第231話『何もない騎士の独白』
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《パーシヴァル視点》
確かに私はかつての記憶が9割ほど消えている……が、元々私にはそれほど大切なものなどない。だから普段は特に自分の昔話をわざわざ語ろうとはしない。
だが、私の命はもうじき尽きる。
せっかくなので、自分を振り返ろうと思う。
まず今の私が覚えているのは、自分の名前と槍の使い方と胸のサイズと……あとは――
遡ること■■■■年前……。
私は……なんという■名だか忘れたが、とある■大■王国の■士だった。
その■は最■そのものだった。
なぜなら、■力においてこの国を■回って■る国な■存■■な■った■■だ。
どんな侵略■だ■■と凶■なモ■■ターが襲っ■き■としても、こちらの兵■を持ってすれば、■滅に■い込むことなど造作もな■。
私はそんな■が誇■■かった……。
あ■日私■王にある■■へ遠征を命じら■た。
それは――――
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うーん、やっぱりよく覚えてないな……。
ただ1つの出来事をまるごと忘れているというより、記憶が途切れ途切れになっているといった方が正しい。
なんだか気持ちが悪いな……。
どう頑張っても思い出せないので、次へ行こう。
次はその遠征先で何があったかだ。
まあでも結局、この先もさっきのように途切れ途切れではっきりと覚えていないが、遠征中に出くわした魔■■部によっ■、私……いや私達かな? 仲間がいた気がする……その仲間と共に私は■隷として、とある監■の■下でずっっっっっっと働かされ、やがて身体が耐えきれなくなり、死に至り、死体も放置され、とうとう骨だけとなった。
それから私はどうしたかって? そりゃずっと屍のままだ。
しかもただ屍になったわけじゃなくて、魂だけは常にそこにあって、しかもある日突然喋れるようになって……まあ、その後からまた色々あった……と思うんだけど……全く思い出せないので割愛しよう。
――――
それから■■■■年が経ち、とうに死んだはずの私だが、どういう経緯か分からないけど私は明らかに馴染みのないベッドの上にいた。
ここはどこだろう? もしかして今度こそ黄泉の国へ行ってしまったのか……?
そんな疑問を持った私の目の前には、ティアラを被った女性が1人。
彼女の名前はネヴィア。この正義教団という国の王妃らしい。
私は、ネヴィア王妃から今のこの世界の情勢や、なぜ私が蘇ったかなどの説明を受けた。
どれも信じられないような情報ばかりで頭がパンクしそうで吐きそうにもなったが、なんとか全て頭に詰め込んだ。
その上で私はネヴィア王妃に問いかけた。
これから私はどうしたらいい? と……
すると、ネヴィア王妃はこう答えた。
『あなたをこの正義教団の用心棒として雇います』
用心棒……?
『あなたは非常に稀有な存在です。死者でありながら、この世に留まれる……素晴らしい……!』
この人は何を言っているんだ?
確かに私は死者で、どういうわけか魂だけはまだこの世に留まっている。
そんな私を見て、ネヴィア王妃は不気味がるどころか、歓喜の表情を浮かべている。
なんだか変な人だなぁ……でも良い人そうだな……この時まではそう思っていた。
『さて、早速ですがあなたに頼みたいことが――』
ネヴィア王妃の頼みで、地下に収監しているモンスターが暴れ出したので止めてきてほしいと言われ、地下にやってきたのは良いのだが……。
『何もいない……?』
そこにはモンスターどころか、檻自体が無く、とても収監するような場所とは思えない、ただただ暗くて何もない空間だった。
私はネヴィア王妃の元に戻って、この事を問おうとした瞬間――
『あれ?』
いつの間にか、私は暗闇の中に居た。しかも辺りには誰もおらず、何もない。
『なんだここは……? なぜこんなところに……?』
困惑した私はもう1度辺りを見回してみるが、やはり暗闇しかなかった。
『おーい!!! 誰かいるか!!!』
と精一杯の大声を出してみたが、それでも辺りはシーンとして誰も来る気配がなかった。
一体何がどうなっているのかさっぱりだった。
『なぜこんなことに……?』
