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壊れた歯車は異世界に行っても壊れたままだった  作者: カオス
4.5章〜魔王城殺人事件編〜
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第268話『それぞれのアリバイ①』

お待たせしました。

第268話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


『水の女神……お前がダスト君を殺したんだろ!』


 霧の女神は犯人はお前だと言わんばかりに水の女神に指を指した。


『あなた何言ってるの? 私がダスト君を殺すわけないじゃない!』


 水の女神は異議あり! と霧の女神に指を向けた。


『あーあーやってる奴はみんなそう言うんだ! つまり殺したのはお前だ!』


 霧の女神は訳のわからない幼稚な推論を振りまき、この場にいるほとんどの者が、何言ってんだこいつと哀れみの目で霧の女神を見ている。


『意味の分からない事を言わないで頂戴! あなた、私が嫌いだからって根拠もなしにみんなを混乱させるような事を言わないで!』


『じゃあお前犯行時刻どこに居たんだよ!』


『犯行時刻って1時間前くらいよね? その時間は私はお風呂を頂いてたわ』


『それを証明できる奴はいるのか?』


『……残念ながらいないわ。だってお風呂場にはずっと私1人だったし』


『ほら見ろ! 証明できる奴がいないじゃないか!』


『じゃあいいわよ、あなたは一生私を疑ってなさい。誰が何と言おうと私はダスト君を殺したりしない。だって私、人間が好きだもの!』


 水の女神は自分の無実を証明できる者はいないが、あくまで自分は人間が好きだという理由でやってないと主張した。


 確かに自身でも言った通り、水の女神は人間を好いている。もし他の女神が人間に傷をつけようものなら水の女神の怒りを買うとも言われているほどだ。


 そんな彼女が人間であるダストを殺すとは考えにくい。


 しかし霧の女神の言う通り、アリバイの証明ができないのは確かなので、絶対に犯人ではないと言い切れない。


『で、そういうあなたはどうなの?』


『あ、何がだ?』


『だから、あなたはアリバイを証明できるの?』


『当たり前だ! 私はずっと幻の女神(ファントム)ちゃんと居たからな! 私のアリバイはファントムちゃんが証明してくれる! そうだよな!』


 霧の女神は幻の女神に顔を向け、無実の証明を求めた。


 しかし――


『……そうだっけ?』


 眠むそうな顔をした幻の女神はそう答えた。


『は? いやいやいや1時間前は私達一緒に居ただろ?』


 霧の女神はこんな時に冗談はよせと苦笑いをした。でも幻の女神は冗談を言うタイプではないのは霧の女神も心の底では分かっている。


『……覚えてない』


『は? マジで?』


『うん』


 幻の女神は呆けた顔をしたままそう答えた。彼女を知らない者から見ればもっと真面目に考えろよと言いたくなる。しかし幻の女神はケール程では無いが表情をなかなか変えないキャラでもあるので、故に何を考えているか分からないところもある。


 だが霧の女神だけは幻の女神との付き合いは長いので、彼女が今、必死に1時間前の出来事を思い出そうとしているのも分かっている。


 もしこれが殺人事件でもなければ、霧の女神はもういいよと言って、無理に思い出させたりしないだろう。


 しかし今回ばかりは霧の女神と幻の女神のアリバイを証明しなければ自分達が疑われてしまう。そうなれば最悪自分達が犯人にされ、この場にいる20人以上が敵になってしまう。


 そうなった場合、霧の女神と幻の女神の力を合わせれば簡単に魔王城から脱して、世界の反対側まで逃げる事もできるのだが、今は外は雷の雨でとても外に出ることはできないので、そうなるとこの魔王城の中をひたすら逃げ続けるしかないのだ。


 いかに人間よりも魔力量が多い女神といえど常に魔法を発動し続ければ、いずれ魔力も無くなって身動きが取れなくなる。


 もはや戦うしか逃げる手段はないが、この人数差で戦えるかと言われると無理に等しい。そもそも2神揃って戦闘は苦手なので勝ち目はゼロだ。


 なので2神が生き残るにはここで無罪ということを証明するしかないのだ。それが唯一の生還の道である。


『ごめん、本当に覚えてない』


『いやいや、そんなはずは……』


『ミストちゃんは1時間前の出来事を覚えてるの?』


『そりゃもちろんだ。1時間前の私達は――あれ? えっと……何してたっけ?』


 霧の女神も1時間前の事を思い出そうとしたが、まるで記憶そのものが抜け落ちているかのように思い出せなかった。


『え? あなたまで覚えてないの?』


『……』


 焦りの表情を見せた霧の女神は素直にうんと言えずに沈黙を貫いた。


『あなたの方がよっぽど怪しいじゃない!』


『いやちょっと待てよ! 他のみんなはどうなんだよ!』


『そうね、一応他のみんなのアリバイも聞いておきましょうか。もし全員のアリバイが証明されたら……分かるわね?』


『ああ』


 こうして水の女神は霧の女神と幻の女神を疑いつつ、1人1人にアリバイを聞くことにした。


 それぞれから聞いたことをまとめるとこうだ。


 まず1時間前の時点で食堂にいたのは、アミ、アリス、ケイ、フラン、ケンの5人だ。


 それから10分後くらいにシュタインがやってきたが、どうやらそれまでブロンズちゃんと一緒に居たので犯行は不可能だ。


 そうなると、ブロンズちゃんも必然的に犯行不可能なのだが、彼女は今、ダストの死による悲しみでシルバーちゃんの付き添いで自室にこもっているので落ち着いた時にシュタインのアリバイ証明も含めて事実確認をする必要がある。


 次にその食堂の厨房で調理をしていたのは、ゴールドちゃん、シルバーちゃん、ブロンズちゃん、プラチナの4人。だが4人はずっと厨房にいたわけではなく、それぞれが交代で10分単位で休憩に入っていたりしていたので、その間に犯行することは可能だ(ただブロンズちゃんの場合は、先のシュタインの証言が本当なら犯行不可能と断定できる)。


 次に修練場にいたのは、桐華、レッド、ケイデス、ブラック、ガラードの5人だ。


 ……そのはずなのだが、ガラードがずっと修練場にいたと言うと、他の4人はガラードに疑いの目を向けた。なぜなら、その4人によるとガラードは修練場には最初からいなかったし、来てもなかったと言っていた。


第268話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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