第209話『生存本能』
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先ほどまで、ケイは、ブラックに会心の一撃を決められるところだったが、機転を利かせ、逆に隙をついて、氷魔法“フリーズ”を放ち、ブラックの全身を凍らせた。
『父ちゃん! 父ちゃん!』
ゴールドちゃんは、完全に凍ってしまったブラックを呼び続ける。
だが当然、返事などない。こうなってしまったら、ブラックはほぼ銅像と変わらない。戦闘は不可能だ。
残る戦闘メンバーは、ゴールドちゃん、アミさん、ケイデス、レッドの4人。
純粋に総合戦闘力で測るなら、まだ、こちら側の方が優位だ。ただ、ケイの場合は単純な戦闘力だけでは強さを測れない。彼が持ってるのはバカ強い力でも、天才的な剣術ではなく、異常なまでの生存本能だ。
もちろん、純粋な力だけでも相当なものだ。だが、それだけではどうしても他の幹部には劣る。
にも関わらず、彼はガウェインやトリスタンよりも実力は上だ。
力関係が上の相手に対してどうやって生き残るか、この戦いに勝つためにはどうしたらいいかを瞬時に閃き、すぐに行動に移すことができる、その判断力の早さ、適応力が異常に高い。
今この瞬間も、彼は考えている。
“どうやって勝って生き残るか”を。
『さーて、次は誰にしようかな……』
ケイは、鼻歌を歌い楽しそうに次のターゲットを決めようとしている。
そんなケイにゴールドちゃんは――
『――ざけんな』
『あ?』
『ふざけんじゃねえ!』
怒り心頭のゴールドちゃんは、ケイめがけてハンマーを振り回す。
しかし、ケイはそれを無駄のない最低限の動きだけで、あっさりかわす。
そんなケイに、今度はケイデスの槍と、アミさんの二刀流の技が炸裂する。
『やべっ!?』
さすがに3人同時はかわしきれない。そう思ったケイは、そう危機感を漏らした。
『もらった!』
しかし――
『なんてな』
ケイは、ケイデスとアミさんに、反射魔法を発動した。
この反射魔法は名前の通り、いかなるものも反射する魔法。つまり、ケイに当てたはずの、ケイデスの槍とアミさんの剣は、反射して自分たちに炸裂する。
『うわああああっ!』
ケイデスは自分の槍に貫かれ、アミさんは、自分の剣に身体を斬られた。
『アミっち!』
ケイデスもアミさんも、傷が深く、戦闘続行は不可能となった。
残る戦闘組メンバーは、ゴールドちゃんとレッドの2人だけとなった。
『ケイ!!!!!』
怒り心頭のレッドが、勢いよくケイに斬りかかった。しかし、それをケイは自分の剣で受け止めた。
『よくもアミお姉さんを……!!!』
レッドは、そう言ってケイを激しく睨み付けるも、ケイは一切怖気つかずに、ヘラヘラしながら、こう言った。
『おやおや、これはこれは、いつぞやの死刑宣告されたレッドお坊ちゃんじゃないですか~、お元気そうで何よりですね~』
『黙れ!』
レッドは一旦受け止められた剣を振り直し、もう1回ケイに斬りかかった。
しかし、またしても剣で受け止められる。
『くっ……』
この時の力関係は、ケイの方が上だ。このままではレッドの方が押しきられてしまう。
『聡明な坊っちゃまなら、もうお分かりですよね?』
『は?』
『あなたでは、俺に勝つことはできないと』
『何だと!』
レッドは更に剣に力を込めて押しきろうとするが、全然剣が前に進まない。まるで鉄の壁でも斬ってるように重い。
『くっ……』
『はぁ……もうキリがないですね』
ケイは、そんなレッドに呆れ、レッドの剣を力だけで振り払う。
『しまった!』
レッドは剣を拾いに行こうとするも、ケイに先回りされて阻まれる。
『終わりだ』
ケイの剣が、容赦なくレッドに振りかかるが――
『させるかあああああああああ!!!』
そうなる前に、ゴールドちゃんのハンマーが、ケイの剣を受け止める。
『早く拾いに行け!』
『す、すまない!』
その間に、レッドは自分の剣を拾いに行った。
『くっ……』
ゴールドちゃんも、やはり力関係でケイには勝てず、押されている。
このままでは、ゴールドちゃんのハンマーも振り払われ、今度はゴールドちゃんに危機が迫るだろう。
それを知っておきながら、誰もが黙って見ているはずがない。
『させないわ!!!』
『!』
手が塞がっているケイに、横からプラチナがナイフを、ケイに刺した。
『ぐっ……ちっ!』
ナイフに刺されたケイは一旦下がり、ナイフを抜き、自身に治癒魔法をかけた。だが――
『くっ……毒か!』
プラチナが刺したナイフには毒が混ざっていた。
ただの毒であれば、治癒魔法で治せるのだが――
『しかも、これ……ただの毒じゃないよな?』
そう、ケイの言う通り、これはただの毒ではない。
この毒は、ダストの毒魔法によって生成された非常に強力な毒だ。解毒するには、毒魔法を生成した本人……つまり、ダストから治癒魔法をかける必要がある。
『そうよ。治癒魔法じゃ解けない特別な毒よ。諦めなさいケイ、あなたは負けたの』
『くっ……』
ケイの身体は、徐々に毒に侵されていく。
『こりゃ、やべえ……どうすっかな……』
ケイは、苦しみのあまり倒れたが、それでも尚、ヘラヘラとした表情と態度を崩さなかった。
『ねえケイ、どうやったらブラックは解凍できるの?』
『……解毒してくれたら教えてやるよ』
『くっ……ダスト隊長!』
プラチナは、ダストを呼んだ。
すると、ダストはケイの近くに来てから、冷静にこう言った。
『ブラックの命が優先だ、解毒してやる』
ダストは、仕方なくケイに治癒魔法をかけて解毒した。
『ふう……マジしんどかったわー』
『解凍方法を早く教えて』
『ああ、教えてやるよ……というか俺がやるわ』
ケイは、凍ったブラックの元へ近づき、氷魔法“解凍”を発動することで、1回放った氷魔法はキャンセルされ、ブラックはガラスが割れるように解凍した。
『――はっ!』
ブラックは、封印が解けて目を覚ましたかのように、再び動き出した。
『そうか、俺は凍らされて……』
ブラックは状況を理解し、再びケイに剣を向けた。
しかし、ケイは――
『ああ、めんどくなってきたから退くわ』
『は?』
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次回は、9日(水)か10日(木)に投稿予定です。
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