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第220話『普通じゃない』

お待たせしました。

第220話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


『なんだこれは!?』


 異空間ホールから現れた植物の触手が、ガウェインの手足を拘束する。そう、これは俺の仕業だ。


『植物魔法“触手(テンタクル)”』


 この魔法は名前の通り、植物の触手を出現させる魔法だ。俺の意志で動かせるので、攻撃はもちろん、かゆい所に手が届かない時や、自販機の下に落ちた小銭を取るのにも便利だ。あるいは女の子に……いや、これ以上はやめておこうか。あとでブロンズ様が怖い……。


『くっ……こんなもの……破れないだと!?』


 ガウェインは力付くで触手を破ろうとするが、この触手は力にはめっぽう強いので簡単に破ることはできない。


 いや、いっそ破ってくれた方がこの見たくもない絵面を見なくて済むのか。


 まあでも、そうじゃないと話が先に進まないからなぁ……それにそろそろ、ブロンズ様から真面目にやってと言われそうだし……仕方ないか。


 さあ、切り替えていこう。


『くそっ!』


『さて、ガウェイン君? 俺が何を話したいか分かるよね?』


『俺に奴隷になれってことか?』


『そうだ。もし断れば俺はまたお前にさっきと同じ毒魔法を放ち続けることになる』


『くっ……!』


『どうする?』


『……分かった、奴隷にでも何でもなってやる……』


 俺は再びブロンズ様を見る。


『……嘘はついてないわ』


『よし、交渉成立だな』


『おお、それなら早くこの拘束を解いてくれ』


『は? もう忘れたのか? お前は奴隷だ。お前の拘束を解くかどうかは俺次第だ』


『くっ……!』


 ガウェインは、親の仇のように俺を睨み付けた。

 

『なんだよ? 文句があるのか?』


『ね、ねえよ!』


 さっきから奴隷らしからぬ口調と態度だが、まあそこまで求めるとさすがに面倒くさいので、特に追求はしないでおこう。


 ――■■■ちゃ■――


『ん? 誰か何か言った?』


 周りにそう聞いても、誰1人として頷かないどころかガン無視されてしまった。


 なんだ? 何かみんなの様子が変だな。疲れてるのかな?


 まあいい、それよりも今はガウェインから情報を……。


『よし、では早速質問をしよう……ルシウス・ペンドラゴンと王妃ネヴィアについて知ってることを話して貰おうか』


『……分かった。まず王だが、あの人の強さは規格外だ』


『それだけか?』


『……王は戦闘時に禍々しい黒い甲冑の姿になる』


『黒い……甲冑だと?』


 それって、もしかして……?


『その他には何かないのか?』


『そういえば、王はいつだったか、神の居城(ヴァルハラ)守護神(ガーディアン)と、1度やりあったことがあるらしいぜ』


『なんだと……?』


『まあ結果は引き分けだったみたいだがな』


 引き分けだと……?


 俺はまだ会ったことすらないが、聞いた話では守護神(ガーディアン)は、あのアクタですら苦戦する程の力を持つ。ルシウス・ペンドラゴンはそんな奴と互角に渡り合ったと言うのか……?


 俺はブロンズ様の顔を見る。


『こいつの言ってることは本当よ』


『そっか……』


 作戦通りなら、今頃ルキウスが単独で王を討とうとしている。


 ルキウスの実力では、ルシウス・ペンドラゴンに勝つことはできない。


 一刻も早く王室へ向かわなければ……。


『急ごう! ルキウスが危ない!』


 俺は拘束したガウェインを、みどりちゃんの上に持ち上げ……ることはできなかったので、ブラックに手伝って貰った。


 それに続いて、ブロンズ様をお姫様抱っこしているゴールドちゃんとレッドも、みどりちゃんに乗り込むために跳躍した。


『みどりちゃん、特急で頼んだ』


『はい』


『あれ?』


 いつも元気に返事をしてくれるみどりちゃんは、なぜか今回に限っては、機械的な返事をした。


 やっぱり様子が変だ。喧嘩でもしたんだろうか? ちょっと様子を見てみよう。


 こうして俺は、みんなと共に、この心地悪い空気の中、王室へ目指すのだった。


『……』


『……』


『……』


『……』


『……』


 なぜだか分からないが、みんなさっきから俺によそよそしかったり、俺を見ながらひそひそ話をされている。


 悪い意味で、俺またなんかやっちゃいました? と言いたいくらいだ。


 やめてくれよ、陰キャにそれは1番効くから……。


『ねえ、お兄ちゃん』


 神妙な面持ちのブロンズ様は、俺に話しかけてきた。


 明らかに、いつものように俺をからかいに来たというわけではなさそうだ。


『何?』


『さっきの戦いは何?』


『何って?』


『何であんな戦い方をしたの? 私がこいつに乱暴にされたから?』


 は、何でそんなこと聞いてくるんだ?


