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第259話『バレスの回想』

遅くなってしまい申し訳ございませんでした。

お待たせしました。

第259話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

 《???視点》


 ……誰だ。私は誰だ。私は今()()()()()()


 誰だ。誰だ。


 私は誰だ。


 私はバレス? それともガレス? あるいは――



 ――私の名はバレス。


 正義教団の国で生まれ、騎士として育てられた。そして騎士寮にてアミさんと赤髪ちゃんと出会った。その後、私はイーブル……いや()()()()()()()。彼は私に罪をなすりつけ、私は死刑処分を下された。


 嫌だ。嫌だ。死にたくない。


 私はまだアミさんと赤髪ちゃん達と……。


 どうしても生きたかった私は、ケイの協力もあって、正義教団の国から脱出した。


 それからの日々は、アミさんも赤髪ちゃんもいなくて寂しかったし、大変だったけど楽しかった。


 私は冒険者として各地に足を運び、色々な人と出会い、別れ、そして、たくさんのことを知り、やがて、とある国にたどり着いた。


 その国は国と呼べるほどの面積はなく建物も古い。あるものといえば畑や田んぼがあるくらいだ。


 しかし住人の中には職人が多く居て、その誰もが確かな腕をもっており、その技術力には私も思わず目を輝かせた。


 職人達のこだわりやプライドは高く性格に難があれど、みんな、ただのんびりと過ごしているようだった。まるで田舎の村のように。


 スローライフをするにはもってこいの場所だった。


 私は戦うことに対してちょうど疲れを感じていたところだった。


 血を流すのは嫌だ。


 血を流させるのも嫌だ。


 かといって戦場から背けるのも嫌だ。


 どれを選択しても、その度に私は私を許せなくなる。


 だがこの国はこれだけの技術がありながら、他国との交流は一切してないので、存在が知られておらず、地図上にも載っていない。知られたとしても、ここはのどかでとても争い事を起こそうなんて気が起きない。


 ここで戦争が起きることなど、ほとんどありえないのだ。


 心休まる場所を求めていた私はこの国に住むことにした。


 国の人達も私を歓迎してくれた。


 私も嬉しかった。ここまで歓迎されたのは初めてのことだったから。


 私は戦うことをやめ……ようとしたが、住み始めて数ヶ月が経ってから、ある日の事だった。平和なこの国に3人の盗賊が押し寄せてきた。その内の1人は屈強な男で、他の2人から兄貴と呼ばれていたことからリーダーか幹部だと思われる。


 だが、ここには盗賊が欲しがるような金目の物などはない。


 つまりは、たまたま偶然ここを通りかかっただけだろう。警備もろくにいなかったから入りやすかったというのもあったと思うが。


 盗賊は剣を突き立てて住人達を脅すと、金目の物を奪いに突撃してきた――が、それを私が許すわけがない。


 私はさっきまで畑を耕す為に使っていた(くわ)を武器代わりに持ち、盗賊3人組を無傷で一網打尽にした。


 盗賊達は正直そんなに強くなかった。戦闘訓練をしたことがない人達から見たら、とんでもなく強いのだろうけど、騎士として鍛えられた私からすれば盗賊共を倒すなど赤子の手をひねるようだった。


 その後、私はその3人の盗賊を近くの国の警備機関に引き渡し、国に帰ると、住人たちが私を英雄だと讃えた。


 その日の夜は宴が開催され、ひとり残らず感謝された。子供達もいつかバレスお姉ちゃんみたいに強くなると言ってくれた。


 その時私は思った。この子供達が将来立派な騎士になるためには、この国にも騎士が必要ではと。今後もさっきのように盗賊が襲ってこないとも限らない。でも騎士がいれば、盗賊に怯える必要がない。私は国王(おじいちゃん)にそう提案し、この国に騎士という概念が生まれた。