とりあえず私は歩き出す事にした。たとえ四方八方何も見えなくても、とにかく動き出さない事には何も始まらないからだ。
――――
さて、私はあれからどれくらい歩いたのだろう? 身体能力が高くて体力もある私でも、もう歩き疲れたと思うくらいには歩いたと思う。
なのに、未だ辺りは暗闇ばかりで一切の光すら差さない。
真っ直ぐと歩いているはずなのに、進んでいる気がまるでしない。
『まあいい……今日はここで休むとするか』
私は暗闇の地べたに座り、足を休ませた。
『普通に座れるんだな』
さて、これからどうしたものか……。
考えてみたが、何も思い浮かばなかった。
――――
『よし、体力も回復してきたな。もっと先へ進んでみるか』
しばらく休んでいた私は腰を上げて、暗闇の中を再び歩き続けた。
『こうして歩き続けていればいつかたどり着くはずだ……』
そう信じていた。
――――
それから■■■年後……。
もうあれから何年……いや何十年何百年経ったのだろう……私は誰にも会うことなく、ずっっっっっっっっっっっっっっっっっと暗闇を歩き続けている。
既に私は死んでいるので、空腹になることもないし、精神への影響もそれほどないから、ただ虚しいだけで特にすごく辛いというわけではない。
とはいえ、やはり暇なものは暇だ。誰かと会って話したいし、戦いたい……。
実は歩き続けている最中に、身体が鈍らないように、槍を振り続けていた。
その度に身体が疼き出す。
戦いたい。
この時にようやく気づいたのだが、どうやら私はバトルジャンキーのようだった。とにかく槍を振りたい、血を見たい。返り血を浴びたい。そんな思いに溢れていた。
まあだからと言って、誰彼構わず戦おうとはしない。それを望まない者もいる。自分の価値観を押し付けてはいけない。
……だから戦う理由が欲しい。
誰か私に戦う機会を……もしその機会があるのなら私はそこで死んだって構わない。
だから……私を……私を……。
『誰か助けて!』
――その直後、暗闇だった空間が全て光に変わり、気づいたら今度は霧の中にいた。
『な、なんだ……!?』
いつもと違い過ぎる風景が突然目の前に現れて困惑した。
霧を見るなんていつ振りぐらいだろう……。
そう感銘を受けていると、空中で浮かんでいるモニター? とかいうやつの中にネヴィア王妃が映った。
『お久しぶりですね、パーシヴァルさん。調子はどうですか?』
『……!』
私は今回の事をネヴィア王妃に問おうとしたが、他の話題に遮られてしまい、なかなか話せなかった。
というのも、あまりにも長い間、人と会話してなかったせいか、うまく喋れない。これでは文句の1つも言えないし、私をあの暗闇の空間に閉じ込めた真相も聞き出せなかった。
おそらくネヴィア王妃はそれを全部分かってて、強引に話を勝手に進めているってところだろうな。私に対して何の悪びれもせずに……なかなかに性格が悪い女だ……絶対ろくな死に方しないな。
『あ、そうそうパーシヴァルさんに朗報があります』
朗報?
『これから侵入者を全て潰すためにゲームを開催しようと思いまして、そのゲームにあなたも参加してほしいのです』
侵入者を潰す……ということは……。
『それはつまり戦うってことか! ……ってあれ? 急に喋れるようになってる?』
『ああ、遠くからあなたに治癒魔法をかけました。これでまともに喋れるようになりますよ』
『おおそうか、すまないな』
あれ? でも私がこうなったの、ネヴィアのせいじゃね?
『話が逸れましたが、ゲームの件、引き受けて下さいますか?』
なんか釈然としないが、戦える機会を貰えたのなら、まあいいか。考えるのもめんどうだ。
『ああ、いいぞ』
『そうですか! ありがとうございます! では早速ルールを説明致します』
私はネヴィアにこのゲームのルールを細かく説明してもらった。あと、ついでに今現時点のこの世界の現状についても少し聞いた。
そして――
――これより正義を賭けたゲームを開始します!――
『始まったか……さて行くか』
誰の為でもない、自分の快楽のためにゲームを楽しもうじゃないか。
――それから時間は経ち11ターン目になってようやく私は、ダスト達と出会うことになる。
第231話を見て下さり、ありがとうございます。
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