第160話『かみさまのへやという名の……』
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第160話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※2024/09/02改稿しました。
『ま……またのご来店をお待ちしてます……』
店員はドン引きしながらも、なんとか営業スマイルを保った。
実はケールさん、超巨大パフェ完食しただけでは飽きたらず、全メニュー制覇しちまったからな……。そのせいで、せっかく超巨大パフェの分が無料になったのに、結局金貨3枚も支払った。
幸いケールさんは大金持ちなので、お財布的には余裕だったみたいだけど……。
しかも、まだ満腹になっていないようだ。
『ふぅ~美味しかったね~』
相変わらず無表情だけど、どこか嬉しそうに言った。あれだけ食ったのに、一切苦しそうにしていないのも驚きだ。
『え、えぇ……そうですね』
俺はケールさんの食べっぷりが衝撃的すぎて、さっき食べたはずのカレーライスの味を忘れている。そして、なぜか俺の方がお腹が痛くなるという意味不明な事態まで発生した。
『お腹押さえて、どうしたの~? 大丈夫~?』
『い、いや、大丈夫です……』
『顔色悪いよ~? 具合悪いんじゃない~?』
ケールさんはそう言って、顔を近づけて、俺の額に手を当てた。
顔近っ! 改めて見てもめっちゃ美人! また胸当たってるし! わざと? ねえ、わざとなの? しかもまだ胸元が露出してるから、余計に目に毒だ。そのせいで心臓の鼓動も、ありえないくらい速くなってきた。
ヤバい、変に興奮したせいで、全身も熱くなってきた。色々とオーバーヒートしそう……。
『うーん、顔は赤いですけど、熱は無さそうですね。さっきカレー食べたからかな~?』
『そ、そんなに辛くは無かったですよ。おそらく甘口なので』
『あれ? じゃあ、何でだろ~?』
あなたのせいです。ありがとうございます。
『ん~、他に症状とかある~?』
『い、いえ! と、特に、症状はございません!』
『ホントに~? やっぱり苦しそうだよ~?』
そう言ってケールさんは、更に俺を押し出すように、身体を密着させてきた。
胸があああああああああああああああああああああ!
驚いた俺はバランスを崩し、尻餅をついた。すると、ケールさんも俺を追うように前に倒れ、まるで俺をケールさんが押し倒したかのような構図になってしまった。
また顔が近い! 危うく唇と唇が重なるところだった……。
『大丈夫~? 怪我してない~?』
こんな恥ずかしい体制になっているのに、ケールさんはやはり無表情だ。彼女からしたら、ただ誤って転んでしまったという感覚なんだろうか。
『だ、大丈夫ですよ~?』
『私の口調のマネ~? 似てるね~』
『そりゃどうもです~』
ケールさんは立ち上がり、俺に手を差し伸べた。
『立てる~?』
『は、はい。すいません……』
俺は差し伸べてくれた手を掴み、ゆっくりと立ち上がった。
『ごめんね~、ちょっと私が体重かけすぎたよね~』
『い、いえ、ケールさんはそんなに重くないので、単純に俺がドジっただけですよ!』
まあ、あなたの胸のせいでもありますがね。
『ま、まあとにかく大丈夫ですから! 早く神様の所へ行きましょう!』
『分かったよ~、でも、もし具合が悪くなったらちゃんと言うんだよ~?』
『は、はい』
ちなみにさっきの腹痛は、そもそもケールさんの大食いがあまりにも衝撃的すぎて身体がショックを受けただけで何も心配はいらない。
『じゃあ、神様の所へ行こ』
『は、はい』
俺は、ケールさんの後をついていく。
――歩くこと10分が経過。
『着いたよ』
俺達は、“かみさまのへや”と、奇妙な字体で書いてあるドアの前までやってきた。下手くそな字だなぁ……誰が書いたのこれ?
『これ私が書いたんだ~』
あんたかよ。
『芸術的でしょ~?』
一周回って芸術かもしれないな。知らんけど。
『は、はぁ、ソウデスネ』
『あはは~、ダスト君、また棒読みになってる~』
あれ、いつの間に君付け? そういえばさっきから敬語じゃなくなってるし……。なんだか適当な人だなぁ。まあいいけど。
『え? 俺また棒読みに……マジですか?』
よく指摘されるけど、実は自分だとよく分からない。
『マジだよ~。面白いね~』
面白いって言われたのは、初めてだな。
なんかいいな、この感じ……。前の世界では、誰かと、こういう会話したことなかったからなぁ……。
『ダスト君?』
『はっ、すいません。は、早く神様に会いましょうよ』
『そうだね~』
――話は終わったようだね――
『うわっ! ビックリした』
ノックしようと思ったら、突然どこかから神様の声が聞こえた。いつぞやのダークネスかよ。もしかして俺達の事見えてるの?
――うん、全部見えてるよ。さっきの食堂での出来事も、君が押し倒された場面もね――
うっ……さすが、神様だ……全てお見通しというわけか。
そして、当然のように心を読まれている。距離とか関係なしか。
――うん、関係ないよ。私は、この世の全てが見えるからね。だから悪い事はしない方がいいよ。せいぜい頭の中に留めておくくらいにしようね――
ははは……肝に命じておきます。
『あの~神様。そろそろ私たちを、かみさまのへやに入れてもらっても良いですか~?』
――おっと、そうだね。ささ、ニ人共、部屋に入って入って――
『あ、はい』
『それじゃ、入りますね~』
ケールさんが、扉を開けると、明らかにこの異世界には、そぐわない光景が広がった。
『え?』
俺は、てっきり部屋中に豪華な家具が置いてあって、高そうな椅子に神様と、横に美女2人が側付きしている光景をイメージしてたんだが……これは完全に想定外だった。
なんと部屋中に、モニターとパソコンが大量に置かれてあったのだ。もはや部屋というより、管制室だ。
『やあ、いらっしゃい』
神様は椅子から立ち上がり、涼しい顔で出迎えた。
『神様~、お疲れ様です~』
『ケール、お疲れ様。ありがとね』
『えへへ~』
ケールさんはお礼を言われて、無表情なのだが、声が嬉しそうだ。可愛い。
『さて、まずは一番気になってるであろう、この部屋についてだけど、君のお察しの通り、ここは元々、管制室なんだ』
だろうな。ここは部屋と呼ぶには、あまりにも場違いすぎる。
『じゃあ何で神様は、ここを部屋にしているんですか?』
俺がそう聞くと、神様は真剣な顔つきでこう言った。
『今から言うことは、絶対に他言無用でお願いね』
『わ、分かりました』
これは明らかに重い話をする時の空気だ。
俺は覚悟を決めて、固唾を飲む。
神様といえど話すのに心の準備がいるのか、一回深呼吸をすると、想定外すぎるとんでもない衝撃の事実を話し出した。
『あのね……ここはね……この世界……いや、この異世界を管理する運営のための管制室なんだ』
『……ん? え?』
『つまり、ここは、ゲームの中の世界なんだよ』
『は……?』
第160話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、2月3日(水)に投稿予定です。
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