 こうして私は国の騎士第一号となり、この国の為に戦うことを誓った。それは言われたからじゃない。自分の意志でだ。


 そういえばその国の名前なんだっけな? みんな自分の国名なんてわざわざ口に出して言ってなかったような気がするし、そもそも名前なんてあるのかも怪しい。


 まあ国の名前なんてどうでもいい。ただこの国の居心地が良かった。このまま永遠にこんな幸せな時間が続けばいい。そう思っていた。


 しかし幸せはそう長くは続かなかった。


 ある日突然、魔王と名乗る者が数千人規模の部下を連れて、この国にやってきた。


 追い払おうにもあの大人数相手では捌ききれない。それに魔王は強い。


 魔王はなんでもこの国に伝わる秘宝を探しに来たらしい。だがそんなものはない。何度も言うがこの国には技術はあっても、秘宝なんてそんな大層なものはない。


 私は魔王にお引取りを願った。そんなものはないと。


 だが魔王には聞き入れてもらえず、軍勢は一斉に矢を放ち、まるで雨のように国中に降りかかろうとした。


 そうはさせるかと私は風魔法を使い、数千の矢を全て吹き飛ばした。


 その時私には隙が生まれていた。魔王はその隙を逃さず、私の足元に氷魔法をかけ、機動力を完全に封じられた。


 私は急いで炎魔法を使って私に張り付いた氷を溶かそうとしたが、なぜか溶けなかった。どうやらこの氷に魔法無効の結界が張ってあったようだ。私も結界魔法を作り出すのは得意だが、この魔法結界は人間には解除不可能なレベルで複雑にできていた。


 ならばと私は剣で物理的に氷を破壊しようとしたが、物理攻撃無効の結界も同時に張ってあった。これも人間では解除できるようなものではなかったのだ。


 もはやどうしようもなかった。


 こうして私という英雄が完封された事により、魔王軍は一斉攻撃を始め、国はほぼ壊滅。村人達も子供達を除いて皆殺しにされた。


 魔王は生き残った子供達にこう言った。


 “あなたたちだけは逃してあげましょう。未来ある子供達を殺すほど私もそこまで鬼ではありません。さあお逃げなさい”


 しかし子供達は怖くて泣いてはいたが、逃げようとしなかった。子供達は私を置いて逃げたくはなかったのだ。特に私のように強くなりたいと言った子供は。


 そこで私は“逃げて、そして強くなっていつか私を助けに来て”と。


 それを聞いた子供は“分かった。いつかバレスお姉ちゃんを助けに行くからね!”と他の子供達を連れて国から出ていった。


 幸い、この辺はモンスターもほぼいないので、近くの国まで行って保護してもらう事ができる。


 あぁ、どうか……どうか無事でいて。これからも元気にたくましく生きるんだよ。


 そう祈った。


 しかし――


 外に逃げたはずの子どもたちは、魔王の異空間魔法により、なぜかここに連れ戻され、私の目の前で1人また1人と殺した。


 ……………………………………は? なんで………………?


 子供達を殺した魔王は空を見上げ、高笑いをした。


 魔王の奇行に私も受け入れ難かった。というか受けいれられなかった。


 だが子供達の死体が山のように積み上がる光景が眼に焼き付いた。

 

 この国の住人で生き残ったのは私だけ。


 私の眼から涙がこぼれ落ちた。絶望した。


 そんな私に魔王がこう言った。


 “ああ良いですね。生きる希望を持たせといて、最後に殺されると知った時のあの絶望の顔……あぁ……ゾクゾクしますねえ!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!”


 私には魔王が何を言っているか理解できなかった。私の心は壊れかけていた。いや、もう既に壊れていた。


 なんで?


 なんで?


 なんで?


 この国には本当に秘宝なんてないのに……ただ平和にのんびりと暮らしていただけなのに……。


 私はただ……みんなと一緒に暮らしたかっただけなのに……。


 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。


 うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――――――



 ――私の名はガレス。


 ここからは、悲しすぎる現実を受け入れられないバレスに代わって我が話そう。


 だが、その前にもう朝が来たようだ。


 その時、貴様がまだそこにいるのなら、この話の続きを聞かせてやろう。


 では、また会おう。



第259話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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