第248話『聖剣』
お待たせしました。
第248話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※活動報告の方で内容的に文字数多めになると言いましたが、キリが良くなるまで書いてみると相当多い文字数になりそうだったので、区切らせて頂きました。
《赤髪ちゃん視点》
――数時間前、私はヒナさんと可愛い幼……じゃない、森の女神が管理しているとある森にいた時のことです。
私達は森の女神の案内で、綺麗な湖付近で休憩することになりました。
――その前に森の女神が、
『あ、せっかくなので天気を変えますね』
と言うと、不気味な雰囲気の森が一瞬にして、自然豊かな綺麗な森へと変貌を遂げた。どうやら森の女神はこの空間の天気を、まるで部屋の電気を消すくらいの感覚で変えられるようだ。
『驚きました、こんなことできるんですね……!』
『まあ、ここは私の部屋みたいなものですから。ちなみに天気だけじゃなくて地形も変えることもできるんですよ』
森の女神は褒められたのがそんなに嬉しかったのか、ドヤ顔でそう言った。可愛い。
私はそんな森の女神をニヤニヤ……あ、間違えた、ニコニコ顔で見守った。
『ふふん!』
森の女神は、褒めてほしそうにチラチラとこちらを見てきた。
え、森の女神可愛すぎ……。
褒められたいから褒められ待ちとか、可愛すぎて思わず頬が緩みそうだ。
ヒナさんも心の中では悶ているのか、何も喋らずにずっとニコニコしている。
『すごいですね! 尊敬します!』
私がそう褒めると、森の女神はぱーっと瞳を輝かせ、嬉しそうにしている。めっっっっっちゃ可愛い!
『もっと尊敬しても良いんですよ! ふふん!』
『はい! もっと尊敬します(その可愛さに)!』
まあでも、この空間を自在に操れるのは、やはり相当の魔力と多種多様で稀少な魔法を覚えてなければ不可能なことだ。そこはさすが女神というべきだ。
『頭が良くて魔力量もすごいフォレちゃん、そろそろ湖まで案内してくれる?』
ヒナさんは森の女神を褒めながら案内を促した。
『あ、すみません! それじゃ行きましょうか。こちらです!』
森の女神は私達を先導して、湖へ足を運んだ。
ちなみに、ヒナさんは歩きながら言ってくれたが、フォレちゃんを褒めるとすごい嬉しそうにしてくれて、ホント可愛くて癒やされるけど、あんまり褒めすぎると話が止まらなくなったり、自信過剰になったりすることがあるから、あまり褒め過ぎないようにとのことだった。
なるほど、だからヒナさんはさっき何も喋らずに、森の女神を止めるタイミングを伺っていたのですね。
『お二人とも、こちらですよ!』
おっと、ヒナさんと話していたら、いつの間にか森の女神との距離が空いてしまったようだ。
『すぐ行きます!』
それから3人で歩いて行くと――
『わぁ! 本当に綺麗な湖ですね!』
水面がまるで宝石のようにキラキラしていて、これを見た者はもれなく心を奪われるだろう。
『赤髪ちゃんさん、こちらの木によりかかって下さい』
『はい、失礼します』
私は森の女神の言う通りに木によりかかった。木陰が良い感じにできているので、涼しさに包まれて気持ちがいい。ここで昼寝するには最適な温度だ。
……ですが、なんでしょう。このざわざわする感じは?
近くにとてつもない何かがあるような気がします。
『あの、森の女神様』
『何でしょう?』
『この近くに何かあったりしますか?』
『……!?』
私がそう聞くと、森の女神が血相を変えた。
『それは……どういう意味ですか?』
『そのままの意味です。私自身もよく分からないのですが、何か落ち着かないのです。まるで初めて聖剣を見た時のようです』
正義教団から聖剣に選ばれたと聞いた時も似たようなざわざわ感があった。その聖剣を手にして私は……私は――
『……なるほど……そうですか。あなたがそうでしたか』
『どういうことですか?』
森の女神は立ち上がり、私の質問には答えず、代わりにこう言った。
『ついてきて下さい。見せたいものがあります』
『?』
何がなにやらよく分からないが、黙って森の女神についていくことにした。
『私もついていくわ』
ヒナさんも何か思うところがあるのか、そう言って私と共に森の女神についていく。
そして湖に着き、自分の顔を水面に映すくらいまで間近くに来た。
改めて見ても綺麗な湖だ。心のざわざわ感は相変わらず止まらないが、この光景はずっと見ていたい。
『それでは行きますよ。準備はよろしいですか?』
『どこにですか?』
『湖の中です』
湖の中……? 潜っていくということだろうか?
ん、待てよ……?
だとしたら……大変だ……!
もしお2人が服を着たまま湖の中へ入れば――
ヒナさんと森の女神の服の下の下着が透けて、そのままじゃ恥ずかしいから、生着替えをしたり……ぐへへへへ。それは最高ですね!
しかし、その期待はあっさりと裏切られる事になる。
『では行きますよ……“エクスカリバー”』
森の女神は湖に向かって合言葉のようなものを発すると、意識ごと身体を湖の中へ引きずり込まれるような不思議な感覚に襲われ、気がつくと湖の中にいた。
『!?』
まずい溺れる! と一瞬思ったが、息が全然苦しくないことに気づいた。それどころか水に入った時の抵抗感が一切無く、陸にいる時と全く同じように動ける。
これは一体どういう魔法なんでしょう……?
『ん?』
ざわざわ感が先程よりも強い事に気づくと、近くで剣が底に逆さまに刺さっているのを見た。
『これは……?』
『これは聖剣です』
『聖剣……!?』
なぜ聖剣がこんなところに……?
聖剣は聖剣でも、私が持っていた聖剣とは何かが違う。
『この聖剣は資格を持つ者じゃなければ抜くことすらできません。でも聖剣の気配を感じた赤髪ちゃんさんなら抜ける可能性があります』
『私が……?』
つまり聖剣に選ばれたのと同じということか……正直あの頃の出来事をあまり思い出したくないが、今が向き合わなければいけない時なのかもしれない。
『……』
ん?
『……』
呼んでいる。
『……』
聖剣が私を呼んでいる。
私は導かれるままに聖剣に触れる――
――すると、聖剣はいつの間に抜けて、まるで自分の物のように私は聖剣を握っていた。
『な……!?』
一体何が起こった? 私は聖剣を抜いた覚えなど無いのに、なぜ聖剣を持っている? 今の一瞬で何が……?
『今日からその聖剣の主は赤髪ちゃんさん、あなたです』
『私ですか!?』
『はい』
『でも私、既に別の聖剣に選ばれてて……』
『聖剣は絶対です。例え選んだ相手が何であろうと覆ることはありません』
『は、はぁ』
私は聖剣使いではあるが、聖剣の事は正直よく知らないし、正義教団に居た時以外は、そんなに使ってなかったし、何なら薪を割る斧代わりに使ってた事の方が多いくらいだ。
なぜって? アミさんの愛情がこもった剣の方がよほど使いやすいからです。そう、アミさんが! 私のために! 作った剣です!
それだけで私は強くなれる。つまり最強の剣なのです。異論は認めません。
……ですが、今、私が持ってる聖剣から何とも言えない悲しみを感じます。まるで泣いているようで放っておけない。
『赤髪ちゃんさんも感じていますね。その聖剣から溢れ出る悲しみや後悔を』
『はい……何ですかこれは……?』
『正義教団初代国王が持っていた聖剣です』
『初代国王……!?』
『そしてこれは、正義教団の罪そのものでもあります』
『罪そのもの……?』
第248話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
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