表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/710

第167話『インストール完了』

投稿ギリギリで申し訳ございませんでした。

お待たせしました。

第167話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2024/09/16改稿しました。

 ――俺の頭の中に、ダストの経験(きおく)が入ってくる。


 まるで俺自身が体験したかのように、思い出が鮮明に蘇ってくる。


 ――喜びも。


 ――悲しみも。


 ――痛みも。


 全て。全てが俺と一体化する。


 俺の本名は、■■■■■という漢字5文字の何の面白みもないごく普通の日本人だけど、俺はダストだ。正確には()()()()()()()存在となる。


 ……という状態だろうか?


 複雑すぎてよく分からん。


 大抵は……まあ大抵の人はこんな体験そうそうしないだろうけど、他の人間の記憶が入ってくると、激しい違和感を覚えると思うんだが、俺とダストの場合は特にそういった齟齬はない。


 まるで俺とダストが同一人物のような気さえしてくる。


 それもそうだ。同一人物とまではいかなくても、ダストは俺によく似ている。考え方も性格も……。


 ……。


 ……。


 ……。


 ――インストール完了。


 おっと、やっとこれで全部か。長かったな……。


 それに衝撃的な記憶が多過ぎて、頭が追い付かない……。


 ……ふぅ……。


 やっと落ち着いた……。


 それにしても驚いたなぁ……。


 まさかあの人が俺の――。


 ―――――――――――――――――。


 ―――――――――――――――――。









『はっ!?』


 目を開けると、そこにはどこかで見たことのあるスーツ姿の男と、胸元の露出が激しい美人の看護婦がいた。


『お、目覚めたようだね』


『ここは……?』


『ここは神の居城(ヴァルハラ)だよ。あ、ゼウス達がいない方の神の居城(ヴァルハラ)ね』


 “ゼウス”というワードと、“神の居城(ヴァルハラ)”というワードが耳に入り、一瞬、頭がズキッとした後、今の状況を全て思い出した。


『ああ、そうだ思い出した。とてつもない量の記憶が入ってきたもんだから、少し混乱してた』


 いや、まあ少しどころじゃないけどな。さっきまで頭の中がカオスな事になってたぞ……。


『うーん……』


『どうしたんだい? ダスト君?』


 なんか頭がスッキリしないな……数々の記憶をインストールしたせいか、まるで頭に重りを乗せているみたいに重い。


 ()()()()()()()()()()()()


 俺は自分に治癒魔法をかけた。


『ふぅ……これで少しはスッキリしたかな……ん?』


 神様とケールさんは、なにやら喜んでいるような驚いたような複雑な顔をしている。


 俺、何か変なことしたのか?


『何ですか? ニ人共、俺をそんな目で見て……()()()自分に治癒魔法をかけただけじゃないですか』


『いや、すごいじゃないか!』


『何がですか?』


『だってダスト君は寝る前までは、治癒魔法なんて稀少な魔法、使えなかったじゃないか。でも今は、ごく自然にまるで自分の魔法のように使っている!』


 あぁ……そういえば寝る前は使えなかったな。


 今の俺の感覚で言うと、治癒魔法なんて呼吸レベルで簡単にできる。逆にできないという想像ができないくらいだ。


 治癒魔法だけじゃない。今の俺にはもはや知らない魔法はないんじゃないかと思うくらいの知識がある。どんな魔法でも、先ほどの治癒魔法のように簡単に発動できるだろう。


『大成功だ! やっぱり君を呼んで正解だった!』


 神様とケールさんは、当選した議員のようにばんざーいと手を上げて、大喜びしている。


『あ、あの……そろそろブロンズちゃん達を助けに行きたいんですけど』


『あ、ああそうだね! ケール、今すぐ準備お願いね』


『分かりました~』


 ケールさんはどこか嬉しそうに張りきっているような気がする。可愛い。


 ついに……俺はブロンズちゃん達を助けに行けるんだな……!


 夢の中に居てもそれだけは覚えていた。ダストの記憶をインストールしている間にも、俺はずっとブロンズちゃん達の事を考えていた。早く助けたい……早く彼女達の可愛い笑顔を見たい……そう思っていると、同時に思い出すんだ……彼女達と過ごした日々……パンツ……笑い合った時……パンツ……美味しかった料理……パンツ……悲しくて泣いた時……パンツ……パンツ……ゲームをした時……パンツ……キャンプした時……パンツ!


