第183話『VSルキウス②』
お待たせしました。
第183話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
『墜ちろ』
『ぐはっ……!!』
ゴールドちゃんは、ルキウスの光魔法によって、身体を貫かれ、翼を撃ち抜かれた鳥のように墜ちていく……。
『ゴールドちゃん!!』
アミさんは、ゴールドちゃんを助けるために、腕を掴もうと、手を伸ばすが――。
『貴様もここで終わりだ、光魔法“光剣”』
ルキウスの手のひらから、発射されたその光は容赦なくアミさんを貫いた。
『ぐあっ!!』
アミさんは、ゴールドちゃんと同じように、光魔法に身体を貫かれ、力無きまま、ゴールドちゃんと共に、3秒差で地面に叩きつけられた。
『く…………』
ルキウスは、2人に止めを刺すため、剣の刃をむき出しにしながら、2人に一歩一歩近づいていく。
『待て!』
マーリンは、雷魔法をルキウスに放つも、外れてしまったが、ルキウスの歩みは止まった。
『ほう』
マーリンは、2人を守るため、ルキウスの前に立ちはだかった。
『これ以上は行かせないよ!』
マーリンは、ルキウスにありとあらゆる攻撃魔法を放ったが、残念ながら、全てあっさりとかわされてしまった。
『くっ……!』
『遅い』
気づいたら、マーリンは、ルキウスによって、斬り伏せられ、バタリと倒れた。
『よほど魔力を使い過ぎたのか、貴様が、俺の動きについてこれないとはな……』
ルキウスは、どこか寂しそうな表情でそう言った。
もはや、この場に、ルキウスを止める者はおらず、とうとうゴールドちゃん達の近くまで来てしまった。
『ここまでよく俺と戦えたな。なかなかガッツがある。俺の部下に欲しいくらいだが……残念だ。ルールは守らなければならない』
そう言うと、ルキウスは、剣を構える。
『せめて苦しまないように、一瞬で終わらせよう』
ルキウスは、剣を振りかざし、剣に魔力を集中させている。その状態で剣を振れば、激しい爆風が発生し、ゴールドちゃん達は跡形もなく木っ端微塵になるだろう。
『さらばだ』
ついに、ルキウスが剣を振るその瞬間――。
『うっ! ……な、なに……!?』
ルキウスは、気がついたら、腹が剣に貫かれたかのような激痛に襲われた。実際に剣に貫かれたわけではないはずだが、なぜか腹から血が出ている。
『どういうことだ……一体何が……!?』
ルキウスは、誰の仕業なのかと辺りを見渡してみても、周りには、さっきまで地面に伏していたはずのゴールドちゃん達はおろか、この戦いを見守っていたダスト達や、ガラードまでもが、姿を消していた。
『幻術魔法か……?』
――ご名答! さすがだね――
どこかからマーリンの声が聞こえた。だが姿はない。
『マーリンか……? どこだ……? どこにいる……?』
――私はそこにはいないよ。むしろ……君の方こそ、どこにいるのかな――
『どういう……ことだ……ぐあっ!』
今度は、頭に鈍器で殴られたような激しい痛みに襲われる。
『なんだ……これは……うおおおおっ!!!』
次は、身体中を剣で何度も何度も斬りつけられているような激痛の連続と、頭と顔と足に、さっきと同じような鈍器で殴られているような痛みも連続で感じた。
『あああああああああああああああああああああああ!!!』
さすがのルキウスも、ここまでの激痛の連続に耐えられず、頭を抱えて、膝を落とした。
――おっと、そろそろ倒れそうだね……もう私たちを襲わないと約束できるなら、やめてあげてもいいよ――
『ふ……ふざ…………け……るな……!』
ルキウスは、意識を失いそうになりつつも、自分の意志を絶対に曲げず、へろへろになりながらも、剣を振り続ける。
――強情だなー、じゃあ悪いんだけど、君が倒れるまで攻撃させて貰うよ――
『く…………』
その後、ルキウスは、数々の激痛に襲われても、一切の弱音を吐かず、逃げることもせず、ただ剣とプライドを持ったまま……失神した。
