第132話『VS 化物戦③ 』
お待たせしました。
第132話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※2024/07/09改稿しました。
『さあ、これで終わりです!』
マゼンダは華麗な剣撃を披露し、厄介な化物にとどめを刺した。
すると、歪な化物の身体に亀裂が走る。
よし、これで終わりだ。
そう思っていた。
『ん? なんだあれ?』
ケイデスはそう言って、指を指した。その先には化物の体内に埋め込まれている闇色の大きな石が剥き出しとなっていた。
その禍々しさから、嫌な予感を覚えてしまった。そして、残念な事にその予感は当たってしまった。
その禍々しい大きな石は風船のように、どんどん膨らみ始めた。
『な、なんだ!?』
これはまさか……。
『逃げ――――』
もう遅かった。
禍々しい大きな石は、なんとこの村を飲み込むくらいの大爆発を起こしたのだ。その威力は凄まじく、俺達はここで命を落とした……………………。
――GAME OVER――
――という未来を見た。なんか今回はやけに未来予知した時間が長かったな。魔法の性質でも変わったのか。
なんだかよく分からないが、大惨事の前に重要な情報をゲットできたのは大きい。
どうやら、ただ、あの化物を倒すだけじゃダメって事か。
化物の体内にあるあの石……あれをまず無力化しないといけないということか。
だが、それにはどうしたらいいのやら。俺にはあの石を無力化する術を知らない。
『さあ、これで終わりです!』
マゼンダは、未来予知通りに化物にとどめを刺そうとした。
このままだとさっきの未来予知の通り、大爆発を起こされて、俺達は本当にゲームオーバーだ。
『赤髪ちゃん! ちょっと待ってください!』
『ダスト様?』
マゼンダは一旦退き、俺の元へ帰ってきた。
『どうかされたんですか?』
『実は、さっき未来予知魔法で未来を見まして――』
俺は先程見た未来予知の内容を話した。
『そんな……自爆ですか……!?』
『はい……』
『うーん……となると、まずはその魔石をどうにかしなくてはいけませんね』
『魔石?』
『魔力が込められてる、とても稀少な石です。ダスト様の話を聞く限り、それだと思われます』
アニメやゲームでよく見る魔石と大体同じようなものか。
『おそらく、その魔石に特定の条件で起爆するように、罠をしかけたのでしょう』
『なるほど、特定の条件ですか……』
その特定の条件はなんだろうな? 例えば、次に空気に触れる時とか、化物の生命力が9割以上低下した時とか。その条件によって、対策も変わってくる。
その特定の条件さえ分かれば、あの化物が自爆することなく倒すことができるかもしれない。
そのためには、その条件を調べる必要がある。
よし、もう1回、未来予知魔法を発動しよう。
――2回目の未来予知――
『赤髪ちゃん、恐らく魔石が空気に触れたから爆発した可能性があります』
『ふむ、なるほど……分かりました。では……』
マゼンダとケイデスは、お互いにうんと頷き合うと、化物に真っ直ぐ向かった。
『喰らえええええええええ!!!!!』
ケイデスは化物の口を槍で無理やり開けさせ、マゼンダは、その開いた口の中にありったけの炎魔法や雷魔法といった、殺意溢れる魔法を、容赦なくぶち込んだ。
うわぁ……発想がエグいなぁ……。
化物の体内は炎に焼かれ、雷に焦がされ、もはや原型すら残さない勢いで焦げている。
化物はもがき苦しむ間もなく倒れるだろう。これで空気に触れずに、魔石ごと破壊できるはずだ。
やり方はともかく、これならいける……そう思っていた。
『ん? なんか化物の身体……光ってないか?』
『え?』
確かに、化物の身体は体内から光っている。その光に僅かだが、闇色の光が混ざっていた。
まさか……。
『おい、しかも、どんどん膨らんでいくぞ!』
『皆さん、逃げ――』
――もう遅かった。
化物の中にある魔石は、闇色の光と共に膨らみ続け、大爆発を起こした。その威力はやはり凄まじく、俺達はここで命を落とした……………………。
――GAME OVER――
――っと、2回目の未来予知はこんな感じか。
どうやら、空気に触れる事が条件ではないようだ。
それなら……。
頭もフラフラしてきて、頭痛も酷くなってきたので、できればこれで終わらせたい。
俺は、未来予知魔法を使った。
――3回目の未来予知――
『おそらく、あの魔石は化物の生命力が9割以上低下した時に爆発する可能性があります』
『なるほど……だとしたら、なかなか難しいですね……』
『そうか? 要はまだギリギリ死にかけより一歩手前までダメージを与えてから、最大火力で魔石ごとぶっ潰せばいいんじゃないか?』
まあ、シンプルにそうするしかないよな。
『よし、じゃあ俺は時間をかけて、全魔力を込めて攻撃する。だからマゼンダ。お前は足止めを頼む』
『どのくらい時間が必要ですか?』
『大体、5分くらいだな』
『分かりました』
マゼンダとケイデスは、お互いにうんと頷き合うと、マゼンダは化物に真っ直ぐ向かい、化物の足止めをする。ケイデスは最大火力で攻撃する準備に入った。
今なら、あの化物もだいぶ弱っている。マゼンダ1人だけでも充分、化物の攻撃を捌ける。あとは迂闊にダメージを与えないようにすれば、恐らく爆発することはないだろう。
5分後……。
『よし良い感じだ!』
ケイデスは、ありったけの魔力を槍に込めて、化物に最大火力で攻撃する準備が整った。
『マゼンダ、離れろ!』
マゼンダはそれを聞いて、すぐに後ろに下がった。
ケイデスは全身全霊を込めた槍を、化物に放った。
『喰らえええええええええええええ!』
真っ直ぐと空気を裂くように飛ぶ槍は、見事に化物に命中させた。すると、その直後、槍から溢れ出るケイデスの魔力が上空へ向かって突き出した。
『やった……やりましたよ! ダス――』
――
『うわあああああ!』
幽霊になってるはずの俺は突然魔力の使いすぎで、頭と目に激しい痛みが襲いかかり、未来予知が途切れた。しかも身体もまるで石のように硬直し、幽霊の特権である浮遊もできずに地に吸い寄せられた。
『ダスト様!』
マゼンダは、幽霊である俺の身体を実体のように抱き抱えた。どうやったか知らないが、その疑問を解明する余裕もない。それよりも伝えなければいけないことがある。
『はぁ……はぁ……わかり……ましたよ……あの化物の……安全な倒し方』
俺は息切れしながらも、マゼンダに先程見た、3回目の未来予知の内容を伝えた。
『分かりました! 確かに伝わりました! 後は任せて下さい!』
『はい……では、お願いします……』
あとはマゼンダ達に託した。
不安があるとすれば、さっきの未来予知を最後まで見れなかった事だ。もし、俺が予知できなかった部分で、まさかの大逆転で、化物が自爆してしまったら……。
いや、だが確かにあの化物は跡も形も残らなかった。どこぞのピンク色の魔人でもなければ、復活なんてできるはずがない。
きっと、あれで正解なはずだ。
頼む……どうか、最適解であってくれ。
俺は、心の中でそう呟き深い眠りに沈んでいった……。
第132話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、明後日の12月1日(火)か2日(水)に投稿予定ですが、体調や仕事の都合で、予定が遅れるかもしれません。
遅れるにしても、なるべく早く更新するようにしていきたいと思います。
最近は、本当に体調が崩れやすいので、皆さんも気をつけて下さい。
宜しくお願い致します。