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第215話『VSケイ①』

お待たせしました。

第215話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

 《ガラード視点》


『いきますよ……!』


 私はそう宣言し、盾を前に出しながら、ケイに剣を突きつける。


 しかし、ケイはそれを剣で難なく受け止める。


『くっ……!』


 私もケイも戦歴でそれほどの差はないはずだが、やはり力の差がある。


 しかもケイの場合はそれだけじゃない。戦術が多彩過ぎて、いちいち対応できない。


 剣を出してきたと思ったら、弓を出してきたり、魔法を使ってくると思ったら、格闘術だったりと、とにかく戦術の切り替えのスピードが異常に早い。


 幹部の中で1番戦いたくない相手だ。


『ん?』


 ケイの足がメラメラと燃えていることに気がついた。


 これは、まさか……。


『喰らえ』


 ケイは足に炎を纏わせて“炎の足”を作り、その足で、私の足を払い、そのまま私を蹴りあげようとした。


 だが私は、蹴りあげられる前に、身体をケイとは反対方向に回転させ、なんとか避けた。


『やるね、ガラードちゃん』


 ケイは、このくらいまだ序の口だと言わんばかりに余裕の表情を見せてきた。


『くっ……!』


 先ほど“炎の足”に払われた私の足だが、私は足にも鎧をつけているので、鎧が少し焦げて凹んだだけで、足そのものにはあまりダメージは負わなかった。


『さて、次はどうしようかな』


 ケイは緊張感もなく、まるで私という玩具で遊んでいるようだ。


 くっ……やはり、ケイは強い。


 ただ強いだけじゃない。やはり頭がキレる。


 さっきは私も動揺してしまったけど、ケイ相手に咄嗟に思い付いた奇襲作戦なんて、最初から通用するわけがなかったんだ。


 私は、一瞬でもケイに勝てるなんて思ってしまった自分を恥じた。


 生半可な気持ちでは、ここを突破することはできない。


 だが、何も今、ケイを倒す必要はない。


 今はケイからどうにか離れられればいい。


 離れた後で、フランさん達とどこかで合流してから、改めてケイに挑めばいい。そうすれば勝率は格段に上がる。


 きっと、フランさん達も、今頃、秘密の通路から武器庫まで戻ってから、遠回りして私と合流しようとするだろう。


 ……覚悟はもう決まっている。


 ここで私がやるべきことは――


『お、ガラードちゃん、それって……』


 私は、また()()()を使うことにした。


 ダストさん達と、武器庫で戦った時に使おうとした魔法を用いた剣技だ。


 あの時は、ケールさんによって阻止されてしまいましたが、今回は失敗しない。


『はあああああああああ!!!』


 私は剣に魔力を込め続ける。その間は動けないが、同時に自動防壁魔法が発動するので、ケイの攻撃が当たることはない。


『なるほどね、確かにそれやってる間は、手も足も出ないね……』


 私の行動が想定外だったのか、ケイから余裕の笑みが消えて、らしくない真剣な表情を見せてきた。


『さて、マジでどうしようかな……』


『……』


『ねえ、ガラードちゃん』


『今集中してるので、話しかけないで下さい』


『あ、ごめん』


 いや、そもそもケイはもう敵なので、別に謝る必要はないんですが……ってダメです。集中です、集中……集中。


『……』


『……』


『……うーん、暇だなぁ……』


『……』


『というか、何かこの部屋、魔力臭いな……誰かここでこっそり魔法の練習でもしてたのかな』


『……』


『ねえ、どう思う?』


『だから、私に話しかけないで下さい!!! 気が散るんですよ!!!』


 ケイがあまりにもうるさいせいで、集中ができず、つい怒りをぶつけてしまった。


 まだ魔力も込めきってないのに。


『あははは……ごめんよ』


 ケイは苦笑いをしながら、そう言った。多分反省はしてるけど、心の底では反省してないだろう。


『そこで大人しくしてて下さい!』


『あ、はーい』


 妨害できないとはいえ、私の剣技を知ってて、逃げずに待つなんて、この男は何考えてるんだ?


 私がそんな事を思っていると、ケイは私の心の声に反応したかのように、すぐにこう答えた。


『俺はね、可愛い女の子の攻撃ならいくらでも受け止めるよ、例え致命傷を負うとしてもね』


 ケイは、まるでかっこいい事を言っているような決まった顔をしているが、要するにただのバカである。


『!』


 今、私の剣に魔力が限界値まで溜まりきった。


 すると、私の剣を纏った魔力のオーラが、炎のように溢れ出す。


『行きますよ……ケイ!』


 私は勢いよく、ケイに剣を突きつける。


『くっ……!』


 ケイは、私の剣を受け止めてみせたが、一瞬だけだ。


『なに……!?』


 ケイの剣に亀裂が走り、そしてバラバラになった。


『マジかよ!』


 ケイは剣を捨て、後ろに下がると、すぐに弓を出してきた。


『させません!』


 ケイが弓を引くその前に、私は剣で弓をはたき落とした。


『くそっ!』


 すると、ケイは今度は杖を出してきた。


『杖?』


 あれ? ()()()()()()()()()()()


 覚えがあるはずなのに、思い出せない。


 そんなことを思っていると、ケイはニヤリと笑みを見せ、杖を使って魔法を放ってきた。


『風魔法“ガスト”』


 ケイの杖から、感じたこともない強い突風が吹き荒れる。


『うっ……!』


 突風のせいで、前に進むこともできない。今はなんとか踏ん張ってはいるものの、少しでも気を抜くと吹き飛ばされてしまいそうだ。


 それにしてもおかしいな。風魔法“ガスト”は、そこそこ強い突風を巻き起こすだけの魔法だ。まるで竜巻のような強力なものを出せる魔法ではなかったはずだ。


 あの杖か?


 あの杖を使えば、これ程までに強力な魔法が撃てるということなのか?


『ガラードちゃん、もしかしてこの杖の事考えてる?』


 ケイは、まるで私の心を読んだかのようにそう聞いてきた。


『……』


 突風に圧されて、それどころではない私は口を聞かなかった。


『まあ、それどころじゃないか……じゃあ決着をつけるよ』


『それは、まだ……早いですよ!』




第215話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、25日(金)か26日(土)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。


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