第205話『傷心した心は開き直って、またしても傷心する』
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第205話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※今回の話で【自主規制】と書かれた部分がありますが、その部分に関しては皆さんの想像にお任せします。
『本当だもん! 俺、本当に流星団の団長だもん! 中二病じゃないもん! もう知らない! おうち帰る!』
深く心の傷口をえぐられた俺が、子供のように泣きながらいじけていると、ケールさんが、こう慰めた。
『嘘だよ~、冗談だよ~、泣かないでよ~、男の子でしょ~? ……多分』
『多分じゃなくて、100パー男だから!』
ってこんなことしてる場合じゃねえ! 早く戦闘に戻らないと……。
どうやら、俺がいじけている間に、バレスさんと、アミさんと、ケイデスが、プラチナとブラックにそれぞれ戦いに挑み、今も苦戦中だ。
俺もみんなに加勢しようとすると、みどりちゃんから降りてきたブロンズちゃんが、声をかけてきた。
『ブロンズちゃん?』
ブロンズちゃんの顔をよく見ると、涙痕がはっきりと現れていた。何かあったのだろうか?
『急に降りてきてどうしたの?』
『実はね――』
俺はブロンズちゃんから、意外な事実を聞かされた。
驚きはしたけど、言われてみれば似てるような気がした。
『分かったよ。でもブロンズちゃんは危ないから離れてて』
『うん……』
ブロンズちゃんは、みどりちゃんの上へ戻っていった。
なるほどな……そういうことなら……。
俺は転移魔法“瞬間移動”を使い、プラチナの耳元に囁けるくらいに近づく。
『なっ……!?』
距離を取られる前に、俺はプラチナの腕を掴み、ある事を話した。
『なあ、プラチナとブラックには娘が居るだろ?』
『はあ? そんなの居ないわよ!』
『本当にそうか?』
『本当よ!』
そんなはずはない。流星団の時の記憶と、ブロンズちゃん達の情報を比較してみると、やはり、その方が辻褄が合う。
『嘘をつくな、お前達には娘が3人居るはずだ』
『だ、か、ら、いないって言ってるでしょ! あ、でも確かに子供は3人欲しいかも、今夜、ブラックと相談してみようかしら……』
プラチナはそう言って、息づかいを荒げた。おい、何考えてやがる。
『ちょっと、変な事想像してんじゃないわよ、この変態!』
そうだった。プラチナも心読めるんだった。
『でも、そうね、ブラックと【自主規制】するためにも……速やかにあなた達を木っ端微塵にしてあげるわ!』
『おい』
はっきりと【自主規制】って言いやがった。
『なによ?』
『いや、その単語は公共の場で言うもんじゃないだろうが』
『は? 何言ってるの? 【自主規制】って言って何が悪いの? 【自主規制】は人類繁栄のために必要な神聖な儀式でしょ? それを禁句にするなんてどうかしてるわ』
いや、さっき俺がそれ想像したら、変態って罵ってきただろうが。
『それは、あなたみたいな悪人が神聖な儀式に触れるのは禁止だからよ。でも【自主規制】って言い放つくらいならいいでしょ?』
何言ってんだこいつ。
『いや、だからさぁ……』
もしかして俺の常識がおかしいのかと一瞬思ったが、周りの女性達の反応を見ると、大体、気まずそうに頬を赤らめている。どうやら、おかしいのはプラチナの方だったようだ。
一方、ゴールドちゃんとレッドには、そういう知識が一切無いのか、首を傾げている。
『え、なに? 【自主規制】って言えないの?』
『いや、だから公共の場で言うなって言ってるだろ』
『私に命令しないでよ、【自主規制】』
俺の名前みたいを呼ぶみたいに【自主規制】って言うなバカ。
『あなたの方がバカでしょ? この変態!』
さっきのもそうだが、変態! の言い方がブロンズちゃんにそっくりだな。
ブロンズちゃんから言われ慣れているとはいえ、他人から言われるのは少し腹が立つな……。まあ本当のことだけどさ。
ああ、もういいや。どうせ否定しても、ブロンズちゃんもプラチナも、変態って罵ってくるなら……もういっそ、こうしてやる……。
『……え?』
俺は1回深呼吸をしてから、こう言い放った。
『ああ、そうだ……俺は……変態だ!!!』
もういっそ開き直ってやったわ。どうせ、みんな俺の事変態だと思ってるだろうし。既に傷心してる俺にはノーダメージ!!!
