第206話『足りない』
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《ブラック視点》
物心つく頃には、俺は正義教団の兵士になっていた。
自慢というわけではないが、俺には剣の才があった。
だからといって俺は驕らずに、コツコツと鍛練を積み、成果を上げていった結果、それが評価されて、俺は若くして幹部に昇進した。
幹部になった直後に、俺が隊長として部隊が結成された。
その当時、部下に配属されたのがプラチナだった。
プラチナは、とても要領が良く、戦闘面においても優秀だった。
なんだろう、不思議なことに俺は、プラチナとどこかで会ったような気がした。それもただ会っただけではなく、もっと関係性が密接してたような、そんな気がした。
プラチナは、クールな雰囲気を出している癖に、負けず嫌いで頑固なところがあったり、感情的になったりと、意外と不器用なところもある。
俺は、そんな彼女をいつしか放っておくことができず、気づいたら、ずっと目で彼女を追っていたのだ。
そして――
俺とプラチナは結婚した。
プラチナの方も、ずっと俺に好意を持っていたらしい。
完全なる両思いだった。
だが正義教団の幹部として、歓喜のあまり、はしゃぎすぎることはできなかった。が、心の中でははしゃいだな。それはもう誰にも想像できないくらいにな。うん。
それから少し経って、俺達の間に――が3人できた。
なんと――――で3人共――――だったのだ。
あれ? なぜかこの部分は思い出せない。大切なことなのに、なぜだ?
????????????????????
ある日、俺に――が2人できた。
その――達は、剣の才も魔法の才もあった。
ここもか……本当に誰だっけ?
まあ、その――達は、その才を生かし、俺と共に功績を収め続けたことで、――の方は、なんと、早くも幹部候補と“聖剣使い”候補にまで選ばれた。
“聖剣使い“は、ただ強いだけでは選ばれない。
いや、そもそも選ぶのは俺達ではなく、聖剣が所有者を選ぶのだ。
聖剣は生きている。まるで人のように知能を持っているらしい。
俺にはよく分からないが、聖剣に選ばれるというのは名誉中の名誉だ。
俺も誇らしかった。
確かに俺は聖剣には選ばれなかったので、当時は、多少落胆はしたが、それでも俺の――が選ばれた方が嬉しかった。俺はあいつらの事を――のように、思っていたからな。
こんな――せな日々が――――
やはり、何かが足りない。肝心の記憶の欠片が抜け落ちている。
足りない。
――と――がいない。
いない。
ない。ない。ない。ない。ない。
俺の側にいるのは、プラチナだけ。
あとは――――
――――?
――――?
いつからか、俺の頭の中はこうなってしまった。
いつだ。
いつこうなった?
俺の名前はブラック。
妻の名はプラチナ。
――達の名は、――――、――――、――――。
――達の名は、――――、――――。
……誰だ。
誰だ。誰だ。誰だ。誰だ。誰だ。
俺はこの違和感をずっと抱えていた。
しかし、しばらく経つと、それさえも忘れてしまった。
あの方に会うまでは。
あの方は突如、俺の前に現れ、こう言った。
“貴様には抜け落ちた記憶がある。俺の力ならその記憶を呼び覚ますことができる。だが、俺はそれをあえてしない”
俺は、なぜ俺の記憶を呼び覚ましてくれないのかを聞いた。
すると、あの方は、不適な笑みを浮かべてこう言った。
“およそ300年後に、正義教団の国に襲撃する者が現れる。その者がお前達の抜け落ちた記憶を呼び覚ましてくれる。その際に違和感すら持ってないと記憶の回復は難しいからな。違和感だけは持たせてやる”
違和感を持たせる?
いや、それよりも300年と聞いて俺は驚――した。
あれ? いや300年くらい普通か。
“大丈夫だ。そのように――する”
ダメだ。完全に思い出せない……。
あの方は何と言ったのか。
……。
……。
……。
あの方がいつの間にか去ってからも、違和感を持ったまま、在るはずの無い何かを思い続けて、過ごして、過ごして、過ごして――――――――――
そして、ようやく300年が経った。
俺は今、あの方が言っていた正義教団の国に襲撃する者らしき悪らと対峙している。
……なぜだろう。その姿を見ただけで、懐かしいと思ってしまう。
その時、俺の頭の中に眠っていた記憶の欠片が待ってたかのように急浮上してきたのだ。
“ダスト隊長” “流星団” “ゴールド” “シルバー” “ブロンズ” “マゼンダ” “シアン”
この7つの記憶の欠片こそ、俺にとって大切な記憶の一部の可能性が高い。
だが、これだけでは、なんとなく曖昧に分かるだけで、まだ肝心な事がまるで分からない。
だから、俺は、仮面を壊そうとした。だが、仮面には防壁魔法が張ってあったようで、攻撃が通らない。
その時、ダストが俺に任せてくれないかと言ってきた。
もちろん、すぐに信じられなかったが、ダストと俺はプラチナと同様に仲間として共に戦ったような気がする。
それに、ダストの口調といい声といい、不信感を全て吹き飛ばすほどの安心感があった。
この男なら信じられる。
そう本能が感じている。
俺の心は決まった。
俺はダストを信じることにした。
『ダスト……隊長だったか? やってくれ』
俺は記憶の欠片に引っ張られ、そんな呼び方をしてしまったが、ダストはそんなこと気にも止めずに、こう言った。
『ああ、もちろんだブラック。今、助けてやる』
この時、俺は流星団にいた時の記憶が花火のように頭の中に打ち上げられた。
あぁ……そうだった……俺は……俺は……!
『……! 隊長……ありがとう……ございます……』
流星団のブラックとして、そうお礼を言うと、ダスト隊長は、洗脳魔法がかかっている仮面の上に、更に洗脳魔法をかけた。
すると、仮面は重複にしたことによるエラーに耐えられず、ガラスが割れるみたいに四散した。
その瞬間、俺は全てを思い出した。
俺とプラチナにはゴールド、シルバー、ブロンズという3人の娘が居たこと。
マゼンダ、シアンという弟子が2人居たこと。
その思い出は全て至福だったこと。
そして、俺とプラチナに“洗脳の仮面”を渡したのは、ネヴィア王妃だったこと。
第206話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、今週はどのような予定になるか現状不明な為、仮に25日(火)か26日(水)に投稿予定日としますが、もしかするとそれ以降になってしまう可能性があります。
投稿日が確定できず、申し訳ございません。
宜しくお願い致します。




