第250話『赤髪ちゃんVSランスロット①』
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正義教団最強の騎士ランスロット。その称号は私がこの国に居た頃からそのままだ。
私はランスロットとこうしてまともに対面したことは今までなかった。ただ最強の騎士と呼ばれるだけの力を持っていることだけは分かっていた。
私は昔から自分の戦闘能力の高さには自信があったが、ルシウス・ペンドラゴンとランスロットの戦いを見て、私は、あぁ、この2人だけはどうやっても勝てる気がしないと思った。
だから、こうしてランスロットと剣を交える事自体がまるで夢を見ているような気分だ。無謀にも本気で勝とうと最強に挑むそんな稚拙で愚かな夢を――
だけど今は――
『貴様、やるではないか……』
まだ戦いは始まったばかりだが、ランスロットはこれまでの連戦でさすがに疲弊しているのか、息切れをし始めた。
私は私で正義教団へのストレスで体調が少し悪いが、戦う分には問題はない。
ランスロットの体力が回復しない内に一気に決めてしまおう。
『行きます』
私は雷のような超スピードでランスロットの懐に入り込み、剣を振った。
もらった! と言いたいところだが、これはかわされるか、剣で受け切られるか、どちらかだと私の直感がそう言った。
しかし1度振った剣を止めることはできない。完全に殺れると思い、力いっぱい振るってしまったからだ。
『甘い!』
ランスロットはそう言って、案の定、剣で受け切られ、火花が散ったところで、そのまま力で私を押し退けた。
『おっと』
ランスロットに押し出され、バランスを崩しかけたが、地面をえぐる勢いで片足に力を入れることでなんとか倒れずに済んだ。
『ふぅ……』
私自身、厳しい軍隊で鍛えている男性にも負けないくらい力には自信があったが、どうやら力だけではランスロットの方が上らしい。
そんなランスロットだが特に恵まれた体格というわけでもない。身長はダスト様より少し高いくらいで、同じ幹部のガウェインやトリスタンよりも身体が細く、外見だけならとても最強の騎士と言われても信じられないだろう。
実は魔法でこっそりパワーを上げて誤魔化していたり、幻覚魔法で本当の姿を隠している噂もあったようだが、ランスロットはそれを否定し、自ら水晶に触れ、ステータスを公表した。そこにはパワーを上げる魔法も幻覚魔法も無く、詐称に使えそうな魔法は記されてなかった。
つまりランスロットは純粋に力が強く、剣技においては最強。そしてそれは人の力を超えているということだ。
私が来る前にシルバーさんが神をも殺す大魔法を放ったようだが、それも弾かれている。本来はありえないことだが、まあ、あのランスロットならやりかねない気もしないでもない。
私と同じく聖剣に選ばれたあのプラチナさんが本気を出しても倒せないのも頷ける。
もし私が今、この聖剣を持っていなければ、ランスロットには勝てなかったでしょう。
でも今なら勝てる。
ランスロットは今はまだ簡単に私の剣撃を許してくれないが、それはランスロットに体力がある限りの話だ。さっきも言ったが、やはりこれまでの連戦が響いている。瞬殺とはいえ身体を動かすことには変わらないし、戦闘モードのスイッチを入れるだけでも精神的な負担もかかる。狂人かバトルジャンキーでなければの話だが。
『くっ……』
ランスロットはとうとう疲労が出てきたのか、めまいで足元が一瞬不安定になった。
――今だっ!!
私はその一瞬の隙を狙って、ランスロットを斬ろうとした。
『はあああああああああああああああ!!!』
今度こそ当たる……と思った。しかし、ランスロットはその前にとっさにバックステップをして、ギリギリかわされてしまった。
だが、鎧には傷が入った。
それくらいなら全然許容範囲だと思われているでしょう。確かにただの剣なら、ただの傷で済みました。しかし、この聖剣の場合は違う。
『なに……?』
ランスロットが鎧の傷を見ると、その傷はまるで生きているかのように鎧にヒビを走らせ、そして完全に砕け散った。
『なっ……!?』
ランスロットは驚愕した。ある程度の強者と戦えば、鎧に傷が入る事自体はよくあることだ。しかし、傷がたった1つ入っただけで鎧が全て砕け散るなんてありえない。
それは、この聖剣を振った私自身が1番驚いている。ランスロットが纏っている鎧は決して軟いものじゃないはずだ。むしろミスリル級の硬さを誇る高級の鎧のはずだ。それを一撃で……。
『やはり聖剣……厄介だ。もし一太刀でも受ければ私もただじゃ済まなさそうだ』
そうと分かってもランスロットは臆することなく、私に剣を向ける。
『だが……当たらなければいいのだろう?』
ランスロットはそう言ってニヤリと笑った。
――次の瞬間。
『もらった』
ランスロットは、ついさっきの私がしたように懐に飛び込み、私を斬り伏せようとした。
『赤髪ちゃん!』
私を心配するブロンズさんの声が聞こえた。
ブロンズさん、心配は入りませんよ。このくらい想定の範囲内です。
心が読めるブロンズさんに伝わるように、そう思っていると、ブロンズさんはホッと胸をなでおろした。
ランスロットは私に不意をついたつもりだろうが、私はその剣撃を完全にかわすことも、また力で押されるかもしれないが剣で受け切ることもできる。もちろん私は前者を選び、10メートルくらい後ろへ飛び跳ねる事で剣筋にかすることなくかわすことができた。その際にわずかに隙ができたランスロットに反撃するため、私はすぐに雷のような超スピードでランスロットを真正面から斬ろうとする。
『はあああああああああああああ!!!』
だがランスロットは笑いながら、私の剣撃を剣で受け切った。
『ふはははは、面白い!』
さっきと同じような状況だが、今回は押し切られる前に、素早くもう1回剣を振り直した。しかし、また剣を受け切らた。だが私は諦めずにまた素早く振り直した。しかしまた剣を受け切られた。
これを何回も何回も繰り返した。でもただ繰り返すだけではなく、剣を振る軌道を変えてみたり、タイミングを僅かにずらしてフェイントをかけたり、超スピードで後ろに回り込んで不意打ちをしてみたりしたが、さすが最強の騎士だ。どんなに不意をついても斬れる気がしない。
だがランスロットの動きが段々と鈍くなってきているのを感じた。このまま剣を振り続ければ、斬られるのも時間の問題だろう。
『う……』
そろそろ体力の限界か、ランスロットはよろけて動きが一瞬止まった。
『そこです!』
私はその隙をついて、ランスロットを容赦なく斬り伏せた。
『ぐおああああああああああああ!!!』
ついにランスロットにダメージを与えた!
聖剣の威力は絶大だ。たとえどんな怪物だろうと聖剣によってできた傷はやがて全てを破壊し、ランスロットは――
『倒したと……思ったか?』
『な……!?』
ランスロットには確かに聖剣でダメージを与えたはずだ。現に与えた傷は地割れのように身体を蝕み、今にも血が噴き出しそうな状態だ。
しかしランスロットは傷を押さえる仕草すらせずに、両手を広げて不敵に笑う。
『この力……想定以上だ! ははは、まさか禁断の力を開放することになろうとはな!』
『禁断の力……?』
『そうだ、この力はネヴィア王妃より賜った歯車!』
『歯車……まさか……!?』
『壊れた歯車起動! 私のタイプは……“フェンリル”!』
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