第222話『王妃ネヴィアからのお知らせ』
お待たせしました。
今日は体調が安定していたので、第222話の執筆を完了させる事ができました。
宜しくお願い致します。
王妃ネヴィアは、軽く雑談をしたあと、表情を一切変えることなく本題を話し始めた。
――皆様にいくつかお知らせがございます。まず1つ目は、皆様の周りに充満している霧についてです。これは、別名“迷い霧”と呼ばれるものです。この“迷い霧”に入った者は方向感覚を失い、なかなか出口にはたどり着けません。これは霧の女神ミスト様と幻の女神ファントム様のご協力によって成された魔法でございます――
『やっぱり……』
――ですが、彼女達は裏切ったから、そうしたわけではございません――
『ん? 違うのか?』
――この私が彼女達を魔法で服従させたのです――
『何だと……?』
服従なんて正義らしからぬ非道を行っているのにも関わらず、王妃ネヴィアは平気な顔をしている。
善人面をしているが、王妃ネヴィアも危険な存在だと警戒してた方が良さそうだな。
――次に2つ目のお知らせですが、その彼女達と一緒に行動していた他5名の方達は、ランスロット様によって確保され、それぞれの罪により、特別な牢に収監しました――
『マジかよ……』
フラン……みんな……!
『そんな……』
今すぐ助けに行かないと……特別な牢ってなんだ?
――特別な牢ってなんだ? と思った方もいらっしゃると思いますので、ご説明いたしましょう――
まるで心を読んだかのように、タイミング良く特別な牢とやらを説明してきた。
――特別な牢は地下牢とは違い、特別な素材でできており、どんなに強力な魔法を使ったとしても脱獄することは叶いません。それにその特別な牢の場所は地下牢ではなく、王妃室付近の部屋にありますので、警備はより厳重になっております――
その様子は画面に映し出された。
『助けに行くのは難しそうだな……』
『そうだね~、ちょっと骨が折れそうだよ~』
ケールさんはそう言って、拳銃を取り出した。
『ケールさん?』
ケールは突然、霧の向こう側に向かって発砲した。
『え、いきなりどうしたんですか?』
『あとで分かるよ~』
『?』
どうやらケールさんには何か策があるようだ。一体何をするつもりなんだろうか?
『ブロンズ様、ケールさんの心読んだ?』
『うーん、それがケールお姉ちゃん、食べ物の事しか考えてないわ……』
『なんでやねん』
いや、そういえばケールさん、引くほど食いしん坊だったな……超巨大パフェを一瞬で平らげた光景は今も俺の脳裏に焼き付いている。
いや、だとしてもこんな特殊な状況なのに食べ物の事しか考えないなんていくらなんでものんきすぎるよな……?
待てよ……さてはケールさんも本心隠してるな?
『ごめんね~、実は私も女神達と同じく表の心を用意してたんだ~、私の頭には機密情報もプライベートもあるからね~、ダスト君の世界で言うなら、某SNSの鍵垢ってやつだよ~』
『なるほど、分かりやすい……って何で俺の世界の事情知ってるんですか?』
『神様の魔法です~』
なんでも魔法って言えばいいってもんじゃないだろうが。もうなんでもありだな。
――次に3つ目のお知らせです。これから皆様にはゲームをしてもらいます――
『ゲームだと?』
なんでゲームなんて――
――なんでゲームなんてやらないといけないんだ、なんて思ってる方もいらっしゃるでしょう――
また心を読まれてしまった。それともこちらの気持ちを察して先読みしただけか。
――私はルシウス・ペンドラゴン現国王と話し合いました。これ以上、国民や一般兵士の犠牲を増やしたくない。そこで思い付いたのがこのゲームで全ての決着をつけたらどうかと……要するにこのゲームに勝った方が正義の証を手に入れることができ、負けた方は勝った方の要求に応じなければなりません――
なるほど、シンプルで分かりやすいな。どうやら敵側も正義を名乗ってるだけあって、犠牲者の多さに思うところがあるみたいだな……なんていうのは建前だろう。本当は犠牲者の数なんてどうでもよくて、別の目的があるに違いない。人間ってやつはそういうやつだ。簡単に信じられるわけがない。…………信じられるわけないんだ。
――次にこのゲームの参加者ですが、今から参加者の皆様に送られる石板の通りです――
王妃ネヴィアはそう言うと、どこかからか俺達の元に色々と記載されている石板が現れた。
その石板には参加者の名前が以下の通りに羅列されていた。
正義教団チーム 反逆者チーム
ルシウス・ペンドラゴン ダスト
ランスロット ケール
ケイ ゴールド
ガウェイン ブロンズ
パーシヴァル ブラック
エレック プラチナ
葛木龍騎 レッド
??? ガレス
??? ケイデス
??? アミ
みどり
???