『はっはっはっはっは!!!』
『えぇ……マジかこいつ……』
プラチナも引いてるし、周りのみんなも1人残らずドン引きしている。
あれ? もう傷心してるのに、傷がついた音がしたぞぉ?
あれれ~? おかしいな……目から汗という名の涙がこみ上げて来そうだ~★
あはははは~★
あれれれ~? 何で俺、こんなことしてるんだっけ?
ストレスでおかしくなっちゃったのカナ?
『って、あ、そうだった! そうじゃねえだろ!!!!!』
『えぇ……あなた情緒大丈夫?』
笑ったり、怒ったり、泣いたりしてるから、端から見たら、情緒不安定のヤバい奴である。反省はしてます。
でも今はそれよりも――――――
『プラチナ、ブラック! もう、まどろっこしいから、はっきり言ってやる! お前らには、ゴールドちゃん、シルバーちゃん、そしてブロンズちゃんっていう、超超超絶可愛い娘が居るんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』
俺は叫んだ。ありったけの思いを。やけくそだけど。
ゴールドちゃんとブロンズちゃんの反応が気になった俺は、2人の様子を見てみると、案の定、恥ずかしさのあまり、顔がゆでダコのように真っ赤に染まっていた。
『か、可愛いって言うなーーーー!!!』
ゴールドちゃんは、耐えられず、涙目でそう叫んだ後、両手で顔を隠した。
『お兄ちゃんの……バカ……!』
いつもならブロンズちゃんも便乗して、ゴールドちゃんに可愛いと連続で言い放つのだが、今回は自分にも飛び火を喰らったので、ゴールドちゃんと同じく、相当恥ずかしがっている。
2人共、可愛すぎかよ。
『あ……あぁ……ああああああああああ』
『ん?』
プラチナは、突然、今にも泣きそうな叫び声を上げて膝を崩した。
なぜかは分かる。
『思い出したんだな。お前達の娘達を』
『あああ……』
『おそらく誰かがお前達の記憶を改変したんだろうな』
ダストの記憶上でも、記憶魔法を使って、記憶を改変させていた事例を知っている。その改変方法は様々だが、今回の場合は……。
『この仮面か』
そう解答したのは、ブラックだ。ブラックは戦いを止めて、俺達の会話を聞いていたようだ。
そしてブラックの解答は正解だ。
俺の慧眼魔法によると、プラチナ、ブラックがつけている仮面には、記憶改変と、洗脳状態にする効果があるらしい。
だけど、その効果は完璧なものではなく、何らかのきっかけで、本来の記憶を思い出すこともある。今回のようにな。
『はあああ!』
ブラックは、剣で自らの仮面を破壊しようとした。
だが、仮面には防壁魔法を張ってあったようで、一切の攻撃を通さなかった。
『くっ……ダメか。なら次は――』
『ちょっと待ってくれ、それ、俺に任せてくれないか』
『なに?』
俺は、ダストの記憶の中で、その仮面を破壊できる方法を知っている。
『悪なんか信頼できるわけないでしょ!』
プラチナは、猛烈に反対してきた。しかし――
『良いだろう』
ブラックは、あっさり俺を信じてくれた。
『ちょっと! ブラック!』
『プラチナ、俺は前々から違和感があった』
『違和感……?』
『ああ、ずっと引っかかってたんだ。何か大切なものが抜け落ちているような……俺がやりたかったことは正義教団への忠誠ではなく、本当は別にあるんじゃないかとか……』
ブラックは、寂しそうな表情で自分達の娘達を見上げる。
そんなブラックに、ゴールドちゃんとブロンズちゃんも、涙目で見つめ続ける。
『ダスト……隊長だったか? やってくれ』
ブラックは、頭を下げてそう懇願した。
『ああ、もちろんだブラック。今、助けてやる』
俺は、流星団のダスト隊長として、そう言った。
『……! 隊長……ありがとう……ございます……』
もしかして、ブラックは前の世界線の記憶が蘇ったのか、流星団のブラックとして、そう言ったような気がした。
第205話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、29日(土)か30日(日)に投稿予定です。
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