第207話『愛しくも美しい親子』
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こうして、ブラックの洗脳は解けた。
同様に、プラチナの仮面も破壊した。
『あぁ……全部……全部思い出したわ……』
プラチナは滂沱の涙を流した。
ブラックは、そんなプラチナに寄り添った。
すると、ゴールドちゃんとブロンズちゃんも、今にも泣きそうな顔で、プラチナとブラックの元へ駆けつけた。
『ゴールド、ブロンズ……俺達の愛しい娘達よ』
『パパ……! ママ!!』
ゴールドちゃんとブロンズちゃんは、滂沱の涙を流し、母であるプラチナを抱きしめた。
『うわあああああああああ!!! 母ちゃんも父ちゃんも今まで何やってたんだよ!!! あの時、てっきり、もう死んじゃったのかと思ったんだぞ!!!』
『ごめんね……ゴールド……ブロンズ……』
『うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!』
敵陣なのに激しく泣き喚く、愛しくも美しい親子。
戦場に厳しいケールさんも、今だけは、ただこの親子を見つめている。
――それから10分ほど経過した。
感動の再会ムードは終幕し、再び襲撃作戦を再開した。その作戦に、プラチナとブラックも加わってくれるそうだ。
まあ、そりゃ自分達を洗脳した挙げ句、記憶を改ざんしたような連中なんて敵対して当然だろう。しかも、まだ娘の1人であるシルバーちゃんも捕らわれている状態だ。親としても、とても黙ってはいられないだろう。
全く……正義とか名乗ってるくせに、やることが悪役っぽいし、えげつないんだよ。
『正義教団……許せないわ!』
プラチナは、これまでにないくらい怒りを表している。ヤンデレが放つような禍々しいオーラも出ている。
勢いあまって誰か殺しそう……。
『プラチナ、落ち着け。今はどうやってシルバーを救出するかを考えるのが先だろう?』
『そ、そうね……』
ブラックはプラチナとは対称的に、怒り狂いそうになるプラチナをなだめられるくらいには冷静だ。
こいつら、流星団の時とあまり変わらないな。
『なあ、ダスト隊長』
『おいおい、ダスト隊長はやめてくれよ。今はただのダストだぜ?』
『いや、そうなんだがな……どうしても記憶があるとな』
『そうか、まあそういうことなら好きに呼んでくれ』
『ありがとうございます』
まあ、そもそも俺、ダストですらないけどな。
あ、ちなみに、俺が本当はダストではないことは、プラチナとブラックには話していない。なぜって? 理由は単純だ。そこまで説明する暇がないからだ。
今の俺達はもう敵陣に襲撃してる最中だ。増援を呼ばれて、多くの敵と戦うことになる前に、大将を討っておきたい。そう考えている。
だから、心が読めるプラチナに俺の心を読まれないように、自分自身に魔法妨害の結界を張った。
ちなみに、この魔法妨害の結界を張れるようになったのは、つい先ほどだ。
実は、さっきから数分単位でどんどん色々な魔法が使えるようになっている感覚を味わっている。
どれも役に立ちそうな魔法ばかりで嬉しいことは嬉しいのだが、同時に恐怖も感じた。
そりゃ、このまま俺TUEEEEEEEEEになるだけなら理想だけど、この世界は、そううまくはいかない。きっと、何か副作用があるに違いない。
これについて神様は特に何も話していなかったが、俺の魔力量を増やす際に、顔が強ばっていたのは気になった。きっと何かあるのだろう。
『……』
『隊長?』
『え、あ、どうした?』
『いえ、突然、隊長が呆けてしまっていたので、何かあったのかと……』
『いや、なんでもない。それより先へ進もうか』
『はい』
ブラックと話してる最中だったのに、つい考えることが多過ぎて考え込んでしまった。
反省反省。
『みどりちゃん、更に4人追加で乗ることになるけど、大丈夫?』
『大丈夫です!』
みどりちゃんは、笑顔で力強い返事をしてくれた。
『ありがとう』
『いえいえ~』
全員、みどりちゃんの上へ乗った。
『皆さん、準備はいいですか~?』
『『『『『はーい!!!!!』』』』』
『それじゃ行きますよ~!』
なんか、まるでこれから遠足行くみたいなテンションだな……。
まあいいか。
こうして、俺達は、ルシウス・ペンドラゴン王がいる最上階へ向かうのだった。あと、あの未来予知で会った黒い甲冑のあいつもな。
――それから、数分後。
『どいてくださあああああああああああああああい!!!!!』
