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第136話『神の子の独白②』

お待たせしました。

第136話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2024/08/05改稿しました。

 (ゼウス)に仕えている騎士達がぞろぞろと、俺と母を四方八方に囲み、刃をこちらに向けている。


 俺は言葉が出なかった。いくら非情な(ゼウス)といえど、まさか実の家族を処刑宣言するとは思っていなかった。


 俺は今までのこともあり、煮えたぎるような激しい憤りを覚えた。


 (ゼウス)……いや、お前はもう父ではない。お前は敵だ。俺というモンスターを狩るハンターだ。


 ――ならば、俺は抗おう。たとえどんなに力の差があろうと、ここをなんとか抜け出して、いつか……その命……モンスターの如く喰らい尽くしてやる……!



 俺はゼウスを睨み付けた。同時にゼウスに対して、萎縮していた闘志が、再び激しく燃え上がる。それは母を守りたいから、そして個人的な復讐からか……。いや、投下された燃料(トリガー)なんてどうでもいい。とにかく俺は……ゼウスを許さない。


『ゼウス!!! これが……お前のやり方か!』

 

 俺がそう言うと、ゼウスはまるで話を聞かず威圧感を醸し出した。


 ――(こうべ)を垂れよ。愚かな人間。そして八つ裂きにされるのを待て――


 ゼウスは、どうしたって俺達の話を聞く気はないようだ。こいつは、どこまで俺達を下に見ているんだ……。くっ……このまま処刑されてたまるか……!


 なにかこの状況を打破する方法は無いか……?


 力では確実に押し負けるし、かといって、なにか策があるわけでもない。だが、諦めない……きっと方法はある。あるはずなんだ……!


 俺がそう思っていると、突然、母の身体が光りはじめた。


『な、なんだ!?』


 俺も騎士達も呆気に取られていると、その光は螺旋状に、俺と母を飲み込んだ。


 飲み込まれた俺達は、特にダメージがあるわけではなく、ただそこに1つの空間があるのみ。その空間の中にいる間は、こちらの声も外の声も聞こえない。ゼウスですら干渉できない、強力な結界だった。


 そして、母はかなり焦燥した様子で、すぐに俺に言葉を放った。


『時間がありません。ケイデス、ここから逃げなさい。あなたはしばらく人間として、下界で暮らすのです。そうすれば……いずれ、あなたの元に、()()()()()()()()()()()()()()がやってきます。その者達と共に歩むのです』


『母上……? 一体何を言っているのです?』


『私の事は心配ありません。ゼウスを出し抜いて、ここから逃げ出す準備は、とうに出来ています』


『どういうことですか……?』


『全ては()()()の予言通りです』


 あの人? 予言? 訳が分からねえ……どういうことだ。


『でも、ここから逃げたとしても、ゼウスが追ってくるんじゃ……?』


『その心配もいりません。ゼウスは立場上の事や()()もあるので、なかなか下界に赴く事はありません』


 そんな制限があったのか。どうりで他の守護神(ガーディアン)は、時々下界に降りるのに、ゼウスだけは下界には滅多に降りないなと思ったわけだ。


『大丈夫。いずれきっとあなたは――』




『あれ?』


 ここで母の言葉は途切れ、気づいたら、俺は下界のとある村の前に立っていた。


 どうなってるんだ? なんで俺はここに……? と思っていたが、先程の出来事を思い出し、すぐに察した。母がゼウスから俺を逃がすために、ここに送り出してくれたのだろう。


 それで母はどこに行ったんだろう……? 心配はいらないと言っていたが、どこかで無事に居てくれる事を祈らずにはいられない。


 母からの、あの人とやらの予言によると、俺は(きた)るべき、その日まで俺はこの下界で人間として暮らせと、そう言ってた。


 その暮らすべき所が、今、目の前にある村なのか?


 外見上はこれといって、特に特徴もない、ごく普通の村だ。村人も畑を耕したり、川まで行って、水を汲んできたり、武器を持ってモンスターを狩っていたりする原始的な村だ。


 ところで魔法は使わないのだろうか? それとも必要ないからあえて使ってないだけか? 


 そう不思議に思っていると、一人の男が俺に話しかけてきた。


『あの……あなたは?』


 ずっと突っ立って、村の様子を見ていたからか、不審に思われてるんだろうな、と思っていたが違った。むしろ、まるで会いたかった人に久々に会えたかのような目をしていた。


『俺は通りかかっただけの冒険者です』


 間違った事は言ってない。元々ゼウス認められる為に、冒険者となり、修行していたのだ。まあ、それも全く意味のない虚しい努力となってしまったが……。


『……』


 男はなぜか固まったと思ったら、突然、涙を流した。


『あ、あの、なぜ泣いているのですか?』


『じ、実はですな……』


 男は涙を流しながら、事情を説明した。


 どうやら、この村は以前凶悪なモンスターに襲われかけたが、そこで偶然通りかかった俺が、そのモンスターを倒していたのだ。


 よくよく見ると、この村来たことあったな。言っちゃ悪いが、本当に特徴がない村だったから一切、記憶に残らなかった。


 説明を終えると、男は俺の手を握り、こう言った。


『よくぞおいで下さいました……ささ、こちらへ……』


 俺は男に連れられるがままに、村の中へ入った。


『皆、村の恩人が来てくださったぞ!』


 男がそう叫ぶように言うと、村人達が一斉にぞろぞろと押しかけて、涙を流して、俺に感謝の言葉を、マシンガンの如く放ってきた。それは、大人だけではなく、小さな子供ですら。


 どうやら、村人達もずっと俺に恩を感じて、俺にお礼を言う機会を待ち望んでいたようだ。


 あれ? なんだろうこの気持ち……。今まで俺はどんなに努力しても、ゼウスに認められなかった。だけど、この村の人達は……俺を()()()()()()


 もちろん、母も俺を認めてくれたけど、母ただ1人だけだった。母以外の連中は俺を半神と見下していたからか、認めてはくれなかった。


 だから、こんなに()()()()()()()()()()()()()()()()


 俺は思わず、涙を流した。


 あぁ……俺は初めて、自分の行動に、ちゃんと誇りを持てたんだ……。



 この後、俺は村人達に『ギルドに捨てられて、住む所が無くなって、途方に暮れていた』と嘘の理由を話すと、村人達は喜んで俺を村人として迎え入れてくれた。


 ちなみに、俺は村長の家に養子扱いで引き取られる事になった。その村長とは、1番最初に俺に話しかけてきた男だったようだ。


 こうして、俺はその村の住人になり、村を守る騎士として幸せに暮らした。







 そして月日は流れ、ある日突然、奴らの手によって、俺以外の村人全員がさらわれた。


 皆を助けられなくて、自暴自棄になっていた、そんな時に、赤髪ちゃんというめっちゃ強い美女と、トウカという少女と、ダスト、あおいちゃん、バレスという奇妙で愉快な幽霊達が現れた。


 母が言っていたこの世界に革命をもらたす者達というのは、もしかしてこいつらの事か?


 それは定かではない。


 だが、まだ本当に短い付き合いだけど……あいつらがそうだったらいいな……。


第136話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、8日(火)~10日(木)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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