『半分以上はパンツじゃないか……そんなに彼女達のスカート覗いてたの?』


『なにっ!?』


 そんなバカな!? なぜ俺の心が読める!? 俺の身体には常に魔法を受けつない結界を張っているのに……。


『私のは魔法じゃないからね』


『え? 魔法じゃないの?』


『うん。私は、ほら神様(かんりしゃ)だから』


『ああ、所謂(いわゆる)管理者権限ってやつか?』


『うん。それだね』


 神様はにっこりと笑顔でそう答えた。怖い。


 もうチートってレベルじゃねえぞ!


 どうやらこの神様の力の前には、俺のチートレベルの魔法知識量(けいけん)なんて足元にも及ばないということらしい……。


『確かに君は相当なレベルで強くなったけど、上には上がいるからね。決して天狗にならないように……ね?』


『はい……』


 そう簡単に異世界無双なんてできないって事だな。そりゃそうだよな……チート無双系ライトノベルじゃあるまいし……。


『あ、そうだそうだ。私としたことが……大事な事を忘れていたよ』


 忘れていたよ……なんて言ってるが、その割には焦ってるわけでもないし、むしろ笑みが零れるくらいの余裕な顔を見せている。


『大事な事って何ですか?』


『君の魔力量を増やそうと思ってね』


『俺の……魔力量?』


『そうさ。せっかく君はほぼ全ての魔法を覚えたんだ。それなのに肝心の魔力量が低かったら、満足に魔法が使えないからね』


 なるほど、つまり今の俺はダストの記憶をインストールしただけで自分の身体であることには変わりない。確かに魔法知識量があっても、体力と魔力がカスだったら意味がないな。


『うん。ちなみに魔力量を増やした事での悪影響(デメリット)は無いから安心してね。あくまで魔力量限界値のデータを書き換えるだけだから』


 だけだからなんて言ってるが、それってとんでもない事なんじゃ……。


『細かいことは気にしない気にしない』


 いや気になるわ。


『はい書き換えたよ』


『え? は? いつの間に?』


 本当にいつの間にだった。さっきまで、ただ喋っていただけで、特別な動作はしてないし、どこか光ったわけでもない。


 それに書き換えたと言っているが、俺自身全然実感が湧かない。本当に変わったのかと疑いたくなる。


『そこは実戦してみれば分かるよ』


『お、おう』


 そういうことなら……正義教団のクソ連中で試させてもらうとするか。


 ゲス顔でそんな事を思っていると、ちょうど、ケールさんが準備を終わらせたと報告しにきた。


『準備完了です~。早く行きましょう~』


 と、際どい格好をしながら生き生きしている。


『それ、戦闘服ですか……?』


『うん~そうだよ~』


 その戦闘服だが、肩出しは当然のこと、へそが見えるほど布面積が少ない。さっきのナース服よりも胸元の露出が激しい。おまけにスカートもちょっと下から見れば下着がチラチラ見えてしまうほど短いときた。


 胸元と下着へ交互に視線を送っていると、ケールさんが首を傾げた。


『どうしたの~? そんなに私の胸ばかり見て……何か変?』


 あなたの感性が変です。俺の下半身も変になりそうです。はい。


 神様はそんな俺を見てクスクス笑う。


 笑ってる場合じゃないでしょうが……おたくの看護婦どうなってるんですか! いいぞもっとやれ! じゃなかった。少しは自重するように言ってくださいよ!


 神様を睨みながらそんな思いをぶつけてみても、神様はやれやれ顔でお手上げの仕草を見せた。諦めんなよ!


『はぁ……もういいですよ……さっさと行きましょう』


『行きましょ~』


 なんかやけにケールさんのテンションが高いような気がする。下界に行くのは久々だからなのだろうか?


『それじゃニ人共。気をつけてね。行ってらっしゃい』


 神様はまるで親のように優しい声で見送る。


『はい~行ってきます~』


『行ってきます』


 こうして俺とケールさんは共に瞬間移動魔法を発動し、下界の正義教団の国付近の草原に移動したのであった。


第167話を見て下さり、ありがとうございました。

次回は、23日(火)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