みどりちゃんは、迎え来る兵士達をまさに猪突猛進の勢いで次々と吹き飛ばし、道を開く。
『おいおい、いくらなんでも警備薄すぎないか?』
ケイデスは、そう疑問を呈する。
『確かに……何か変だね』
まあ、そもそも兵士の数が少ないし、本来なら、幹部であるプラチナとブラックが俺達を倒すか、倒せなくても戦力を削れるくらいの算段だったからこそ、この道には兵士が少なかったんだろうけど、まさかのプラチナとブラックの寝返りで、むしろ敵の戦力を増やしてしまうとは敵も思わないだろうな。
『ん? この感じは……』
ブラックは、そう言って、剣を抜いて戦闘体勢に入る。
俺も探知魔法で見ていたので、強い力がこちらに向かってくるのを知っていた。
『みどりちゃん、ストップ』
『はい!』
みどりちゃんは、まるで車の急ブレーキをかけたように、止まる。
『迎え討つぞ』
ブラックがそう言うと、みんな頷き、ブラックは先にみどりちゃんから降りた。
『よし、今度こそ俺の出番だよな?』
レッドは、そう聞きながらも、既に剣を抜いていた。戦いたくてしょうがない様子だ。
『ああ、頼む』
レッドは、楽しそうに、みどりちゃんから降りていった。
ルキウス曰く、レッドも戦闘面では申し分ないとのことだ。貴重な戦力であることは間違いない。
『俺も行く』
ケイデスは挙手をして、そう言った。
『さっき戦ったばかりじゃないか、大丈夫なのか?』
『大丈夫だ、あれくらいじゃ俺は倒れねえよ』
まあ見たところ、特にダメージを負ってるようには見えないな。もし、嘘ついてたら、ブロンズ様とプラチナが指摘してくるだろうし。
『分かった。頼りにしてる』
『おう!』
ブラックとレッドに続いて、ケイデスも、みどりちゃんから降りた。
『私も彼と同じかな。まだまだ大丈夫よ』
続いて、アミさんも挙手をした。
『アミさん、宜しくお願いします』
『……ねえ、ダスト君?』
『なんでしょう?』
『……いや、なんでもないわ』
『は、はあ』
アミさんは、一瞬、どこか寂しそうな顔を見せながら、みどりちゃんから降りていった。
アミさん、なんだか様子が変だったな……余裕があったら、後で話を聞いてみるか。
『さて、俺も降りて戦うか』
『お兄ちゃん……』
ブロンズちゃんは、なにやら不安げな表情で話しかけてきた。
『ブロンズちゃん?』
一体なにを言ってくるのか予想する前に、ブロンズちゃんは、こう言ってきた。
『こんな状況だから私も忘れてたけど、私の事は“ブロンズちゃん”じゃなくて“ブロンズ様”でしょ?』
『今、それ言うの?』
『うん』
『いや、うん……じゃなくてさ……』
もっとこう……気を付けてね、とか、死なないでね、とか他にも言うことあると思うんだけど……。
『あら、隊長、私の可愛いブロンズに文句でもあるの?』
ひえっ、プラチナが、今にもモンスターペアレントみたいな剣幕になりそうな予感……。
『あー、プラ……お母様は少し黙ってても宜しいでしょうか?』
『誰がお母様よ!』
『あー、もう何でもいいよ、ブロンズ様、そして容姿端麗のプラチナさん!』
俺がやけくそ気味でそう言うと、ブロンズ様もプラチナも満足顔でうんうんと頷いた。
全く……この親子は……。
『って、あれ? ゴールドちゃんは?』
『あー、ゴールドなら、さっきブラックと一緒に降りていったわよ』
『え?』
下の様子を見ると、ブラックの少し後ろで、ハンマーを持ち構えてるゴールドちゃんの姿があった。
『いつの間に降りたのか』
『ええ、ゴールドは恥ずかしがり屋さんだからかしらね♪ 目立たないようにこっそり降りたのよ♪ もう可愛いんだから♪』
『ああ、確かに可愛いな』
『ねー♪ 隊長もそう思うでしょ?』
『ああ、めちゃくちゃ可愛い!』
そんな会話をしてると、下まで聞こえたのか、ゴールドちゃんが顔を真っ赤にしてこう言った。
『聞こえてんぞ! それ以上可愛い言うな!』
『あら、ごめんなさい。可愛いゴールドちゃん♪』
『それをやめろって言ってんだろ!!!』
『もう、顔真っ赤にしちゃって、可愛いんだから♪』
『もうやめろおおおおおおおおおおお!!!!!』
あらら、ゴールドちゃんめっちゃイジられてるな……。
もうすぐ幹部クラスの奴がここに来るのに、なんて緊張感のない……。
『――ゴールド、お喋りはそこまでだ。来るぞ』
ブラックがそう言うと、ゴールドちゃんは真剣な顔つきになり、改めてハンマーを構える。
ケイデスとアミさんも、改めて体勢を整える。
『さあ、来い!』
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