第211話『美女の手を取る赤髪の変態』
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《赤髪ちゃん視点》
私達は、バレスとカイオスさんと合流するために、城へ向かう途中だったのですが……。
『ヒナさん、こちらです』
ここは足場が悪いので、私はヒナさんが転ばないように手を取りながら、慎重に進んだ。
『ありがとう、赤髪ちゃん』
『いえ』
私としては、ヒナさんの綺麗な肌に触れて幸せなので、役得ですね。ふへへ。
『あの、赤髪ちゃん……なんか手つきおかしくない?』
『おっと、失礼しました』
私としたことが、ヒナさんの手が綺麗すぎるあまり執拗に触りすぎて、ヒナさんが不審に思ってしまいました。
これはいけません。もっと触れてもバレないようにしなくてはいけませんね。ぐへへ。
私がそんな邪なことを思っていると、ヒナさんが、こんな事を言ってきた。
『赤髪ちゃん、もしかして緊張してる?』
『え?』
『いや、なんだか様子が変だから気になっちゃって……』
『あ、い、いえ、そういうわけでは……』
でも確かに、全く緊張していないと言えば嘘になる。
ヒナさんが綺麗すぎるから……というのもあるが、なんせ、もう2度と帰って来ないと思っていた故郷にまた来ることになってしまったのだから……。
300年経ったところで、この国は何も変わらないだろう。
……あれ? 人間の寿命って……300年以上もありましたっけ?
いや、私の記憶では確かにそうなんですが……何か釈然としないというか……違うというか……。
何でしょう、この感覚……?
何かが違うような……。
『……』
『赤髪ちゃん?』
『は、はい』
『本当に大丈夫? やっぱ緊張して体調悪いの?』
『い、いえ……あ、あのつかぬことを聞いても宜しいでしょうか?』
『ん? いいけど……』
『人間の寿命って平均でどれくらいですか?』
『人間の寿命? えーと、どれくらいかな……うーん……大体500年くらいじゃない?』
ヒナさんは、当たり前のようにそう言った。
『……』
『え? 私、何か変なこと言った?』
ヒナさんは全然変なことは言っていません。そのはずなのですが、私からしたら違和感があります。なぜでしょう?
『い、いえ何も』
『本当にどうしたの? 何か変だよ?』
ええ、本当に変なことばかりです。
私は何を言ってるのでしょう。
500年が人類の平均寿命なんて常識なのに……。
『すみません、やっぱり私、何か変ですよね』
『赤髪ちゃん……』
やっぱり私は、こんな当たり前の事を聞いてしまうくらい、無意識に緊張しているって事なんでしょうね。
でも、こんなんじゃダメですね。
キリカさんの情報によると、ダスト様は既にゴールドさん達を助けて、秘密基地で過ごしてるみたいですし、一刻も早くダスト様達と合流しなければ……。
ですが、バレスやカイオスさんの事も気になります。
今頃、城の中で私達を探しているんでしょうが……。
『変と言えば……ここはどこなんでしょう?』
先ほどまで私達は、城へまっすぐ向かっていたはずなのです。はずなのですが……なぜかいつの間にか、奇妙な森の中に居たのです。
『うーん、なんとなく闇森に似てるけど、違うっぽいかな』
『闇森ですか、確かに似ていますね』
この不気味な雰囲気だけは本当にそっくりだが、本家と異なる点は、闇森とは真逆に、毒気が一切なく、むしろ適温で空気も美味しいので、居心地が良いくらいだ。
『ここ、空気が美味しいですね』
『ね、こんな不気味なのに、不思議だね』
しかし、それが逆に不気味さを際立たせているとも言える。
それに……。
『ねえ、誰か見てるよね』
ヒナさんも気づいていたようですね。
実は私も先ほどから何者かから視線を感じてました。
しかし、その何者かはおそらく近くに居るわけではなく、遠くから見ているような……まるで箱庭にいる私達を眺めているような……そんな感じですかね。
『ええ、ですが、私達の近くには居ませんね』
『気味が悪いよね……』
『そうですね、早くここから出ましょう』
とは言ったものの、ここから見渡す限り、木木木。
ゴールがまるで見えない。
どこに進めば、ゴールなのかさっぱりだ。
なので完全に運任せで、進むしかない。
『どこに行けば出れるかな?』
『……すみません、私にも分かり兼ねます』
『ううん、いいのよ。あ、それなら真っ直ぐに進み続けてみましょうか。そうすれば、どんなに広い森でも、いつか絶対たどり着くはずよ』
『そうですね、そうしましょうか』