 そんなのもちろん……。


『ブロンズ様の為に決まってるじゃん、こうしてあのクズを苦しめた挙げ句奴隷にしてやったりでスカッとしたでしょ?』


 しかし、俺の問いに対して、ブロンズ様は首を横に振った。


『え、何で?』


 自分に乱暴した奴なんて仕返ししたいと思うのは自然な事だと思うんだが……。


 俺は、ブロンズ様がなぜ俺のやり方を拒絶したのか分からなかった。いやブロンズ様だけではなく、他のみんなもさっきの俺の戦い方に不信感を抱いていた。


『いや、なんかさ……隊長らしくないよねー』


『は?』


 なんだ隊長(おれ)らしさって?


『まあ私の知ってる隊長は他の世界線の隊長だから、性格とか戦闘スタイルとか多少は変わってるんだろうけど……でも今の隊長は、あまりにも違うというか……』


『それは俺も思った。隊長はもっと正攻法に勇ましく戦いを挑む人だったからな』


 は? なんだよそれ。


『プラチナも言ってたが、俺はお前たちの知ってる隊長じゃない。俺に、あの憧れの“ダスト隊長”を求められても困る』


『いや、それにしたってさっきのはやり過ぎじゃないの?』


 アミさんも、俺にそう言ってきた。


 おいおい、なんだよその目は?


『いやいやいや、だってこいつだぜ? ブロンズ様に乱暴したような奴だぞ? 敵は敵でも、痛い目遇わせなきゃいけないタイプの敵なはずだろ?』


『だからアミさんがさっきやり過ぎだって言ってるじゃん』


 バレスさんまでもが冷たい目を俺に向けて、そう言ってきた。


『は?』


『いや確かにね、毒魔法を使った戦い方はあるよ。でもそれはあくまで戦いに勝つための手段の1つに過ぎない』


『そうだ。俺は戦いに勝つためにああしただけだ』


『でも()()はさ、あんなに毒魔法ばかりを発動して相手を倒すなんて陰湿な事はしないよ?』


 普通……普通……普通。


 “普通じゃない”


 昔、あいつの妹に言われた事を思い出した。


 普通じゃない普通じゃない普通じゃない普通じゃない普通じゃない普通じゃない普通じゃない普通じゃない。


 そうか、俺はやっぱり普通じゃないんだな。


 ああみんな、そんな悪者を見るような目で俺を見ないでくれ。苦しい、苦しいよ。


 俺だって、どう戦えばいいかなんて分からないよ。


 俺だって、戦うのは怖いんだよ。少し前まではクソ雑魚だったんだぞ?


 でも、ブロンズ様を傷つけたような奴だし、やっぱりこれくらいはしなきゃいけないと思った。だからあんな戦い方をしたんだ。


 隊長らしくない? 正攻法? そもそも俺はダストですらない全く関係ないただの一般人だ。


 そんな戦闘素人の俺に、そんな手を使うなと言われても困るよ。


 俺は”ダスト”じゃないんだよ。


 俺はダストと違って才能があるわけじゃないんだよ!!!


 なのに、なんだよ、みんなして……俺を責めて……。


 まるで、かつてのあのクラスメート達みたいだ……。


 嫌だ。嫌だ。嫌だ。


 辛い。辛い。辛い。


 なんで俺は異世界に行っても、否定されなきゃいけないんだよ……普通がそんなに偉いのかよ……。


 結局、人なんてこんなものか……。


 ちくしょう……。


 はぁ……。






































 ダレカタスケテ。




























 ――ならば、壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動せよ――



 突然どこかから声が聞こえた。


 誰だ? でもこの声、どこかで聞き覚えが……?



 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動できれば、全て解決できる――



 全て……?



 ――さあ貴様の望みを叶えたければ、発動するがいい、壊れた歯車(ワールドキャンサー)を――



 ……。




 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動しますか?――



 俺は――



第220話を見て下さり、ありがとうございます。

次回ですが、最近また体調が悪くなってきたので、予定通りに投稿できるか分かりません。

体調が安定すれば、9日(金)までには投稿できると思います。

更新日が不安定で、誠に申し訳ございませんが、何卒宜しくお願い致します。

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