――少し前、マーリンはある作戦を思い付いた。その作戦とは、ルキウスを幻術で惑わせた隙に、ゴールドちゃんと、アミさんとで、タコ殴りにする事だ。
そんな卑劣な作戦に、ゴールドちゃんは、あまり乗り気では無かったが、ルキウスが相手となると、そうも言ってられない。この戦場を生き残る為には、例えどんなに自分の流儀に反するものであっても、やり遂げなくてはならない。ゴールドちゃん自身も、それは理解しているので、誰かが説得せずとも、無言でやってくれた。
で、その作戦に必要な事だが、まず相当の量の魔力がいる、並の魔力持ちでは発動できないくらいの量だ。そこは問題なかった。マーリンがいるからだ。彼女はやはり最高魔術師と呼ばれているだけあって、魔力の量も半端じゃない。幻術魔法の1つや2つ、朝飯前だ。だが問題なのはここからだ。それは、ルキウスにどうやって幻術魔法をかけるかだ。え? 某忍者漫画みたいに、赤い目とか使えばいいんじゃないの? と思うかもしれないが、幻術魔法はそんな漫画みたいに簡単には発動できない。個人よって様々ではあるが、マーリンの場合は、相手に幻術魔法をかけるには、魔法陣の中に5秒間留まらせる必要がある。たかが5秒間だが、されど5秒間。ルキウスの速さなら、1秒も満たない内に、逃げられてしまう。
なので、それを達成するためには、幻術魔法を発動する時に、ルキウスの目を他に向けさせる事と、空中にいる等、無防備な状態であること。
マーリンなら、ルキウスをその状態にさせるまでの行動パターンを把握している。その状態に持っていくために、ゴールドちゃんには、ルキウスをひたすら攻撃し続けてもらい、隙が生まれた時に、アミさんに不意打ちをしてもらう。そうすれば、ルキウスは必ず大きく飛んでかわしてくれるはず。
そして、実際にその時が来ると、風魔法で、何よりも目立つトルネードを発生させることで、見事にルキウスの目をそらさせる事に成功した。その間に幻術魔法をルキウスに発動すると、ルキウスは、翼を失った鳥のように墜ちていった。
そのルキウスだが、地面に叩きつけられた後も、身体はほとんど無事を保っていた。身体を鍛えている冒険者でも、地面に叩きつけられれば、かなりのダメージを負うことになる。だがルキウスは次元が違う。アクタのと同じように、高層ビルの屋上から飛び降りても、まるで子供がジャングルジムの上から飛び降りるくらいの感覚だ。
だが、そんなルキウスでも、無抵抗のまま、剣で斬られ続けたり、ハンマーで殴られ続ければ、さすがに失神する。
そうして、ゴールドちゃんとアミさんは、幻術を見せられているルキウスに、サンドバッグのように攻撃し続けた。
その時のゴールドちゃんもアミさんの表情は曇っていた。その理由は、まるでよってたかっていじめをしているように思ったからだ。その対象の相手が、比較的善人であるルキウスなら尚更、罪悪感が強いだろう。
それを見ていたダストも、同じようにいじめられた時の事を思い出して、体調不良をおこしてしまった。
そんなダストを見兼ねたブロンズちゃんは涙ぐみながら、ルキウスに攻撃するのを止めてほしいと言ったが、マーリンはそれに反対した。もちろんマーリンも、まさかダストが体調不良を起こしてしまうとは思わず、申し訳ないとは思ったが、今、ここでルキウスを倒さなければ、みんな殺されてしまう。マーリンは、ブロンズちゃんに、そのように説得した。すると、ブロンズちゃんは、『分かったわ……』と言いながら、ダストの元へ戻って看病をした。
そして、様々な想いが交差する中、ついにルキウスを倒したのだった。
第183話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、4日(日)~6日(火)に投稿予定です。
気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、早速、プロローグを改稿させて頂きました。文字の表現を変えただけなので、特に振り返って見て頂く必要はありませんが、気になるという方は、ぜひご覧下さい。
宜しくお願い致します。




