第162話『突然の襲来』
お待たせしました。
第162話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※2024/09/03改稿しました。
――時は遡り30分前、魔王は。
《魔王視点》
儂は下界のとある地に瞬間移動し、今、ゴールドちゃん達がいる方へと足を運んでいる。
それと同時に守護神に見つからないように、細心の注意を払わなければならない。なぜなら神様とゼウスは対立していて、儂はもう既にゼウスによって、神様側についた反逆者として顔が割れてしまったからだ。
なので、正直早いところ神の居城に戻りたい気持ちでいっぱいだ。
まあ神の居城と言っても、ゼウス達がいる神の居城ではなく、神様がいる方の神の居城だ。
詳しく話すとややこしくなるので (というか儂自身もよく分かってない)、大まかに説明すると、神の居城は2つある。経緯は分からないが、むかし、とある神様が管理者権限を駆使して創り出したらしい。多分その頃にあった、神々の戦争が、関係している可能性が高い。
まあ、儂はその場に居たわけではないので、本当に何も分からないのだけれど。
そんな事を考えている間に、ゴールドちゃん達の近くまで来れた。
『お、いたいた』
儂は気づかれない程度に離れ、様子が分かる程度に近づいた。またストーカーとか言われそうだけど、儂は彼女達を守るためにやっている。それに今、この世界の秩序はもうめちゃくちゃだ。だから仕方がない。そうこれは仕方のないことなんだ! でも、良い子も悪い子もマネしないでね!
そう自分を頭の中で犯罪行為を正当化しようとしている時に、禍々しい何かがこちらに近づいてくる気配を察知した。
『まさか……』
嫌な予感がした儂は、その禍々しい何かの元へ向かう。
やっぱり、あの化物だった。アテナによって三匹放たれた内の、最後の一匹か。ちょうどいい。これ以上被害を出す前に、ここで始末しよう。
儂は剣を取り出し、化物を始末しようとした――その時だった。
突然、化物は苦しそうに唸り始めた。
『な、何だ……?』
少し様子を見てみると、化物は更に苦しみ出し、地面にのたうち回って、もがいている。
明らかに様子がおかしい。
すると、化物は四方八方に首を回したり、手足をくねらせたり、触手が空に突き上げるように、ありえないくらい細く伸びたりと、生物としてあってはならない不可解な行動を繰り返している。
『これは……システムエラー!』
そもそもあの化物はこの世界には、存在しない。違法改造して出来上がったモンスターだ。そんなやつが存在し続けたら、そりゃ化物もおかしくもなる。
これは儂にはとても手に余る。というか神様クラスじゃないと対処できない。
神様に相談しよう。
儂は神様にこの事を報告するためにテレパシーを送ろうとした。
『うるせえな』
『!?』
突然、儂の背後に血がついた剣を持った黒い甲冑を着た男が現れた。
なっ……いつの間に……?
って、あれ?
さっきまで、そこでバグっていた化物が、四散している!? まさか、この男がやったのか!?
『お前も潰してやるよ』
不適な笑みでそう言って、儂に剣を穿とうとした。
儂はとっさにかわし、反撃としてその男に、炎魔法を放った。
だが、その男は目をつぶったまま、軽々とかわした。
『遅いんだよ』
そう声が聞こえたのは後ろの方だった。さっきまで目の前にいた男は、いつの間にか儂の背後に回り込んでいた。
『ぐあっ!』
儂は男に背中を思いっきり蹴られ、空まで飛ばされた。
『くっ……!』
なんて脚力だ。脚力だけなら、団長クラスかもしれない。
『なんだよ。まだ元気じゃねえか』
『!?』
儂が空中に打ち上げられているにも関わらず、男は、儂を追ってきた。
『この野郎……!』
儂は剣を取り出し、男を斬ろうとするも、難なく、かわされた。
『なんだぁ? そのへなちょこな攻撃は』
男はまた儂の背後に回って、また蹴り飛ばそうと、足を振り上げる。
だが、儂はそうなる事を読んでいた。
『ん?』
儂が先程右手で剣を斬ろうとしたと同時に、左手でこっそり炎魔法を発動するために、魔力を込めていたのだ。
そして込めれば込める程、その分だけ威力は大きくなる。チャージ攻撃のようなものだ。
『喰らえ!』
『しまっ……!』
空中である上に至近距離で不意に炎魔法を放ったので、男はさすがに回避できずに、そのまま炎の中に飲まれた。
男は炎の熱さに必死にもがきながら、地に墜ちていく。
儂は更に追い打ちをかけるように、炎魔法を繰り返し放つ。
『てめえ!』
男は剣を取り出し、ありったけの力を込めて、儂に向かって、一直線に投げたが、間一髪避けることができた。
『ちくしょう!』
男はそのままとうとう地面に叩きつけられ、そこから砂埃が舞った。
まだ空中にいる儂も風魔法を利用し、地面に叩きつけられないように、安全に着地した。
『ふぅ……』
『まーちゃん……?』
『え?』
声がした方を振り替えると、ブロンズちゃんとゴールドちゃんが、唖然とした表情でこちらを見ていた。
戦闘に夢中で、ブロンズちゃん達に気づかなかった……。
『何やってるの? まーちゃん? トッキーの所に居たんじゃないの?』
儂はゼウスに狙われてるから、世界の果てに籠ってることになっているので、ブロンズちゃん達からしたら、儂がここにいるのは不自然なのだ。
『いやー、ちょっとさー、トッキーにおつかい頼まれてさー』
とっさに嘘をついたが、バレバレだな。
一応ブロンズちゃんに心を読まれないように、神様が、儂に結界魔法をかけてくれたけど……あまり意味はなかったかな……。儂に嘘をつかれていると分かってるからなのか、ブロンズちゃんの表情も、どこか悲しそうだ。
『ていうか、さっき落ちた奴ってさ……』
ゴールドちゃんはハンマーを握りしめ、憎しみの表情を露にして、落ちた男の方を見ている。
『ゴールドちゃん?』
やがて男が落ちた場所に舞った砂埃は完全に消え去る。儂は警戒態勢を取ったが、そこに倒れているはずの男はいなかった。
『あの男は!?』
気づいた時には遅かった。
『……え?』
突然後ろから剣が儂の胸を貫いた。これは先程、あの男が空中で儂に投げた剣そのものだった。
かわしたはずの剣が方向を変えて、儂を刺しに来たのか? そんなはずはないが、現にそうなっている。一体何をすればこうなるのか。おそらく魔法なんだろうが、それを考察する前に意識が落ちそうだ。
『まーちゃん……?』
絶望するブロンズちゃんを目にしても、儂は狩られた獲物のように血を流すだけで何もできそうにない。
力が入らない。
第162話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、7日(日)~9日(火)に投稿予定です。
宜しくお願い致します。