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第173話『イレギュラー』

お待たせしました。

第173話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

 実は俺は城に入った時から、常に結界魔法を発動している。この結界は半径100メートル内に誰かが侵入すれば、すぐに直接俺の頭に感知させることができる不意打ち防止にはうってつけの魔法だ。そのはずなのだが……。


『な……』


 目線を少し下に向けると、血で滴る黒い剣が俺を貫いていた。


 何が起きたのか一瞬理解できなかった。視界も歪み、汗の量が尋常じゃないし、なにより痛い。熱い。苦しい。気持ち悪い。


 一体誰の仕業なんだと、後ろを振り返ると、全身に禍々しい黒い甲冑を纏った何者かが立っていた。


 なぜだ? 結界魔法がちゃんと作動してなかったのか? それとも葛木の切り札か何かなのか?


 ……ダメだ。思考がまとまらない……。


『1つの悪を排除した』


 仮面越しだからなのか、声が少しこもっているような、それか意図的に作った機械の声のようにも聞こえる。


 あと1つの悪というのは俺の事か。


『ぐあっ!』


 そいつは、俺を貫いた剣を引っこ抜いた。


 俺は、もはや簡単な魔法すら発動できない程のダメージを負い、無様に倒れる。


『ダスト君!!』


 ケールさんは、俺の元へ駆けつけ、俺の身体を抱き抱え、治癒魔法を使い続けている。だが、全然回復した感じがしない。どうやら、俺はもう手遅れのようだ。


 ダメだ……もう意識が……。


 ケールさんの俺を呼ぶ声も遠くなっていくように小さくなっていく……。


 俺は結局誰も救えないまま、眠るように瞼を閉じる。


 ……。









 ――GAME OVER――










 ――という未来予知を見た。


『!!』


 俺はすぐに、その場から離れ、辺りを警戒する。


『どうしたの~?』


『さっき未来予知が勝手に発動して、この後、俺は剣で貫かれて死ぬらしいんですよ』


『そうなの?』


『はい』


 だが辺りを見渡してみても、誰かが来る気配もしないし、やっぱり結界魔法による感知もない。


 だが、さっきの未来予知で出てきた黒い甲冑の男は、結界の感知に引っ掛からずに、俺に不意打ちをしてきた。決して油断をしたわけではないが、更に強い警戒心を持つ必要がありそうだ。


 そろそろ10秒が経過する。


『……………………ん?』


 あれから10秒どころか1分が経過したが、特に誰も来なかった。


『あれ? 誰も来ない……?』


 未来予知通りにならないなんて、ダストの記憶上でも前例がない。


『どうなってるんだ?』


 辺りは静寂。気配は皆無。聞こえるとすれば、はるか上の階から僅かに聞こえる爆破音だけ。


『……』


 なんて不気味なんだ。突然後ろから刺されるんじゃないかと思うと震えが止まらない……これがまさに死と隣り合わせというやつか……笑えねえな。


『ダスト君、顔色悪いよ~? 大丈夫~?』


『うーん、ちょっと大丈夫じゃないですね……精神的に』


『そっか、じゃあ……えい!』


 ケールさんは、俺の背中をぎゅーっと抱きしめてきた。


『ケ、ケールさん!?』


 俺は驚いて思わず後ろを振り向いた。


 ケールさんの、む、胸が……胸が当たってるんですけど!?


『私なりに考えたんだ~どうすればダスト君の震えが止まるのかなって』


『ケールさん……』


『私も下界に居た頃までは知らなかったんだけどさ~こうして肌と肌が触れ合えば、身体だけじゃなくて、心まで暖かくなったんだ~』


 そう言った時のケールさんの顔は……無表情だけど、優しい微笑みをしていたような気がした。


『だからさ、ダスト君にも暖かくなって欲しくてね~、どうかな~?』


『ええ、暖かいですよ』


 今まで、こんな風に優しく抱きしめられた事なんてなかったからなぁ……。


 早くブロンズちゃん達を助けに行かなきゃならないのに……このままで居たいと思ってしまうなんて……俺は最低だ。


 色んな思いがあってか、目から何かが溢れ出てきそうだったが、なんとか堪えた。一段落終わってから1人でこっそり出しきってしまおう……。


 ……。


 そのまま2分が経過するも、全く状況は変わらず、静寂が空気を支配し続けたままだ。


『やっぱり誰も来ないね~』


『そうですね……』


 うーん、やっぱり未来は変わったということだろうか。それならもう先へ進んでも大丈夫そうだな。ケールさんのおかげで震えも止まったし。


『ってあれ?』


『どうしたの~?』


『葛木が……消えた……?』


 確かに俺達は不意打ちを警戒し過ぎていたあまり、葛木の方を全く見ていなかった。しかし一切何も感知せずに消えていったのはあまりにも不自然……。


 考えられる理由としては……。


 ①、葛木自身が魔法か何かでこっそり逃げ出した。

 ②、床が隠し扉になっていて、そこから逃げ出した。

 ③、トリスタンの時と同じく、光に包まれて消えた。


 まず①だが、俺から逃げられる魔法があるなら、あの苦しい状況で、すぐに使わなかったのは不自然だ。これは違うだろう。


 次に②だが、一応さっきまで葛木が這いつくばっていた所を調べてみることにした。


『……』


 特にカラクリが仕掛けられているわけでもないし、魔法がかかっているわけでもなさそうだな。もし魔法がかかっていたのなら、必ずその跡が残るはず。普通は跡なんて見えないが、俺の慧眼魔法なら見える。


『床に何かあるの~?』


 俺が床を調べていたのが気になったのか、ケールさんもしゃがんで床を触り始めた。


 おいおい……。


 ケールさんは、スカートを履いているにも関わらず、足を閉じずにしゃがみ込んでしまったため、スカートの中を大っぴらに公開してしまうことになってしまった。


 俺はどうしても吸い寄せられるように視線がスカートの中にいってしまうが、今はどちらかというと理性の方が勝っているので、そっぽを向くことにした。


『うーん、特に床に何か仕掛けているわけではなさそうですね……』


『そっか~』


 そっか~じゃねえよ! 何でそんなに無防備なんだよ……いちいち見せられるこっちの身にもなってくれよ……と言っても、ケールさんには伝わらなさそう……。


 はぁ……。まあとにかく、床に仕掛けはない……それは分かった。②では無いと断言できる。


 最後に③か……あるとしたらこれか……と思ったけど、葛木から目を離したとはいえ、身体が光ればさすがに気づくと思う。俺は比較的視野は広い方だし。


 うーん、どれも当てはまらないなぁ……。


 となると……葛木は何で消えたんだ? 全く見当もつかない……。


『……』


『ダスト君?』


 ……ダメだ。これ以上考えても答えが出なさそうだ。このまま立ち止まるわけにはいかないし、目の前に敵がいないなら、早く地下牢へ行こう。


『すいません。地下へ行きましょう』


『は~い』


 俺達は最大限の警戒をしつつ、地下牢への階段をゆっくりと下っていく。



第173話を見て下さり、ありがとうございます。

次回なんですが、一応9日(火)か10日(水)に投稿予定ですが、こちらの都合で時間が読めない部分があるので、もしかしたら11日(木)以降になってしまう可能性があります。もしそうなってしまっても、最悪13日(土)までには投稿したいと思います。

それでも、皆さんに早く最新話をお届けしたいという気持ちは変わりません。できる限り早く投稿したい所存でございます。

長文失礼いたしました。

宜しくお願い致します。

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