第229話『VSパーシヴァル①』
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11ターン目が始まって早々、俺達の目の前に正義教団チームのメンバーだと思われる女騎士が現れた。
正義教団の幹部か? 初めて見る顔だな。
『初めまして、私の名はパーシヴァル。つい最近雇われたこの国の用心棒をやってる者だ』
と普通に自己紹介をしてきた。
なるほど、最近雇われた用心棒か。それならこの国に思い入れはないだろうし、うまくいけばこちら側に引き込めるかもしれない。
『俺はダストだ。隣にいるのはブロンズ様とケールさんだ』
俺が2人の分までそう自己紹介をすると、パーシヴァルは俺達の顔をじっと見つめた。
『な、なんだ?』
『良い面構えだな貴様ら、これなら私も楽しめそうだな!』
パーシヴァルは嬉々として槍を構えた。どうやら、もう戦る気マンマンのようだ。
『おっと少しはしゃいでしまったな。なんせ、もう2時間近く歩いているのに誰とも会わなかったから暇で暇で仕方がなかったんだ。許してくれ』
パーシヴァルはそう謝罪をし、一旦槍を上に向けた。
私も楽しめるとかヤバい事言ってたからただの戦闘狂かと思ったが、根は案外常識人のようだ。
『まあ確かに俺達も俺達以外とは誰とも会わなかったし、暇なのは少しは分かるよ』
だからといって戦いたかったわけじゃないけど。
『うむ、暇なのは辛いよな……早く血を流したいよな』
『いや血は流したくないです……』
『そうか? 血がスパーっと出るのは気持ちがいいぞ?』
どんな価値観やねん。やっぱやべー奴じゃねえか。
『ちょっと分かりたくない……かな』
『そうか……あぁ、この価値観が分かる者はいないのか……?』
滅多にいないだろうな。というか居てたまるか。そういうのはゲームの中だけにしてくれ。
『お兄ちゃん、これ一応ゲームよ』
『まあそうなんだけどさ……』
ゲームはゲームでも画面の中のキャラを操作するのではなくて実際に死人が出るチームバトルゲームだからな……。
『……』
『ケールさん?』
『ん、なんでもないよ〜』
ケールさんは相変わらず無表情だったが、今一瞬だけ僅かに動揺していた気がした。
『雑談はこの辺にして、そろそろ戦めていいか?』
パーシヴァルは真剣な顔つきで再び槍を構えた。その槍の先端から確かな殺意が溢れ出ている。
パーシヴァルのイカれた価値観はともかく、比較的話が分かる奴ではあるが、戦わずに協力し合える関係にはなれそうもない。
俺も本気で殺す気でいかなければ、この戦いには勝てない。
『行くぞ!』
俺の合図と共に、ブロンズ様とケールさんと共に動き出す。
『うおおおおおおおおおお!!!!!』
俺はまず試しに、炎魔法と雷魔法と氷魔法をマシンガンの如く撃ち込む。
『ほう、まずはお試しってわけか、甘い!』
パーシヴァルは槍の先端を光らせて、撃ち込んだ魔法を全て薙ぎ払うようにかき消した。
やはり、この程度じゃダメか。
『今度は私が……!』
ブロンズ様はそう言って銃を取り出し、パーシヴァルに発泡する。
『甘い甘いわぁ!』
パーシヴァルは余裕の表情で向かってくる弾丸を弾いた。しかし――――
『おっ!?』
どこから撃ったのかもう1つの弾丸がパーシヴァルの膝をかすった。
『あらら惜しいな〜』
どうやらブロンズ様が弾丸を放ったタイミングで、ケールさんもこっそりと弾丸を膝に向けて放ったようだ。
『ほう、ケールと言ったか? 貴様相当強いだろ? どこの所属だ?』
『ん〜、神の使いってところかな〜』
さすがに神の居城の看護婦とはバラせないよな。というかバラした所で信じてもらえないだろうがな。
『神の使い? なんだそりゃ? ギルドの名前か何か?』
『そんなところ〜』
『なるほどな……これは面白くなってきたなぁ!』
途端に目つきを変えたパーシヴァルは、俺とブロンズ様を眼中から外して、ケールさんだけを狙い始めた。
『え〜私集中狙い〜? それは困るな〜、ダスト君助けて〜』
助けを求めるわりには、パーシヴァルの攻撃を余裕でかわしているし、反撃しようと思えば反撃できるだろう。
というか、ケールさんなら下手したら一瞬で倒せるんじゃないか?
だけど、やっぱりケールさんは積極的に戦闘に参加しようとしていない。
やはり神様からやり過ぎないように釘を刺されているからだろうか。
『……』
ケールさんは、パーシヴァルの攻撃をかわしながらこちらをチラチラ見ている。
そして、もう何十回見たかも分からないケールさんの下着もチラチラと見えている。
『ねえ、女の子のパンツが大好きな変態お兄ちゃん、さっきからどこ見てるの?』
ブロンズ様は笑顔でそう言って俺に圧をかけてきた。
ごめんなさい、今それどころじゃないよな。
真面目に考えると、ケールさんは自分じゃなくて俺達に戦って欲しいんだろう。
『何で?』
色々事情があるんだろうよ。
『ふーん』
だから俺達はケールさんに夢中なパーシヴァルの隙をついて不意打ちすればいい。シンプルな話でしょ?
『なるほどね、ケールお姉ちゃんの事情はよく分からないけど、作戦については分かったわ』
俺とブロンズ様は頷き合い、俺は魔法の準備を、ブロンズ様は銃を構えた。
そんな俺達の様子を見たケールさんはフッと笑った。
『おい、どうしたケール。反撃しないのか?』
ケールの動きを不審に思ったパーシヴァルは決してケールさんに当たることもない槍を振り回しながら、そう聞いた。
『うん、あくまで君を倒すのは、ダスト君とブロンズちゃんだからね〜』
『ほう、貴様はあの2人の師匠か何かなのか?』
『う〜ん、ちょっと違うけど、まあ似たようなものかな〜』
『うむ、そうか』
少し残念そうな顔をしたパーシヴァルは突然攻撃を止め、指を指すように槍を俺達に向けた。
『ならあの2人を倒したら、本気で私の相手をしてくれるってことか?』
『うん、そうだね〜』
『……分かった。ならば速攻でケリを着けるとしようか』
パーシヴァルは俺とブロンズ様を舐めているのか、つまらなそうな顔をして、俺達に槍を向けた。
『そういうわけだから、弟子の貴様ら! 覚悟しろぉ!』
パーシヴァルは猪突猛進の如く俺達に襲いかかる。
『来るぞ……!』
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