第181話『VSガラード』
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『もういい……悪を殺す。見せてやろう、私の剣技と魔法を融合させた、正義の技を……!』
ガラードは、まっすぐと剣をこちらに向け、またしても俺を穿つために魔力を剣に溜めている。
『また俺狙いですか……』
小学生の頃に休み時間に親睦を深めるためにクラス全員で強制的に鬼ごっこをするという謎の行事をした時に、毎回毎回1番足が遅くて嫌われていた俺を集中狙いしてきて、捕まってた間めっちゃ暇だったというクソみたいな思い出が頭の中に浮かんできてしまった。しかもクラスメートに『お前めちゃくちゃ遅せえなw』とか『こいつノロマすぎw』とか罵倒されて、マジで腹が立った。無理やり参加させといて、何で俺がこんな事言われなくちゃいけないんだよ。お前らだけでやってろよカスが!
『お兄ちゃん……』
ブロンズちゃんが哀れみの目でこちらを見ている。やめて、そんな目で見ないで。
まあ何が言いたいかと言うと、小学生の頃のクラスメートみたいに、ガラードも1番弱くて嫌いな奴から狙うタイプではないかということだ。
『ううん。彼女は逆にお兄ちゃんが1番厄介な存在だと考えてるみたいよ。まあお兄ちゃんに対する私怨もあるみたいだけど……』
ブロンズちゃんは、俺にガラードの心の中を教えてくれた。
なるほど、そっちか。ガラードもガラードで感情に全てを任せずに、一応考えて行動できる奴なんだな。それはルキウスの前だからか、自分で自分を律したのかは定かではないが。
『そうなんだ、教えてくれてありがとう』
俺がそうお礼を言うと、ブロンズちゃんはにっこりと笑った。可愛すぎる。
『ふふ、もうお兄ちゃんったら』
『ははは』
さて、そういうことなら、こちらも相手してやるか。
もちろん、魔力切れにも注意しよう。あともう3割くらいしか無いからな。
ガラードは、思ったよりも時間がかかっているのか、同じポーズのまま、まだ俺に攻撃してこない。
慧眼魔法でガラードを見てみると、魔力もまだ溜まりきってないようだ。
いくらなんでも無防備すぎないか? こんなの攻撃してくれと言っているようなものじゃないか。マンガの世界みたいに、空気を読んで敵が攻撃を待ってくれるほど、現実は甘くないぞ?
よし、今のうちにやっちまおう! 卑怯? どうとでも言え。俺は正義感に溢れたキレイな主人公じゃねえからな。チャンスだと思ったら、とことん攻めてやる。……そうでもしなきゃ皆で笑い合える明日を掴めないからな。
『雷魔法“雷槍”』
俺は、雷魔法の雷を槍に形成し、宙に浮かせて、ガラードに向かって、ダーツのようにまっすぐと投げる。
『いっけえええええええ!』
だが、それでガラードを倒せる程甘くはなかった。
ガラードに当たるはずだった槍は、見えない何かに弾かれ、地面に転がり、塵のように消え去っていった。
『なっ……なんで……?』
『ま、まるで見えない壁に阻まれてるようですぅ~!?』
これはもしかして……。
俺は更に普通の炎魔法を放ってみた。
だが、これも先ほどの雷槍と同様に、弾かれてしまった。
『そんな……』
やはりそうか……これは自動防壁魔法か。
『え? 自動防壁魔法って?』
『ああ、魔法を溜めている間に、自分を守るために、同時に発動できる魔法だよ』
一見、便利そうに見えるけど、魔力の消費量がえげつないんだよな……だから大抵は魔力に余裕がある時にしか発動しない。
だがガラードの場合は、戦っている所をそんなに見たわけじゃないが、おそらく純粋な剣技がメインの魔法をあまり使わない物理戦闘スタイル……つまり魔力が減ることが極端に少ないのだ。だからこそ、こういう大胆な戦い方ができるのだ。