???のところは、対面してからのお楽しみだそうだ。正義教団チームの方はさっぱり分からないが、反逆者チームの方は、神様の情報と照らし合わせると、何人か心当たりはあるが、果たして誰なのか……。
あと、この参加者リストを見た時、疑問に思った箇所が3つある。
まず1つは、参加者リストの中にルキウスがいないことだ。考えたくないことだが……おそらく……。
2つ目は、バレスさんの名前がない。代わりにガレスという名前がある。もしかしてだがバレスさんの本名か?
最後に3つ目は敵側にトリスタンがいない。正義教団の幹部は瀕死状態であっても復活するはずなのに、なぜトリスタンだけ……?
あとどうでもいいけど、葛木の下の名前って龍騎だったのか。“ダストの記憶”にも無かったな。まあ、自分をいじめた奴の下の名前なんて覚えたくもないか。
――ルールを説明致します――
王妃ネヴィアによると、このゲームのルールはこうだ。
①まず10分間、それぞれ霧の中を適当に歩いてもらう。
②その10分の間に敵と会ってしまったら、対面したメンバー内だけで、どちらかのチームが全滅するまで戦ってもらう。
③対面しなかったメンバーが戦場に駆けつけて助けに行くことも、戦場にいるにも関わらず他の戦場に行くことも禁ずる。
④味方チーム同士が会った場合、今後そのメンバーとグループとして共に行動して共闘することも可能。
⑤敵チームと会わなかった場合は、参加者全員の戦闘が終了するまで、その場で待機する。尚、その間、ただ待機しているだけでは退屈なので、他のメンバーの戦闘しているところをモニターで観ることは可能。
⑥参加者全員の戦闘が終了したあとは3分間のアイドルタイムが与えられる。それが終わったら、また①に戻り、これらをどちらかのチームが全滅するまで繰り返す。尚、全員が戦闘しなかった場合、アイドルタイムは与えられず、すぐに①に戻る。
以上だ。
疑問点がある場合は、モニターから王妃ネヴィアに直接連絡できるアプリがあるので、そこで質問できるらしい。ただこのゲームに関係ない質問は受け付けないとのことだ。
――以上です。ルールは理解して頂けましたでしょうか? おや何名かもう既にグループになっているメンバーも居ますね?――
俺らの事か。まさか公平性を保つためにバラバラにするなんてことは……。
――運が良いですね。ご安心下さい、バラバラにはしませんよ。そのままゲームを始めて頂いても結構ですよ――
『ふぅ……良かった……』
『ホント良かったわ、私お兄ちゃんと離れたくないもん』
『ブロンズ様……』
『たっぷりと調教してあげたいからね……ふふふ……』
ブロンズ様は可愛い笑顔で可愛くない事を言った。
と思ったら、急に不安そうな顔になって、こう言った。
『なんて冗談は置いといて、出来ればゴールド姉とみどりちゃんとも一刻も早く合流したいわ……』
『ブロンズ様……』
そうだよな……もしゴールドちゃんとみどりちゃんが誰とも合流してない状態で幹部の誰かと出くわせば……ただじゃ済まない。他のメンバーの状況を知る手段もないし……不安だよな。
『それなら、とにかく早く行動して会うしかないよね~』
『でもそれだと敵に会う可能性も……』
『大丈夫だよ~、私もいるし』
『ケールさん……』
そうだ、積極的ではないとはいえ、今の俺達にはケールさんという最強の看護婦がいる。誰が相手でも怖いものなんてない。まあそれでも敵に会わずに、味方と合流できるに越したことはないがな。
――すみません、1つ言い忘れておりました。この放送は全国民に生放送でお送りしております。ご了承下さい――
まさか異世界に来て“アプリ”やら“生放送”という現代的な単語を聞くことになるとは思わなかったな……なんか新鮮というか変な感じ。
――それでは皆様、準備はよろしいでしょうか? ゲーム開始のカウントをモニターに表示させます。0になったらゲーム開始です――
3……2……1……0!
――これより正義を賭けたゲームを開始します! ――
第222話を見て下さり、ありがとうございます。
次回以降なんですが、今までは投稿予定日をここに書き残してきましたが、自分の体質もあり、また体調が不安定になる可能性があって、前回のように投稿日が遅れて、皆様に混乱を与えてしまうのでは……と考え、今後は投稿予定日を書かない代わりに、更新ペース表というのをあらすじの欄に載せたいと思います。
『基本的に2~3日に1回のペースで更新します。ただ早ければ1日、遅ければ4日以上かかる場合があります(1週間以上更新が無かった場合は、作者か作者の携帯に何かあったと考えて下さい)。』
と、あらすじに載せる内容は↑こんな感じです。
基本的にいつもと更新ペースは変わりません。ただ今後、投稿予定日を後書きには書かずに更新ペース表をあらすじの方に載せる、と覚えて頂ければ幸いです。
自分の身勝手な都合で突然の変更をしてしまい、誠に申し訳ございません。
今後も皆様に面白い、この作品に出会えて良かったと思えるような作品にしていきたい所存でございますので、何卒宜しくお願い致します。




