第155話『動き出した歯車』
お待たせしました。
ギリギリですみません。
第155話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※2024/08/18改稿しました。
《神の塔》
その頃、神の塔では。
『はぁ……はぁ……なぜ我の邪魔をする……アクタ!!!』
何か思うことがあったウラノスは、下界に降りてきて早々、アクタに足止めをされていた。
『なぜ貴様がここに降りてきたのかは知らんが、これ以上、貴様らに好き勝手はさせん』
『好き勝手? 我はただこの下界の様子を見に来ただけだ。貴様に邪魔される理由がない』
『理由ならある。お前達が神の居城に跋扈している。それだけで充分な理由だ』
『何を言うかと思えば……なら、なぜ今まで、貴様は、我々を放置していた? 貴様では取り戻せないからであろう? 神の居城を取り返せないからだろう?』
悪人のような顔でアクタを煽るウラヌス。その佇まいは神というより、性根の腐った中年の如く。
『……!』
煽られたアクタは、握りこぶしを握り、怒りと悔恨を表している。
『ほら、態度が顕になっているぞ? 我の行動は、神の居城の総意。我の邪魔をするということは、ゼウス様の怒りを買うことになるぞ?』
さらに煽られたアクタは、まるで人が変わったように笑った。
『……ふっ、貴様は何か勘違いをしているようだな』
『勘違い? 何がだ?』
『そうだな……貴様には見せてやろう……俺の正体を……』
そう言うと、アクタは自分がその正体の証である武器を取り出した。
それを見たウラノスは、先程の軽薄な態度が百八十度変わり、溢れ出る恐怖で青ざめる。
『な、なぜ貴様がそれを……!?』
ウラノスは嫌な予感を覚え、今一度アクタを見る。そして、それは確信となった。
『ま、まさか……貴様は……!?』
『ウラノス、ここで貴様を消す。貴様だけは俺を……いや、我を冒涜した!!!』
『貴様が生きていたとは……ゼウス様に知らせねば……!』
ウラノスは、人類では到底追いつけないほどの速さで、神の居城に戻ろうとするも、アクタに追い付かれる。
(な……我が追い付かれる……だと!?)
『遅い』
アクタは拳を振りかぶり、ウラノスの顔を殴り、地面に叩きつけた。
『ぐああっ!』
アクタは、更にウラノスに追い討ちをかけようと、上空へ飛び、そこから隕石の如く、再びウラノスに向かって拳を振りかぶった。
だが、ウラノスも守護神なだけあり簡単にはやられない。とっさに“グングニル“の槍を取り出し、アクタの拳をなんとか受け止めた。
『くっ……』
このままじゃ押しきれないと判断したアクタは、攻撃をやめて距離を取り、体勢を立て直した。
『さすがに、すぐには倒せないか……』
『我を舐めないで頂きたいですね。貴様が何者だろうと、我は誇り高き守護神だ。貴様を倒すまで倒れるわけにはいかない!』
『貴様にも誇りがあるのは分かっている……だが、俺にも譲れないものがある!』
『かかってこい……! 今度こそ貴様を葬ってやる!』
『葬られるのは貴様だ……!』
そうしてアクタとウラノスは、互いの誇りを守るため、衝突した。
――それから、およそ12時間に及ぶ激闘が繰り広げられた。その戦いを見た者はいないが、いたとしても、神々の戦いについていけないだろう。人類ではその次元にたどり着くことはできない。
――――――――――
――その頃、ダスト達が滞在しているとある町では。
『ん?』
ケイデスは何かを感じたのか、遥か遠くを見る。
『カイオスさん?』
ケイデスをカイオスと呼ぶ赤髪ちゃんが声をかけた。
『……いや、なんでもない。それよりダスト達は?』
『バレスは村のモンスター狩猟グループのお手伝いをしてますが、あおいとダスト様はさっきからずっと見かけなくて……』
『見かけない?』
『はい……』
赤髪ちゃんは不安げな表情を浮かべる。
『いつから見かけないんだ?』
『朝からです』
『朝から……』
ケイデスは茜色の空を見上げ、二人見かけなくなってからの時間差を知る。
『どこか遠くに出かけてる可能性はあるか?』
『それは無いかと思います。単身であの化物に出くわさないように、この町から出ないよう言っておいたはずですから』
『うーん、そうか……ならどこかに隠れているとか?』
『何の為に?』
『……かくれんぼとか? ほら、この町トウカを除いても子供が多いしな。一緒に遊んでるんじゃないか?』
『いえ、子供たちは、今、学校で勉強中なので、それはないと思われます』
『そっか、それもそうだな……それなら何で……?』
思い当たる節がなく、頭を悩ませる二人。
『まあ分かった。俺も探してみる』
『ありがとうございます』
赤髪ちゃんとケイデスは手分けしてダストとあおいちゃんの捜索を開始した。
(あおい……なんだか嫌な予感がします……)
――時は遡り本日の朝、ダストとシアンは……。
『ダスト様……何か御用でしょうか?』
シアンはダストに呼び出され、人気のない建物裏にやってきた。
『あおいちゃん……覚えてますか?』
『何がですか?』
『俺が魔王城にやってきた時のこと』
『は、はい。覚えております』
『そうですか、じゃあその後のことは?』
『はい、全て覚えてますよ。懐かしいですね』
『ええ、ホント懐かしいですよ……俺を監視したり、殺したり』
ダストがそう言うと、シアンは青ざめた顔を顕にした。
シアンが、『な、なんで……?』と言おうとしたタイミングで、先にダストが口を開いた。
『な、なんで……? と言いたそうですね。実はずっと前に、ダークネスから聞いたんですよ。あおいちゃん……いや、正確にはあおいちゃんに取り憑く悪魔かな?』
『あ……あぁ……』
シアンは絶望的な表情で頭を抱え、その場でへたり込んだ。
『ていうか、まだ居るんだろ? 出てこいよ……って、まあ、未来見てるから、もうじき出てくるのは、分かってるけどな』
すると、シアンは不安定に揺れるように立ち上がり、人が変わったように不適な笑みを見せた。
『ほう……やるじゃないか……さすがは、ダークネス様に目を付けられただけあるわね……褒めてあげるわ、愚かな人間』
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次回は、21日(木)か22日(金)に投稿予定です。
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