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第149話『焦燥と叫び』

お待たせしました。

第149話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2024/08/13改稿しました。

《アミ視点》


 秘策を頭に入れた私はあの化物と剣を交えている。


 でも、これはちょっと無理かなぁ……。


 さっきゴールドちゃん達には大丈夫だと言ったけど、少しでもあの化物の攻撃を喰らったら終わりだろうな。


 全く歯が立たないというわけではないが、いかんせん化物が速すぎて、なかなか攻撃が当たらない。そのせいで私の体力がどんどん削られている。


 それだけならまだしも、さっき化物に吹っ飛ばされた時のダメージがかなり大きい。ゴールドちゃん達の前では、まるで平然としてるかのように振る舞っていたけど、正直立ってるのもしんどい。


 もしもの時の最終手段として、アリスが提案した秘策があるけど……。


 大丈夫! アミさんなら、絶対うまく行きます! と言っていたが、果たしてうまくいくだろうか……。


 私は、今一度あの化物を見る。


 改めて見るとホント気持ち悪いし、ありえない体型のモンスターだな……。でも、やはり中身はあの人なんだよね……。


『来る!』


 突然化物がこちらに突進してきた。私はそれを剣で受け流す。すると、化物は勢い余って、木を何本か倒した後、再び転倒した。


 どうやら、先ほど私に突進してきたのは、標的をちゃんと認識できるようになったわけではなく、偶然だったようだ。


 その後も化物は、まだシルバーちゃんの魔法の影響が強いようで、相変わらず関係のない所に攻撃して、その度に盛大に転倒する。まるで酔っ払いのようだな。


 とはいえ、いつあの化物が正常な状態に回復してもおかしくない。その前に決着をつけたいのに……。


『ああもう!』


 私としたことが、焦燥感に駆られてしまい、あの化物が他の木に突進している間に速足で近づき、剣で斬りつけてやろうとした……その時、化物は、偶然かそれとも故意なのか、急に突進する方向を、私がいる方に変えた。


『しまっ……!』


 超速で動くあの化物の突進を、避けられるわけがない。私はとっさに剣で受け止める体制に入った。


 だが、剣だけでは受けきれず、しかも真っ二つに割れてしまい、私は百メートル先まで吹っ飛ばされた。その過程で木が何本か倒れた。


 吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた私は、なんとか起き上がろうとしたが、身体が言うことを聞かない。この時点で私の敗北は確定した。


『さすがに、もうダメか……』


 私はこれでも団長のように強くなりたいが一心で、この298年間ゴールドちゃん達と共に修行をしてきた。あの化物が強すぎるとはいえ、それでこの有り様とは……笑えない……。


『こんなんじゃ、団長に怒られちゃうよ……』


 私は団長の事を思いながら、空を見上げる。


 特に晴天というわけでもなく、特別雲が多いわけでもないという、何とも言えない天気が目に映った。


『なんか締まらないね……まるで今の天気みたいだ……』


 そんなことを呟いていると、化物が私の元は追ってきた。


 どうやら、化物はもう正常な状態を取り戻しているようだ。


『なんだ。もう回復したのかよ……』


 化物の長い触手が静かに私を捕える。すると、化物は大きな口を開き、私を喰べようとしている。


 ああ、もうダメだ。このまま私はこの化物の牙に四肢を引き裂かれてから腹の中に入れられる。


 ――そんなのごめんだ。


 出来ればやりたくなかったけど、仕方ない。こうなれば最後の手段だ。


 うまくいけばいいけど。


 うまくいかなかったら……ごめんね。



 ――その頃、アリス達は――


《アリス視点》


 私達はみどりさんに乗って、全力で走り抜いた結果、なんとかこの広い森を抜けて、更に遠くの、廃墟の村まで来た。


 そろそろ、みどりさんの体力も限界だ。なるべく遠くまで逃げたいが、だからといって、眠っているシルバーさんを担いだまま、運ぶのは大変なので、これ以上は進めないと判断し、私達はみどりさんから降りて、休憩することにした。


