第129話『次の村へ』
お待たせしました。
第129話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※2024/07/07改稿しました。
こうして俺達は、目的の場所が一致しているケイデスと共に旅をすることになった。
この村でゆっくりしたかったが、時間も時間なので、すぐに出発することにした。幸いトウカも子供にしては体力はある方らしく、今日だけでも思ったより遠くに行けそうだ。
とはいえ、やはり自分の村が襲われたという悲劇を目の当たりにしたばかりだ。精神的には相当なダメージを負っているだろう。一緒に行動する以上、そこも含めてちゃんとケアしていかなければならない。
『トウカさん、これからかなり遠くまで歩く事になりますが、具合等は悪くありませんか?』
『うん、大丈夫だよ』
『分かりました。何かあったらすぐ声をかけてください』
『うん!』
トウカは良い笑顔で返事した。あれだけの事があったのにな……。きっとマゼンダの事を本当の家族のように慕っているのだろうな。だからこそ、さっきのような良い笑顔を作る事ができるのだろう。
トウカの事は、マゼンダに任せておけば大丈夫そうだな。良かった……ん? 俺は基本、他人の事なんてどうでもいいと思ってるはずなのに、何で俺……こんなに安心してるんだ?
『よし、これで準備完了だな』
ケイデスは、武器や食料等、必要なものを大きなリュックに入れた。めちゃくちゃ重そうだな。
『カイオスさーん、私達も準備OKです!』
『分かった! 少し待ってくれ!』
ケイデスは家に鍵をかけるように、村に“結界魔法”をかけた。そうすれば他の部外者からは、村が見えないようになり、誰もいない隙に家の金品を漁られる心配がなくなる。めちゃくちゃ便利だな。
『さてと、行くか』
『はい』
『これからどこに行くの?』
トウカは、可愛らしくマゼンダの服の裾を掴んでそう言った。
そうだな、トウカを保護してくれる所を探さなくてはな。でもその前に……。
『そうだったな。まずはトウカの保護をしてくれる村か、まだ機能してる街や国の孤児院を探すのが先決だな』
『そうですが、その前に例の化物をどうにかしなければ、トウカさんを安心して保護させられません』
『ああ、トウカの村を襲ったという例の化物か。確かに不安要素は先に潰しておいた方が良さそうだな』
こうして俺達はまず例の化物の手がかりを求めて、近くの村や街に駆け寄ることにした。その道中に色々なモンスターと遭遇したが、マゼンダもケイデスもさすがと言うべきか、トウカを守らなきゃ戦わなきゃいけないというハンデを背負ったとしても、モンスターを一瞬で倒していた。もしかして、ケイデスもマゼンダと同等かあるいはそれ以上に強いのかもしれない。
『ところで、俺の身体にかかっている変身魔法っていつまで続くのですか?』
ふと気になったので、シアンに聞いてみた。
『私の魔力が尽きるまでです』
『尽きるまでですか、ちなみに今はどれくらい消費してます?』
『まだ1割も消費してませんよ』
意外にもそんなに魔力消費しないのか。しかも魔法も安定して発動し続けてるし……シアンにとっては変身魔法が1番得意なのかもな。得意な魔法であれば、その分、魔力消費も抑えつつ、魔法も安定して発動できると言われているようだし。この世界の魔法の概念はまだまだ奥が深いようだ。
……うーん、もう少しあの情報が欲しいな。
『ということは、しばらくマ……赤髪ちゃんが赤髪ちゃんの姿のままで居られるって事ですね』
『はい。しかも幸いな事に幽霊になっても、生前の魔力量で、普段通りに魔法が使えるので、そこは本当に良かったです』
『ちなみにその変身魔法って、身体能力も変化するんですか?』
ってそりゃそうだろ。現にマゼンダは今、元々俺の身体とは思えない程、超人的な動きをしている。明らかに無駄な質問だった。
『はい。今のお姉さまを見てもらえると分かると思います』
その通りでございます。
『はい、すみません。見れば分かる事でした』
『いえいえ、お気になさらず……私の説明がカスなだけですよ……』
しまった。また唐突にネガティブモードに入ってしまった。明らかに俺の頭が悪いのに……。
『いやいや、俺の脳ミソがカスなだけですから!』
俺は自分を自虐する事で、シアンのフォローをしようとした。
『いえいえ、そんな事はありません。私がクズでカスなのです』
『いやいやいや、俺の存在がバカとクズとカスの三大神を極めているだけなので!』
いや、何言ってんだ俺。
『いえいえいえいえ、私なんてバカでゴミクズでカスで……あぁ、そんな事言ったら、バカ様やゴミクズ様やカス様に失礼です。私はもはや、何者とも呼べない劣悪な存在です……』
『いやいやいやいやいや、俺なんて――』
『はい、いい加減、聞いてるこっちがしんどいから、ネガティブ合戦終了!』
バレスが割って入り、不毛なネガティブ合戦を終わらせた。
『はい、ごめんなさい……』
こうしてバレスによって、俺達の第1回ネガティブ合戦は終了した……第2回をお楽しみに……。
『第2回とかやるなよ?』
『や、やりませんよ~やるわけないでしょう! あはははははははは……』
くそっ、完全に心を読まれてやがる。
『いや、なんでそんな悔しそうな顔してるの? ダスト君、またネガティブ合戦やりたいの?』
それから、モンスターと遭遇しては蹂躙しながら、しばらく歩いていると、トウカやケイデスの村よりも大きい村が見えてきた……だが、何か様子がおかしい……!!
『助けてくれええええええええ!!!!!』
『化物が……化物があああああああああああ!!!!!』
村人達の悲痛の叫び声が聞こえた。
化物と言っていたが、もしやあの例の化物か?
『行こう!』
俺達は急いで村の中へ入った。
すると、狼のような顔に猪のような体型……それでいて、背中には無数の触手が生えていた。
思った以上に見た目が気持ちが悪い。この世のものとは思えない異形の化物だ。
『ひっ……!』
『トウカさん!』
トウカは、あの化物にかなり怯えているのか、思わず後ずさりした。
『あ……あの化物だ……私の……村を襲ったのは!』
『……なるほど、あれが例の化物ってやつか……赤髪、お前はトウカを守れ』
『カイオスさん!』
そう言うと、ケイデスはリュックを下ろし、超速で化物の元へ向かい、まっすぐに槍を投げた。
『喰らえ!』
だが、化物の触手が槍を受け止め、その槍をケイデスに超速で投げ返した。
『何!?』
ケイデスはかすり傷が出来てしまったが、槍を間一髪なんとか避けた。
『くっ……思ったよりやるようだな……』
第129話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、明日は無理そうなので、25日(水)か26日(木)に投稿予定ですが、こちらの状況(仕事など)によっては、遅れてしまうかもしれません。そうなってしまったら申し訳ございません。
何卒宜しくお願い致します。