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第177話『恥じらい怒り泣き、そして……』

お待たせしました。

第177話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

『やあ、君がゴールドちゃんだね』


 マーリンは、ゴールドちゃんに興味があるのか、初めて目が合って早々に話しかけてきた。


『おう、そうだ、なんでアタシの名前知ってんだ?』


『私は何でも知ってるからね♪』


『へえ、そりゃすげえな! 他には何を知ってんだ?』


『えーっとね……ゴールドちゃんのスリーサイズとか、今履いてるパンツの色とかも知ってるよ!』


『ひゃあっ!』


 途端にゴールドちゃんの顔が真っ赤に染まり、左腕で胸部分を隠すように覆い、右手でスカートを抑えた。


『冗談だよ~可愛い反応だね~!』


『バ、バカな事言ってんじゃねえよ!』


『あはは~ごめんごめん。あ、でもダスト君さっきゴールドちゃんに殴られて地面に横たわっていた時、ゴールドちゃんのパンツ見えたんじゃない?』


『ふぁ!?』


 マーリンの爆弾発言直後、俺は女性達の痛い視線を一斉に浴びた。


『そそそそうなのか!? ダストっち!』


『いや……その……』


 ここは見てないと嘘をつくしかないな。ここで正直に見たと答えれば、女性達の信頼を失ってしまうだろうからな。


『見てない。見てないよ? だって殴られた後、頬が痛すぎてそれどころじゃなかったし……』


 正直、痛かったのは本当だが、パンツは見てしまった。あとゴールドちゃんのだけじゃなくて、ブロンズちゃんのも見えてしまった……なんてますます言えるはずもない。


『自白したね、お兄ちゃん』


『え? あっ!』


 しまった! 心を読みまくる娘がそばに居るのに、心の中で呟いてしまった!


『ふふふ……』


 ブロンズちゃんは、不適な笑みを浮かべながら、こちらを見ている。ホントこの娘は人の弱みを握るとすぐこれだよ!


『さあ、どうしてやろうかしら……』


 この様子だと、絶対バラされる!


 ブロンズちゃん、いえブロンズ様! どうかバラさないで下さい。お願いします。バラされると、今後気まづくなっちまうんで、ホントマジで!!


 そう心の中で懇願すると、ブロンズちゃんは満面の笑みで頷いた後、ウインクをしてきた。


 良かった……どうやらちゃんと伝わ――


『みんなー! 聞いてー! お兄ちゃんはゴールド姉のパンツを見て、興奮してクンカクンカしようとした後、私のパンツにまで、ぐちょぐちょでちょめちょめしてやるとか思ってたみたいだよー!』


 ――ってなかったああああああああ! というかクンカクンカとかぐちょぐちょでちょめちょめって何だ! よく分からん捏造すな!


『違う、違うんだ! これは誤解だ!』


 俺がそう言っても、誰も信じてはくれなかった。デスヨネー! 分かってたよ畜生!


『うわぁ……ダスト君引くわ……』


 マーリンは、わざとらしくドン引きした表情を見せる。この野郎! 面白がりやがって!


『ダスト君~』


『ケールさん……』


 ケールさんは、変わらず無表情で話しかけてきた。ケールさんは恥じらいが無いから、もしかして俺が陥れられている事に気づいて味方してくれるかも……。


『もしかして私のパンツ見た時もそんな劣情を抱いてたの~? いや~ん。最低~』


 この無防備多発パンチラ露出看護婦がああああああああああ!!!


 うわあああああああああああああああああああああ!!!!!


 これまで築き上げてきた信頼と絆がああああああああああああ!!!!!


『お兄ちゃんが築き上げたのは劣情と借金でしょ?』


『ちょっと黙っててくれる!?』


 借金と聞いて、今まですっかり忘れていたが、魔王城にあるゲーセン的な娯楽施設で、クレーンゲーム擬きの怪盗ゲームという対戦ゲームをやる前にブロンズちゃんに金を借りた時の事を思い出した。どこかで金稼いで、ちゃんと返さなきゃな……。


『ダストっち……?』


『ひっ! は、はい…………?』


 恐る恐るゴールドちゃんの方に目を向けると、怒りと羞恥心を混ぜた複雑な表情になっており、鬼のような物々しいオーラを纏いながら、拳を握って、ゆっくりとこちらに近づいてきている。


『あ……あぁ……』


 俺は怯えながら後退りする。


 いつもなら『ダストっちのバカー!』と言われて終わりなのに、やはり寝起きが悪すぎるのか、お前を殺すくらいの気迫を持ち合わせている。


『あ、あの……ゆ、許して下さい……!』


 いや待てよ。今の俺には魔法があるじゃないか! そうだ、今までの俺とは違うんだ! よしこれならどうにかな――――らない事に気づくのにそう時間はかからなかった。なぜなら俺は今さっき怯えながら後退りして牢の中にがっつり入ってしまったため、魔法無効状態なのである。言うまでもないが、俺から魔法を取ると、住民Aに余裕でボコられるくらいの雑魚である。


 牢の外に逃げようにも、ゴールドちゃんに出口を塞がれてしまい、完全に袋の鼠状態だ。もはやどうすることもできない。


『あぁ……もうダメだ……おしまいだぁ……』


 俺は諦めて膝をつき両手を上げて降参をアピールする。


 しかしそれでもゴールドちゃんの恐怖の歩みは止まらず、赤面したまま俺の前に立った。このまま俺はまた殴られるんだろうなと覚悟して目を瞑る。


 しかし――。


『あれ?』


 ゴールドちゃんの拳は確かに頬に当たってはいるのだが、先程までの気迫が嘘のように全然力が入っていない。


 どういうことなんだと目を開けてみると、そこには赤面で涙ぐんでいる金髪の美少女の姿があった。


『ダストっちのばか……』


『ゴールドちゃん……?』


 驚いたことに、この時のゴールドちゃんの姿は、あの夢の中で突然泣いてしまったブロンズちゃんとほぼ瓜二つだった。やっぱ姉妹だな。


 そして、ゴールドちゃんは、なぜか俺を強く抱きしめてきた。まるで失くしたと思っていたぬいぐるみを抱くように。大切なものを失わないように。


 明らかにシリアスな雰囲気の中で申し訳ないが、膝をついていたので、ちょうどゴールドちゃんの柔らかい胸に埋もれるという突然のラッキースケベイベントも地味に発生していた。


『アタシだって、心配したんだぞ』


 ゴールドちゃんは、ボソボソと弱々しい声でそう言った。


 そっか、でもそうだよな。心配していたのはブロンズちゃんだけじゃないもんな。


『心配かけてごめんね』


 俺はその体勢のまま、ゴールドちゃんを見上げて、ちゃんと目を合わせてから謝罪した。


 まあ元はと言えば、俺を連れ去ったアクタが悪いんだがな。でもその後の夢の中でのブロンズちゃんにあんな対応をした俺も悪かった。


『さっきは殴っちまってごめんな』


『俺の方こそブロンズちゃんを泣かしてごめん』


 お互いに謝り合うと、俺達は笑った。


 これが仲直りってやつなのかな。


『ははは、はぁ、全く、らしくねえことしちまったな』


 お、再びいつものゴールドちゃんに戻った。


『じゃ、今度こそ行くか』


『そうだな』


『……あとさ』


『ん?』


『さっきアタシの……パンツ見た事は大目に見てやるよ』


 ゴールドちゃんは、赤面した顔を見せたくないのか、背中を見せながらそう言った。


『ははは、ごめんよ』



 《最初の幻覚魔法が解けるまで……脱獄がバレて大騒ぎになるまで、あと10分》



第177話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、20日(土)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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