第242話『報復の報復』
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今回の戦闘カードはこうだ。
ダスト&ブロンズ様&ケールさん&パーシヴァル&シュタイン&ブラック&プラチナVSランスロット&シルバーちゃん&謎のフードの奴。
偶然かそれとも意図的か、バレスさんとルシウス以外の全員がここに集結したという形だ。
明らかにあとから来たブラックとプラチナはルール的に参戦してもいいのかと思ったが、特にネヴィアから指摘はないので、まあいいのだろう。
これは、このゲーム史上最大の激闘になるかもしれないな。
今の時点で既に戦ってるのは、ブラックとプラチナ、その相手はランスロットだ。
ランスロットの実力を考えると少々不安だが、ここはブラックとプラチナを信じるとして、シルバーちゃんと謎のフードの奴をどうするかだが……。
さっきからケールさんはなぜ、謎のフードの奴を睨みつけてるんだ?
少し様子を見てみると、ケールさんはこう口を開いた。
『ねえ、そこで何やってるの? キリカちゃん』
キリカ……? 確か神様から派遣された勇者だったな。なぜか俺達と敵対しているように見えるのだが……?
ケールさんの問いかけに、キリカはこう答えた。
『私の目的を果たすためです』
キリカはそう言うと、俺に殺意溢れんばかりの剣を向けた。
『は?』
なぜキリカは俺に剣を向けてるんだ?
『ダスト……いや、■■■■■!』
『!?』
キリカはあろうことか誰も知りえないはずの俺の本名を呼んだ。
そうか、キリカは俺と同じ世界の……。
でも、敵意を向けられる意味が分からない。
確かに俺は嫌われものではあったけど、剣を向けられるほどの事をした覚えは――
いや、あるにはある。あの事件だ。
キリカという名を名乗っているが、言われてみれば似てるような気もする。
『なあ、お前……まさか……あいつの妹か?』
俺は恐る恐るキリカにそう聞いてみた。
『覚えていましたか……そうですよ、私の本当の名は桐華。あなたをいじめていた彼の妹です。そして……あなたに人質として捕らえられ、兄の自害を見せつけられた被害者です』
キリカ……いや桐華は俺の過ちを暴露して、憎しみの表情をしながら俺を睨みつけた。
……否定してもしかたないか。多分ブロンズ様達には軽蔑されるかな。あ、でも今ブロンズ様はシルバーちゃんのことでそれどころではないか。
『まあ確かにあれは兄にも非がありました。それは認めましょう。でもだからってあそこまでしますか? あれではまるで犯罪じゃないですか?』
『犯罪だと……?』
『ええ、だって凶器用意して、私を人質にして兄に自害させたのですから犯罪以外の何物でもないですよね?』
『何言ってるんだ』
『ですから、あなたが凶器を用意して――』
『じゃあお前の兄が俺にやってきたのは何だ?』
『分かってます、いじめですよね? 確かにいじめも咎められるべきですが、あなたがやったのは犯罪って話で――』
『いや、あいつがやったのも犯罪だぞ?』
『え……?』
『俺はあいつに毎日悪口を言われ暴行されてきたんだぞ』
『あ、それだけですか? それならいじめの範囲で――』
『そんなわけねえだろ! 悪口だって侮辱罪になるし、暴力だって暴行罪になるんだ! いじめと呼ばれていたものは、どれも犯罪なんだぞ!』
『……!』
生徒間で起きた暴行や脅迫も“いじめ”という言葉に置き換わっているせいで、いじめた側に罪の意識がない。
1番問題なのは、いじめは犯罪になると認識していない子供が多いことだ。俺をいじめたあいつだって、葛木だって、周りの大人がちゃんと教えてこなかったから、知らない内に犯罪者になってしまったんだ。
そうじゃなくたって、いじめは存在してはならない凶器だ。最悪の場合、いじめられた側が自殺してしまうこともある。残念ながら、そんな悲劇も少なくはないのにも関わらず、やはりいじめはなくならない。
どんな理由があったっていじめをしてはいけない。たとえいじめられた側に原因があったとしても、いじめた方が絶対悪い。
……でも俺だってそれは同じだ。俺もあいつにいじめの報復として、桐華を人質にとって、あいつを傷つけた。結局それもいじめであり犯罪だ。
いくらいじめた側が最初にしかけたんだとしても、人質を取られた桐華はたまったものじゃないし、なにより刃物を向けられて怖かっただろう。兄を傷つけられて憎かっただろう。
だから桐華はあの時の俺と同じように、俺に報復しようとしている。
報復なんて何も生まない。あるのは虚しさとあるはずのない罪悪感だけ。
贖罪というわけじゃないが、桐華にまで、こんな思いをさせるわけにはいかない。
だから俺は――
『すまなかった』
俺は土下座をして、そう謝罪した。
『い、いきなりどういうつもりですか?』
『理由はどうあれ、お前を傷つけたことには変わらない。俺に報復する前に、どうか償わせてくれないだろうか?』
ああ――やっと謝れた。まさか異世界で、しかもこんなタイミングで謝罪するとは思いもしなかったが、俺はずっとこうしたかったんだ。
『償い……か……あなたが反省したのは分かりました。でも、やはり私は――』
桐華は剣に殺意を乗せ、ランスロット以上の異常な速さで剣を振った。ただし狙ったのは俺ではなくブロンズ様だった。
『え――』
しまった追いつかな――
しかし――
『え……?』
桐華の剣に斬られたのはブロンズ様ではなく……ケールさんだった。いち早く桐華の殺気に気づいたケールさんはブロンズ様の前に出て庇ったのだ。
『ぐはっ……!』
『ケールさん!!!』
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