


第270話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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