第234話『アリスの警告』
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第234話の執筆が完了しました。
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アリスが話してくれた内容をまとめるとこうだ。
アリスはこの世界から見て約3000年前に、この異世界にやってきた日本人だ。
日本人といっても、俺がいた日本とは違う並行世界の日本だ。
ただ俺がいた世界と非常に酷似していて、異なる部分があるとするなら、有名アニメのタイトルや、ゲーム機の名前等が違うことくらいだ。
そんな世界で普通の日常を過ごしていたアリスは、とあるデスゲームに巻き込まれ、そこで命を落とし、気がついたらこの世界にやってきた。
ここだけ聞いても十分驚愕したのだが、この先の話もそれ以上に驚愕することになる。
アリスがちょうどやってきた約3000年前のこの世界は既に滅びかけていた。
大地は割れ、海は荒れ、空は黒く稲妻がほとばしる。まさに天変地異。世界の終わりのようだった。
一体何が起きたのか……。
実はその時、ちょうど神と神が戦争をしていたせいだ。神と神が戦争を起こせば、世界そのものが耐えられない。この天変地異はまさに世界が悲鳴を上げているということなのだろう。
その神の名はゼウス。
その神の名はオーディン。
その2神は、それぞれの家臣である神を連れて戦争を起こした。
何が原因でそんなことになったのか定かではないが、2神は互いを憎み合っていたようだ。
異世界に飛ばされて早々、最難なアリスは、とにかく安全を守りながら、2神の戦いを見て、やがて決着がついた。
勝者はゼウス。
これにより、オーディンが持っていた神の居城の権限はゼウスの手に渡った。
元々、神の居城とはこの世界を管理する為の施設。人によっては天界とも呼ぶ者もいるとか。
こうして、この世界は今後、ゼウスによって支配されることとなった。
一方敗北したオーディンとその家臣達は行方が知れないまま、今も姿を見せない。
一方アリスは、一応身を守ったことは守ったのだが、神々の戦いの影響が思ったよりも壮大すぎて、しばらく目が覚めることはなかった。
それから1000年後……アリスは目覚めた。
1000年後の世界は、1000年前とは真逆と言っていいほど平和そのものだった。
穏やかな緑が大地を覆い、海は相変わらず残酷だがコバルトブルーが美しく、空はまるで元気を取り戻したかのような快晴。
どれも地球で見れるような何ら変わらない景色ではあるが、その時のアリスには、まるで違って見えたらしく、その景色を見て涙を流すほどに心を奪われたようだ。
しばらくその景色に見惚れていると、自分のステータスを見れる水晶が偶然、アリスの手の甲まで転がってきて、そこで自分のステータスを見て全てを理解し、モンスターを倒し、街へ行き、知識を得て、冒険者になって、様々な人間と出会い、意外と楽しく暮らしていた。
それから更に1000年後、本来なら生きてるはずもない年数だが、どうやらアリスはここに来てから、なぜか自分に“不老不死”が付与されていた。この世界における“不老不死”は死なないのではなく、死んでも死にきれずに蘇るといった解釈が正しい。ただ不老の部分に関しては、言葉通り、どんなに歳をとっても愛らしい姿は一切変わることないし、衰えることもないので、無限に強くなれる。
それが1000年も経ってしまえば、アリスのステータスはチート級だ。アリスを倒せる者など、もはや神以外にはいない。
今後も他の者に1番を許すことなく、自分が1番であり続けるんだろうとアリス自身もそう思っていた。
しかし、それはある人物によって覆されることとなる。
その人物の名は……ケール。
この世に生を受けたばかりのその女の子は、生後1か月でありながら、襲いかかる凶悪モンスターの集団を……いとも簡単に皆殺しにした。
それだけならまだ良かった。
その場にたまたま居合わせたアリスも、ケールにあっさり瞬殺された。
ケールはアリスに対して特別何も思っていない。今回の場合、ケールはただアリスをモンスターと勘違いしただけ。
ケールもアリスの事は全く覚えていないだろう。なんせケールにとっては、生後1か月のこと。
普通の赤ん坊が泣き出したように、ケールもただ殺しただけ。
そうと分かったアリスは戦慄した。
世界最強の自分でさえ、赤ん坊のケールに殺された事実に。
その後、アリスは当然のように蘇ることになるのだが、またケールと会ってしまうのが怖かった。
また殺される……。アリスは殺されることを恐れた。
いくら“不老不死”とはいえ、殺されたときの事をフラッシュバックしてしまうのだ。
なのでアリスは蘇った直後に、自身に変身魔法を発動し、その辺に落ちている“ただの首飾り“というアイテムになり、ケールが死んだという声を聞くまではそのままでいるつもりだった。
それからしばらくして、アリスはアクタに拾われ、再び冒険の日々を過ごすことになるのだが……それはまた別のお話。
――って、いやいや、これまでの話が長いし、壮大すぎるし、情報量が多すぎて頭が追いつかねえわ。
というか巻きで話すと言っておきながら、本人は日々仕事で疲弊しているOLのように泣きながら愚痴をこぼしまくっていた。
さっきまでのシリアスと時間返せ。
『それでそれでね……って聞いてるのー! ここからがいいとこなの!』
口調もがらりと変わってる……酔っぱらいかよ……酒でも飲んでたのか?
『いや、あまり時間が無いんじゃないのかよ』
『あ、それは大丈夫です。ネヴィアのやつ、私がかけた魔法にかなり翻弄されて、思ったより時間稼げてるから』
『え、魔法?』
『ええ、ネヴィアが私を洗脳しやがったから、私の魔法で自動破壊人形を創って、ちょっとお灸を据えてやろうかと思ってね!』
ああ、さっきのネヴィアが言ってた、ステージを破壊する“何者か”ってアリスの仕業だったのか。
『……話を戻すけど、私があなたに本当に話したかったのはね、今現実であなたと一緒に行動している女……ケールのことよ』
『ケールさん?』
さっきアリスが話してたが、かつて赤ん坊だったケールさんに瞬殺されたとか言ってたな。
すげえデタラメな話だが、あのケールさんならやりかねないから信憑性は高い。
『今はどういうわけか、大人しくしてるみたいだけど、あの女は危険よ』
『危険? どう危険なんだ?』
『ケールはあんな異常な強さを持ちながら、バトルジャンキーでもあるの』
『バトルジャンキーだと?』
だから神様からやり過ぎないように釘を刺されていたのか?
『ええ、ケールは戦いが好きすぎて1度とある国を滅ぼした事もあるみたいなの』
『国を……滅ぼした……?』
……でも、本当にそうなのか?
確かにケールさんは強いし、変な人だけど……悪い人には見えない。
『あなたからしたら、ケールさんは悪い人に見えないかもしれないけど、それでもとても危険な人物よ。今は大丈夫でも戦っている内にかつての自分に戻るかもしれない』
『……だからすぐにケールさんとは離れろって?』
『ええ、その方がいいわ』
『……』
俺が思うに、アリスが嘘を言っているようには見えないし、ケールさんが悪い人というわけでもないのだろう。もしかしたらケールさんは今も俺達を傷つけない為に自分を抑えているのかもしれない。
でも、もしアリスの言うとおり、ケールさんが“それ”に目覚めてしまえば……。
ケールさんと離れるべきか否か。
答えはもう決まっている。
俺は――――
第234話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
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