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第163話『正義という名の悪魔』

お待たせしました。

第163話の執筆が完了しました。

今回は、少し胸くそシーンがあるので、苦手な方はご注意下さい。

宜しくお願い致します。


※2024/09/03改稿しました。

 ――激痛が走る。

 ――視界が歪む。

 ――意識が朦朧とする。


 だけど、ここで倒れるわけにはいかない。


 そう自分を奮い立たせていると、男がまたしても、儂の背後に立ち、こう言った。


『勝負の途中なのに、油断するとはな……お前、()だなぁ?』


 男は儂の身体に刺さった剣を引っこ抜いた。


『ぐあっ!』


 傷口から血を流した儂は更なる激痛に耐えられず、膝をついた。


『まーちゃん!』


『勝手に動くな!』


 ブロンズちゃんは儂の元へ駆けつけようとするが、立ち塞がる男に容赦なくはたかれ、弾き飛ばされてしまう。


『ブロンズ!!!』


 怪我をしたブロンズちゃんを見て、ゴールドちゃんは怒りを顕にした。


『てめえーーーーー!!!!!!』


 憤慨したゴールドちゃんは、ハンマーで男に攻撃をしかけるが、そのハンマーを片手で難なく受け止めた。


『この程度か。所詮、お子さまだな』


『や……やめ……』


 男はハンマーごと、ゴールドちゃんを持ち上げ、振り回した後、力強く地面に叩きつけた。


『ぐあっ!』


 ゴールドちゃんは、打ち所が悪かったのか、そのまま気絶してしまった。


『ゴールド姉!』


『今から、お前らは俺達正義教団に逆らった罪で連行する』


『ふざけないで! 何であんた達なんかについていかなくちゃいけないのよ!』


 ブロンズちゃんがそう言うと、また男に頬をはたかれ、地面に転がる。


『きゃあっ!』


『おっと、また反逆罪だなぁ?』


 不適な笑みで、ブロンズちゃんの胸ぐらを掴む。


 あの男……許せない……!


『汚い手で……』


『あ?』


『ブロンズちゃんに触れるなああああああ!!!!!』


 儂は男に炎魔法を放つ。


『またそれかよ……』


 男はブロンズちゃんを投げ捨てた後、頭をかきながら、剣で難なく炎を斬り伏せる。


『なっ……!』


 まさか炎を斬るとは……なんて強さだ……。


 だけど儂が本気を出せば、あの男くらい倒せなくはない。幸いあいつは、儂を弱いジジイだと、油断しているみたいだしな。


 儂は闇魔法を自分にかけ、闇のオーラを纏わせる。


 これにより身体能力・魔力・回復力が、ぐーんと上がる。


『お、おい……なんだよそれ!?』


 男は儂にここまでの力があると予想できなかったのか、へらへらした顔つきから、恐怖の表情へと変化する。


 儂はこのまま、あの男を追い詰めようと、闇魔法を放とうとする。


『覚悟し――』


 ――その刹那、儂の身体に光輝く矢が貫いた。


『うわああああああああああ!!!!!』


 痛いってだけじゃない。儂の闇のオーラ……即ち魔力を吸い込んでいる。


 ダメだ……魔法が使えない……力が入らない……。


『まーちゃん!!!』


 ブロンズちゃんが泣いている……助けなきゃ……ゴールドちゃんも助けなきゃ……。


『おい、ガウェイン!』


 向こう側から、大きな弓を持った男が現れた。どうやら、こいつがさっき儂に矢を放った男のようだ。


『ああ、トリスタンか』


『そっちも、連行案件か?』


『ああ、お前もか?』


『ああ、()()()()()によると、どうやらここにいる奴らのほとんどは、元々俺達と同じ正義王国出身らしい……どうやったか知らんが、脱国してきたみたいなんだ』


 よく見るとトリスタンは、気絶しているシルバーちゃんと、アミさんと、みどりちゃんと、アリスを担いでいた。どうやら、皆、必死にトリスタンと戦ったが、抵抗むなしく負けてしまったようだ。


 くそっ……! このままじゃブロンズちゃん達が、あの地獄のような国に戻ることに……。もうあの娘達に……あんな思いをさせちゃダメだ……でも……身体が動かない……!


『そうか……なら、脱国罪も追加だな』


 極悪人のような歪んだ表情を見せる。


『ああ、こりゃ、もう相当な罰を与えなきゃなぁ……正義の名の元に……』


 正義の名を行使するニ人は何を想像したのか、ゲスな顔つきになり、ブロンズちゃん達をなめまわすように見る。


 こんなのが正義だなんて冗談じゃない。こいつらは、正義の皮を被った悪魔だ……。


『ガウェイン様、トリスタン様』


 彼らの部下達が大きな馬車を引いてきた。


『よし、連れてくぞ』


 ガウェインは気絶したゴールドちゃんと、泣きながら儂を見ているブロンズちゃんを運ぼうとした。


『まーちゃん!』


 抱えられたブロンズちゃんは、儂の元まで飛び出そうとする。


『うるせえ!』


 ガウェインはブロンズちゃんの腹を殴り、気絶させた。


『なっ……お前……お前ええええ!!!!!』


 大切な家族を目の前で殴られた儂はガウェインを激しく睨み付けた。


 すると、ガウェインは恐怖で、少し硬直した後、手足が震えだした。


『あ、あのジジイ……な、なんて殺気だ……もし俺一人だったら、間違いなく殺されてたぜ……』


 ガウェインはまだ震えながらも、ゴールドちゃんとブロンズちゃんを担ぎ、馬車の中に詰め込んだ。


『おい、ガウェイン。こいつらにはまだ暴力を振るうな。()()()()暴力を振るっていいのは、ちゃんと向こうで判決を下されてからだ。じゃないと俺達が、ルール違反と見なされて、()()()()()()()()()


『ああ、そうだったな、悪い悪い』


『ほら、さっさと行くぞ。あの爺さんの傷が回復して、まともにぶつかると厄介だ』


『おお、そうだな』


 ガウェインとトリスタンは、儂から逃げるように、馬車の中に入る。


『ま……待て……』


 しかし、無情にも馬車は正義王国の方へと向かっていく。


 動けよ……動いてくれよ!!!


 しかし、儂がどんなに願っても、身体が動くことはなかった。


 くそっ……!


 やがて、馬車は姿が見えなくなる程に、遠くへ消えていった。


 ちくしょう…………。


 ちくしょう!!!!!!!!!!


 うわああああああああああああああああああ!!!!!


 ――10分後。


『……はい。お願いします』


 儂は、やっと身体を動かせるようになり、神様に今の状況を報告した。


『儂は……儂は……』


 神様からは、後は任せてと言われたけど、このまま引き下がることはできない。


 彼女達は……儂の大切な家族なんだ。


 黙ってなんていられない。


 儂は立ち上がった。


 みんな待ってて……今、助けに行くからね。

第163話を見て下さり、ありがとうございます。

今回の話で、胸くそ悪くて不快に思われた方もいらっしゃると思います。申し訳ございません。自分も胸くそ悪いです(←書いたのお前だろ)。

……ですが、最終的に、彼らがどうなるのか……楽しみにしていて下さい(ゲス顔)。

次回は、11日(木)か12日(金)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。



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