これ以上は、どんなに知恵を絞っても何も良い案は思い付かないだろう。今のところはヒナさんの案に乗るのが1番だ。
こうして、私達はゴールが見えない広い森の中を、決して方向を違えずに、ただ真っ直ぐに進み続けた。
しかし――――
あれから2時間が経過しても、一向にゴールは見えず、同じような景色が移り行くだけだった。
もちろん、歩く方向は違えていない。それは間違いない。
にも関わらず、ここまで景色が変わらないなんてことがあるだろうか? いいや不自然だ。
『もしかして、幻術魔法か何かかな』
ヒナさんは、そう疑い始めた。
無論、私もその可能性を考えた。むしろ歩いている途中から、それしか思い浮かばなかった。
しかし、だからといって、全く行動しないわけにもいかなかった。
あのまま留まっても、何も起こらないだろう。
それなら何か行動した方がマシだ。
ヒナさんも私もそう考えていたのだ。
だが、とはいえ、このまま歩き続けても無駄だろう。
なら次に私達が取る行動は……。
『そうだ、木の上へ登ってみましょう』
『木の上?』
『はい、木の上なら別の景色が見えるでしょうし、もしかしたら何か分かるかもしれません』
なんで最初にこれが思い付かなかったんだろうと、自分でも思います……。
『なるほど……でも……』
ヒナさんは、なにやら恥ずかしそうにもじもじしている。
『どうかしましたか?』
『いや、その……ね、私、木とか登ったことなくて……』
『それなら大丈夫です。私が登ってきますから』
私がそう言って、安心させようとするも、ヒナさんは、まだ恥ずかしそうにしている。
『えっと……そうじゃなくて……ね、その……赤髪ちゃん、長いとはいえ、スカートよね?』
私の今の服装は、ロングスカートタイプのメイド服だ。魔王城で仕事着として、よく着ていたものだが、着心地が良すぎるし、デザインもかなり可愛いので、こうして普段着にもしている。
『ええ、それが何か問題でも?』
『いくらスカート長くても、あんな高い木に登ったら、その……赤髪ちゃんのパ、パンツが見えちゃうかもよ?』
『ああ、そういうことですか……何か問題でも?』
『え、恥ずかしくないの?』
『いえ、私はそれほどでは……』
さすがに男性に見られるのは抵抗がありますが、同じ女性なら問題ない。むしろヒナさんに見せつけて、私を意識させたいくらいです。
いや、待てよ……? 今のスカート履いてるヒナさんに木登りをさせれば……。
ヒナさんのパンツが見えるのでは!!!!!
……と思ったんですが、ヒナさんは、そもそもパンツ見える事自体を気にしてるので、スカート履いた状態で、絶対木登りなんてできないでしょうね。
それだったらもう……。
『ヒナさん、これは仕方のないことなんです』
『え……?』
『この状況を打破するには、誰かがパンツを見せなければならないのです』
『赤髪ちゃん……』
『木を登るということは、即ちパンツを見せることなのです!』
我ながら何を言ってるのやら……。
『ですが、ヒナさんに木を登らせるをさせるわけにもいかないので、私が木を登ります』
ヒナさんは、ゴールドさんと同じで、例え同じ女性であっても、パンツを見られる事は耐え難い恥辱なのでしょう。そんなヒナさんの恥ずかしがってる姿を見るだけでも心の高鳴りが止まりませんが、だからと言って、無理やり木登りさせるのも気が引けます。
『赤髪ちゃん……! くっ……ごめんね……ごめんね……!』
ヒナさんは、悔しさで、一筋の涙を流した。
私はそんなヒナさんの肩を優しく掴んでこう言った。
『良いんです。むしろヒナさんのような綺麗な方に、私のパンツを見られるなんて光栄です』
ヒナさんのような美女に、私のお気にのパンツを見られるなんて、めちゃくちゃ興奮します!!!!!
『赤髪ちゃん……!!』
ヒナさんは、私の決め台詞に感涙した。ええ、我ながら決まりました! 美女の前でカッコつけられました! わーい! 好感度爆上がり間違いなしです!!!
『そうと決まれば、早速……』
イケメンムーブが決まった私が木を登る準備をしようとした……その時だった。
――えっと……あの、そういう卑猥な話をうちの庭でやるのはやめてもらっていいですか?――
空? から女性の声が聞こえてきた。
『え、誰ですか……?』
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次回は、13日(日)~15日(火)に投稿予定です。
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