第198話『到着』
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一方、赤髪ちゃん、バレス、ケイデス、ヒナ、キリカの5人は、トウカ達がいる町を離れてから、いくつものモンスターの遭遇や数々のトラブルを乗り越えて、約40時間。疲労に虐げられながらも、ようやく正義教団の国にたどり着いた。
『はぁ……ここが正義教団の国か?』
『ええ、そうですね。……出来れば、もう2度とここには来たくありませんでした……』
この時、赤髪ちゃんの脳裏には、正義教団の国での思い出したくもない過去が鮮明に映し出されていた。
『うウ……』
赤髪ちゃんの中で、憎悪、悲哀の感情が渦のようにかき回り、理性を徐々に侵食していく……。
『許……サナイ』
赤髪ちゃんの身体から僅かに闇のオーラが塵のように吹き出る。本当に僅かなので、それに気づく者はいない。
『ん? どうした赤髪ちゃん?』
だがケイデスだけは、赤髪ちゃんの様子に違和感を覚え、気になって声をかけた。
『はっ、な、なんでもありません!』
赤髪ちゃんは、ケイデスに声をかけてもらったことで、正気に戻り、闇のオーラは引っ込むように消えていった。
『本当に大丈夫か?』
『大丈夫です! それよりも皆さん! 早く行きましょう!』
赤髪ちゃんは、そう言って皆を促すように誤魔化した。
赤髪ちゃんとバレスは、早速、屈強な門番2人を気絶させ、5人全員で、正義教団の国へと足を踏み入れた。するとその先には……。
『これは……何があったんですか……!』
既に正義教団の国は、魔王と“もう1人の誰か”と、後に続いて、ダスト達によって、甚大な被害を受け、あらゆる建物は半壊状態、足場となるコンクリートもところどころ地割れしており、もはや廃墟の国と呼んでも過言ではないくらいに荒んでいた。
『人が1人もいないな』
既に国民は全て避難しており、あと残るのは幹部とその部下である兵士数千人のみだが、その幹部どころか兵士1人すら見かけない。
正義教団の国をよく知っている赤髪ちゃんとバレスからすれば、これほどまでに、警備が薄くて、閑散としているという光景を不自然に思う。いや、絶対に警戒を怠らない正義教団に限って、それはありえないのだ。
『災害でもあったのかな……?』
バレスは、雑にそう推理してみせるが、その答えをキリカが話してくれた。
『いえ、先ほど私の上司から連絡がありましたが、どうやら、あなたたちがよく知ってるかもしれない人達女神様一向が、既に襲撃した跡のようです』
『まさか……』
赤髪ちゃんの脳裏には、心当たりがある数人を思い浮かべた。もちろん確証はないが、ここに襲撃しに来てもおかしくない人物だと考えている。
『もしかして、あおいちゃんか?』
『あおいさんは知りませんが、ダストならここに来ています。仲間と共に』
『!?』
そう聞いて、ダストの仲間である赤髪ちゃん達3人は驚愕した。それもそうだろう。3人にとって、ダストは何かと器用ではあるが、戦闘能力に不安がある。その共に来た仲間というのが、どこの誰で、どの程度の強さなのかはキリカ以外は知らないが、ダストには荷が重すぎる故に、率先して正義教団へ襲撃なんてありえないと思っていた。
『あのダストが……ダスト、やるじゃん!』
ケイデスはそう言って、驚愕から歓喜に変化した。
だが、赤髪ちゃんとバレスは、正義教団の幹部の強さは半端ではないことは、嫌というほど熟知している故に、不安の方が圧倒的に勝っている。
『心配です……ダスト様……ご無事であれば良いのですが……』
『そうだね……』
キリカは、そんな不安の壁に圧されそうな2人を安心させるために、仕方なく口を開いた。
『大丈夫です。ダストは捕まってないどころか、地下牢に捕まっていたゴールドさん達を解放し、今では協力者と共に、秘密基地で過ごしているようですよ』
『本当ですか! それなら良かったです……が、まだ不安ですね……うまく脱出できると良いのですが……』
『……そうですね、確かに正義教団の戦闘力は生半可なものではありませんし、もし見つかってしまえば……』
『早く行きましょう! ダスト様達が待っています!』
不安を煽られた赤髪ちゃんは、そう言って、足場が悪いのにも関わらず、みんなを置いて1人で城へ走っていった。
『あ、ちょっと待ってください!』
赤髪ちゃんの後に続いて、キリカ達も城の方へ走っていった。
しかし、その道中――――
『危ない!』
矢が赤髪ちゃんの眉間めがけて放たれたが、赤髪ちゃんはそれを剣で弾く。
『何者ですか!』
赤髪ちゃんがそう言い放つも、敵は姿を現さなかった。
だが――――
『赤髪ちゃん! 上だ!』
上を向いてみると、おそらく1000本以上あるであろう矢が、まるで飛行船のように空を駆けている。
『なんだ……あれ……?』
魔法があるこの世界においても奇妙な光景であるそれに誰もが唖然とする。
そして、その1000本の矢は雨のように、赤髪ちゃん達に降りそそぐ。
『なっ……!』
『嘘だろ……くっ!』
赤髪ちゃん、バレス、ケイデスは、それぞれ武器を構えて、無謀にも全ての矢を弾こうとする。
『ヒナは俺の後ろに!』
『後で回復お願いします!』
ヒナは頷き、ケイデスの言うとおりに、後ろに隠れ、回復の準備をした。
赤髪ちゃんとケイデスは、自身が矢に貫かれる覚悟で、回復役のヒナを守り通し、おそらく血まみれになるであろう自分達を後でヒナに回復してもらうという作戦に移る。
――つもりだったが、ここでキリカが、想定外の動きを見せる。
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