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第174話『地下牢』

お待たせしました。

第174話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

 明かりを照らさないと全く何も見えないくらいに暗くて長い階段を恐る恐るゆっくり下っていく。だからと言ってここで懐中電灯代わりの光魔法を使うと、地下に少なくとも1人は居るであろう看守の目に留まる可能性が高い。そのまま戦っても良いが、もし増援を呼ばれてしまうと、最悪幹部クラスの奴が来て救出どころじゃなくなるだろう。


 なので、俺達は光を照らさずに尚且音を立てないように進まなければならない。


 でも難しいな……。あ、そうだ。無音魔法とか使ってみるか。無音魔法は、その名の通り、範囲内の全てを無音化する魔法だ。敵のアジトに潜入する時にすごく便利だ。ダストの記憶上でもよく使ってたな。よし、では早速……。


 俺はこっそりと無音魔法を発動する。


『……』


 ……今、発動したはずだが、心臓のバクバク音やコツコツと足音が普通に聞こえてしまう。つまり全く魔法が機能していない。どうやらこの魔法は俺には向いていないようだ。


 はぁ……やれやれ仕方ない、大変だけど、このまま頑張って音を立てずに慎重に進むとするか……。


 それから慎重に慎重を重ねながら、階段を下っていくと、明かりが見えてきた。多分、地下牢のランタンの光だろう。本来なら1度だって見たくもない明かりだが、今この瞬間だけは、まるで俺達のゴールを明るく出迎えてくれる希望の光のように思ってしまう。


 そして、今俺達は、無事に地下牢に足を踏み入れた。


 地下牢には、それぞれ牢と牢の間の真上にランタンがついている。まさにイメージ通りの地下牢である。


 早速、看守も何人か見かけたが、俺は自分とケールさんに透明魔法を使い、看守の目をくぐり抜けることに成功した。この透明魔法はその名の通り、姿を透明にする魔法だ。しかもそれだけではなく、自分が味方と認識した人物にのみ普通に姿が見えるという都合の良すぎる設定にすることができる。ただ声までは透明にはならないので、声を漏らせばすぐに見つかってしまう。なので、ここからは一切喋らずに進むしかない。どうしても伝えたいことがあるなら、ジェスチャー等の音を立てない方法で伝え合うしかない。


 もはや毎度お馴染みの探知魔法で分かったのだが、奥にまだ何人か看守がいるので、このまま透明化を継続して歩き続けるしかないようだ。


『………………長ぇ……』


 思わずそうポロっと声に出して愚痴ってしまうくらい果てしなく長いとにかく長い道のりだった。


 じゃあ先に探知魔法や慧眼魔法を使って、ブロンズちゃん達の居場所を特定してから進めばいいじゃんと思うかもしれないが、なぜか牢の中を探知することも中を見ることもできなかった。つまり1つ1つの牢を肉眼で見なければ、牢の中を確認することはできないということだ。


 俺達は声を出さずにため息をつきながら、お互いに頷き合い、気合いで探すしかないと苦笑いをする。


 少しでも効率を上げるために、俺は左側の牢を、ケールさんは右側の牢を見ながら進むことにした。


『そこの魔法使ってる少年と露出の激しいべっぴんさんや』


『!?』


 ついに敵に見つかってしまったのかと一瞬思わず身構えてしまったが、辺りに看守はいなかったのと、牢の方から聞こえてきたことから、囚人が俺達に声をかけてきたのかとすぐに理解した。


『そうさ、声をかけたのは私だよ』


 収監されているにも関わらず、やけに余裕な感じだった。しかも俺達は今透明魔法も発動しているのに、なぜか俺達の存在に気づいている。どうやら、この美女はただ者ではないようだ。


『はじめまして、私の名前はマーリン。むかしはこの国に仕えていた最高魔術師さ。今はただの旅人で、ひょんなことから捕らわれてしまった可哀想で思わず助けたくなるスーパー美女ヒロインさ』


『お、おぉ……』


 なんかまた変な奴が……。なんとなく会ったばかりの頃の魔王に近いものを感じる。この世界はホント変な奴が多いな……。


『ねえ、君たちの探し人ってどんな人?』


『なんで探し人がいるって分かった?』


 極力小さい声で会話した。


『だって探し人の1人も居なきゃ、わざわざこんな所に来ないじゃん?』


 確かに……。


『で、探し人は?』


『ゴールドちゃん、シルバーちゃん、ブロンズちゃんという名前の12、3歳くらいの超愛おしい三つ子の美少女と、アミさんというお姉さん感半端なくて女子力高くて優しくて包容力がある巨乳の素晴らしい美女と、みどりちゃんという影薄くて空気が読めないし喋り方が少しうざいし残念な奴だけど、大事な親友の猪と、あと俺は会った事無いけど、アリスという女の子の合計5人と1匹だ』


 おっと少し熱く語りすぎたか?


『なるほどなるほど……確かその娘達はバラバラに収監されてたね』


『知ってるのか!?』


『知ってるとも』


『どこだ? みんなどこにいる?』


 俺がそう質問すると、マーリンは俺の口を塞ぐように指を指す。


『その情報が欲しければ、取引をしようじゃないか』


『取引?』


『ああ』


『何が望みだ?』


『簡単だ。私をここから出して欲しい』


『そんなことでいいのか? というか最高魔術師ならそこから自力で出れるものじゃないのか?』


 そもそも最高魔術師ってなんぞや? まあ最高なんて言うくらいだから、魔術師の中でも最強って事なんだろうな。知らんけど。


『ところが、この檻の中には魔法無効化の結界が張ってあるから、魔法以外何もできない私には脱獄する術はないのさ』


 マーリンは、やれやれとお手上げの仕草を見せてきた。


 なるほどな。だから牢の中を見るために探知魔法も慧眼魔法も使えなかったわけか。


 正直、このマーリンという女を信頼してもいいのかと思ったが、この広い地下牢の中で、ブロンズちゃん達の居場所がすぐに知れるのは大きい。藁にもすがる思いとは違うけど、何も情報が無いよりかはマシとも思えなくもない。それに地下牢に収監されていた時点で、マーリンは正義教団とは敵対している。少なくともこのマーリンの解放は、正義教団(やつら)にとって都合の悪いものであるなら、この取引に応じた方がいい。


 俺はケールさんに頷き、ケールさんも『それでいいんじゃない~?』と言わんばかりに頷き返してきた。


『分かった。あなたの取引に応じましょう』


『交渉成立のようだね』


『ええ』


 俺は金属魔法という、金属の物を想像すれば創生する事ができる(ただし人によっては生み出せない物もある)魔法で牢の鍵を生成し、マーリンを解放した。


『いや~ありがとう! 感謝するよ!』


 マーリンが仲間になった。


第174話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、13日(土)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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