『参ったな……隙が無いなぁ……』
おっと、そろそろガラードの技が炸裂してしまう時だな。
一応、防ぐ魔法はいくつかある……が、どの魔法で防ぐべきか迷っている。その中でどれが1番安全且つ魔力の消費を抑えられるかだが……。
うーん…………あ、それなら――。
『ケールさん』
『なに~?』
『1つお願いがあります』
『何でも言って~?』
『はい。それはですね――』
俺はケールさんにある作戦を伝えた。魔力の消費を1番節約できて、尚且つ1番安全で成功率が高くて、それでいて、とてもシンプルな作戦だ。
『分かった~』
『お願いします』
ケールさんなら、必ずタイミングを合わせることができるから安心感が凄まじい。
さて……ブロンズちゃん、聞こえてるかな? これが俺の作戦だよ。こっそりみどりちゃんにも伝えてね。
心の中でそう言うと、ブロンズちゃんはうんと頷き、指示通りに、みどりちゃんに作戦を耳打ちした。
覚悟しろガラード。倒れるのは悪じゃねえ。自称正義だ。
――さて、その時が来たようだ。
『来るぞ……!』
俺が合図を出すと、ケールさんとみどりちゃんは作戦通りに動き始める。
ガラードの剣は光のオーラを纏い、燃えるように溢れ出る。
『我が剣技、とくと味わ――ぐあっ!?』
ガラードは、俺に突撃する前に、またしても足を銃弾で撃ち抜かれ、膝を落とした。
『貴様……また貴様か……!』
ガラードは、ケールさんに激しく睨みつける。
そう。ガラードの膝を撃ち抜いたのはケールさんだ。ガラードの自動防壁魔法は、剣に魔力溜めている無防備の時に発動する。しかし逆に言えば、剣に魔力を溜め終えた瞬間……つまり無防備ではなくなった時には自動防壁魔法は発動しない。その瞬間に足を攻撃すれば、膝が落ちて、技を炸裂するどころではなくなると考えた。もちろん、必ず作戦が成功するとは思ってなかったが、ケールさんの手腕のおかげで完璧に作戦を遂行できた。
『ケールさん、ありがとうございます!』
俺がそうお礼を言うと、ケールさんは、親指をグッと立てた。
さて次は……。
『えいっ!』
みどりちゃんは、ガラードの背中にのしかかった。
『巨大化魔法“序”発動ですぅぅ!』
みどりちゃんは、500センチくらいの大きい猪に変化した。
『うわあああああああ!』
ガラードは、当然みどりちゃんの重さに耐えられなくなり、持ち上げる力があるわけもなく、そのまま押し潰された。
『…………』
ガラードは1ミリも動くことはなく、完全に沈黙した。まだ息はあるので、時間が経てば起き上がるだろう。
『勝った……の?』
『うん、勝ったよ』
間違いなく俺達の勝利だ。
『ふぅ……良かったですぅ~』
『おっと休むのは早いよ』
『は、はいぃ、そ、そうでしたぁ!』
今もゴールドちゃん達とルキウスとの戦いが続いている。もし今ゴールドちゃん達が倒れれば、今度は俺達に白刃を向けられることになる。
『じゃ、加勢に行くか』
『待って』
『どうしたの?』
『ゴールド姉達だけで戦わせてあげて』
ブロンズちゃんは、まるで母親のような優しい顔つきでそう言った。おそらくゴールドちゃん達が『自分達だけで勝ちたい』とブロンズちゃんに伝わるように、そう思ったのだろう。
『うん、分かったよ』
『ありがと』
マーリンはどう思っているのだろうか? そんなに熱い奴には見えないけど、同じように思ってるのだろうか?
『……』
ガラードとの戦いが終わった俺達4人は、ゴールドちゃん達の戦いを見守る事になった。
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次回は、31日(水)に投稿予定です。
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