第239話『時計だらけの部屋』
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――あれ?
さっきまでみんなと霧の中に居たはずなのだが……。
『みんなどこ行ったんだ? それにここはどこだ?』
見たところ、ここは誰かの部屋のようだが……時計がやたらいっぱい飾ってあって、まるで時計コレクターの部屋のようだ。しかもそれぞれの時計の針が指す数字がバラバラで何か気持ち悪い。どれが本当の時間なんだ……?
時計をずらーっと眺めていると、ちょうど視界に入った時計が光りだした。
『な、なんだ!?』
その光から別の光が花火のように上がり、俺の目の前で文字となって現れる。その文字の内容がこれだ。
“ケールに葛木龍騎を殺させるな”
『は? なんだこれ……? なんでこんなことを……? 殺させるなって……でもさっき葛木はケールさんに殺されてて……』
俺がそう言うと、さっきと同じように別の光が文字を形成する。
“大丈夫。時間を少し戻すから”
『時間を戻すだって? 一体何言って――』
言い切る前に、突然光が大きくなり、部屋ごと俺を呑み込んだ。
――――
――はっ!
気がついたら、元の場所に戻っていた。正確に言うと、戻っていたのは場所だけではなく時間も、葛木と出くわす前に戻っていた。
『誰か来るぞ!』
パーシヴァルが霧の先の人物に槍を向けた。味方だったらどうすんだと最初は思ったが、今回はそれで正解だ。
『黒崎!! 銃の女もまた会ったなぁ! 今度こそぶち殺してやる!』
うん、やはり葛木だった。俺達と会った時のセリフも一字一句全て同じなので時間が戻っているのは間違いなそうだ。
ということは葛木が次に狙うのは……シュタインだ。
さっきの謎の時計ばかりの部屋で見たあの光の文字によると、“ケールに葛木龍騎を殺させるな“と言っていた。
あの光の文字を出したのは誰なのかも、その意図も知らないが、とにかくケールさんを“あの異様な状態”にしてはいけないというのは分かる。あれは本当にヤバい。アリスが警告を出していたのも、そういうことだからなんだろうな。ああなれば、今の俺でさえ止められない。
そうならないために俺が今すべきことは――
『お兄ちゃん……?』
俺はすぐに手のひらを葛木に向けて、魔法を放った。
『光魔法“光剣”!!!』
『え?』
この魔法はルキウスも使っていたが、魔法で出した光を圧縮して剣のような形にして、ビームのように放つ超カッコいい魔法だ。
葛木がシュタインを襲う前に、俺が即座に葛木に攻撃をすればケールさんが怒り狂って暴走することはないはずだ。
『ぐあっ!』
見事に光魔法が葛木の胸を貫いた。
まさか出会ってすぐに攻撃されるとは葛木も思わなかっただろう。
『お兄ちゃん!?』
『ご主人!? 攻撃するの早くないか!?』
ブロンズ様とパーシヴァルは驚いているようだが、説明するのは後だ。
葛木はその場で崩れ落ち、苦しそうに胸を押さえた。
『はぁ……はぁ……クソが……! この野郎……!』
葛木は口から血を流しながら、俺を睨みつける。
俺にヘイトを向けさせることで、葛木が最初にシュタインを襲うことはないだろう。
ケールさんも、自分の出る幕はないと分かって、大人しく戦いを見守っているようだ。
悪いな、葛木。お前にもプライドがあるんだろうけど、一瞬で決着をつけさせてもらう。
俺は転移魔法を使い、膝をつく葛木の後ろに立ち、容赦なく雷魔法“雷槍”で葛木を貫く。
『ぐわああああああああああ!!!』
槍に貫かれた痛み+電流の痛み=超激痛!
『……』
葛木の全身は電流によって焼き焦げたまま失神した。まだギリギリ生きている。
でもこいつ本当に勇者なのか?
“神様の情報“で聞いた勇者とはかなり異なるようだが……。
――――
こうして24ターン目が終了した。
結果の方は、正義教団チームの葛木とエレックが脱落した。どうやらガレスさんも勝てたようだ。
これで今の状況は……。
――――
正義教団チーム 反逆者チーム
ルシウス・ペンドラゴン ダスト(A)
ランスロット ケール(A)
??? ゴールド(B)
??? ブロンズ(A)
ブラック(C)
プラチナ(C)
レッド(B)
ガレス
アミ(B)
シュタイン(A)
パーシヴァル(A)
――――
俺達が11人残ってるのに対して、正義教団はたったの4人。
人数的にこちらが圧倒的有利なのは依然として変わっていないが、ルシウスとランスロットの圧倒的な強さと、まだ?枠が2人いることを忘れてはならない。
まだまだ油断はできない。
そもそもルシウスもランスロットも倒さなければ、このゲームに勝つことはできない。
だが、大人数で挑めば勝率も上がる。そういう意味でもなるべく多くの味方と合流したい。
その為にも動かなきゃ。
さて、そろそろアイドルタイムも終わりだ。次のターンだ。
でも、その前にみんなにさっきのことちゃんと話しておかなきゃな……。
――――
25ターン目が始まった。
ブロンズ様とシュタインはまだ歩けそうにないので、引き続き寝ながら、おんぶしてもらうことになった。
俺は正直まだ疲れてるけど、頑張って歩くことにした。
さすがに長いあいだ背負わせるわけにはいかない。
『ダスト君、えらいけど無理しないでね〜』
『はい』
ケールさんには見抜かれてるかな……パーシヴァルも心配そうに俺を見ている。
『大丈夫だよ〜、ダスト君の事は私が見てるから、パーちゃんはブロンズちゃんとシュタインちゃんのことよろしくね〜』
『了解だ、ケール殿』
その後も、俺達は変わらず警戒しつつ、ひたすら歩いた。
そして25ターン目が終了した。
今回も特に何も起きなかったようだ。
間髪入れずに26ターン目、特に何も起きず。
27ターン目、何も起きず。
28ターン目、何も起きず。
29ターン目、何も起きず。
ついに30ターン目、俺達は何も起きなかったが――
――ここでお知らせが1つあります。反逆者チームのゴールドさん、アミさん、レッドさんのグループが、正義教団の■■■■さんと出会いました為、戦闘が発生しました――
また名前の部分だけよく聞こえなかった。ということはシークレット……?枠のようだ。
その?枠の強さが気になるが――ん?
あれ? ゴールドちゃんもアミさんも相手を見て、驚愕と悲しみに溢れた顔をしている。アリスの時もそんな感じの顔をしていたが、今回はそれ以上のような気がする。相手は一体誰だ?
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