『ここで一回休憩にしましょう。ここなら、あの化物も簡単に追いつけないでしょう』


『うん、そうね』


『は、はい……』


 みどりさんは案の定、疲れ果ててすぐに横になった。


『みどりちゃん、お疲れ様』


 ブロンズさんはみどりさんに、膝枕を提供した。頭も撫でていて、みどりさんは気持ち良さそうだ。


 まるで、従魔ですね。


『おい、アリス』


『何ですか? ゴールドさん』


 ゴールドさんは、アミさんを置いていった事に立腹しているのか、少し強めの声で私を呼んだ。


『アミっちを置いていった理由について、説明してもらおうか』


 そうでした。逃げる時にその件について、後で説明すると、他でもない私自身がそう言っていた。


『そうですね。先にゴールドさんと、ブロンズさんには、今からご説明致しましょう。実は――』


 私はアミさんに提案した秘策……もとい最終手段について、説明した。至ってシンプルなので、理解させるのに、時間はかかりませんでした。


 ただ、ゴールドさんにはドン引きされました。


『えぇ……よくそんなの思い付いたな……』


『まあ、()()()()()()()()良いと思うわ』


『まあ、確かに……アタシも、もし喰われそうになったら、そうするかもな。それにアミっちなら、アタシよりも、もっとうまくやれそうだし……』


『私はゴメンだけどね、だって()()()()()()()()()()……』


 確かに、そう考えると嫌ですね……想像しただけで震えてきました。


 アミさん……もし服が汚れて、心まで汚されてしまったとしても、私の想いを込めた魔法で、全て洗い流して、アミさんのあんな所やこんな所を……。


『アリスちゃん、私の前でいやらしい事を考えるのはやめた方がいいわよ?』


 ブロンズさんのジト目が私に突き刺さる。


『はっ!?』


 しまった! ブロンズさんの前では全て丸聞こえだった!


『な、何の事ですか~?』


 無駄なのになぜか誤魔化してしまった。


『心読めてるから、誤魔化しても無駄よ』


 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!


 私は黒歴史を覗かれたような恥を受け止め、思わずのたうちまわり、悶え死んだ。


 私が羞恥に打ちのめされていると、ブロンズさんが、追い討ちをかけるように、こう耳打ちしてきた。


『別に心読まなくても、アリスちゃんがアミお姉ちゃんに、特別な感情を抱いている事くらい分かるわよ』


『え、嘘……?』


『あらあら、顔真っ赤にしちゃって……可愛いわ』


 ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!


『あとね、アリスちゃんが、夜中に何してるかも知ってるのよ?』


『え……?』


 わ、私が、夜中にあんなことやこんなことを、やっているのも知ってるって言うの!?


『ええ、何もかも知ってるわ』


 うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!


『もうダメ、いっそ殺して……』


 バレたくない秘密を一気に暴露されることが、こんなに辛いなんて……。


『大丈夫よ。暴露なんてしないから』


 ブロンズさんはニヤニヤしながら、そう言った。


 絶対言いふらしそうな顔をしてやがります……。


『二人だけの秘密にしましょ♪』


 この小悪魔め~! 


 そんな会話をしていると、()()が近づいてくる気配を感じた。


 まさか、あの化物が……? もう、ここまで追ってきたのか? ということはアミさんが……。


 と、思っていたが、それにしてはこちらに来るのが遅い。ということは少なくとも、あの化物ではないと分かって少し安堵した……とはいかない。もしかしたら、例の盗賊団かもしれない。油断はできない。


 私達は息を呑み、その気配の正体が姿を現すのを待った。


 すると、スーツ姿の胡散臭そうな男が、不適な笑みをしながら、現れた。


『皆様! ごきげんよう!!!』


『あ、お前は……!』

第149話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、7日(木)に投稿予定です(体調が不安定気味なため、予定より遅くなる可能性があります)。

宜しくお願い致します。

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