表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/710

第123話『壊れた変態は憑依しても変態のままだった』

お待たせしました。

第123話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2024/06/23改稿しました。

『なるほど。今、皆さんは幽霊になって、俺の周りに居るんですね』


 どうやら、先程聞いた声は気のせいではなく、マゼンダ達が幽霊のように、俺の周りを彷徨っているようだ。これだけ聞くと怪奇現象だが、一応、味方なのでむしろ安心感の方が強く感じる。


 なるほど、先程見た夢は夢ではなかったようだ。現にマゼンダ達の声が聞こえているし、話も噛み合っている。


 ――はい、魔力を消費する事で声も届かせる事もできます――


 幽霊になっても魔力はあるんだ……。


 ――幽霊のまま戦う事はできませんが、憑依すれば戦えます――


『俺に憑依するって事ですか?』


 ――はい、ダスト様に憑依させて頂きます――


 おお、そこはやはりイメージ通りの幽霊なんだな。


『でも、俺めちゃくちゃ弱いですよ? いくら赤髪ちゃんでも、俺に憑依したところで弱いモンスターすら、まともに倒せるとは思えません……』


 自分で言ってて悲しくなってきた。


 ――ご心配には及びません。あおい、お願いします――


 ――はい。ダスト様失礼します――


『お、おおおおお』


 俺の身体は、まるで大きな荷物を背負っているかのように重くなり、次に身体が揺さぶられているような感覚に襲われたと思ったら、途端に身体が軽くなった。


『あ、あれ?』


 何か足元に違和感がある。そう思って足元を見ると、重力と無縁になったように浮いていた。


『今度は俺が幽霊になった!?』


 どうやら1つの身体に2つ以上の魂は入らないようで、どちらか1つは幽霊になっていないといけないようだ。今回の場合も幽霊だったシアンが、俺の身体を乗っ取った事で、身体の所有権を得て、俺が代わりに幽霊になったということだろう。


 更に周りをよく見ると、さっきまで姿が見えなかったマゼンダとバレスの姿も見えた。外見も生前のものと全く同じだ。ただやはり幽霊なので、触れる事はできないようだ。


 しかし、まさか生きたまま幽霊になる時が来るとはな……人生何が起こるか分からないものだな。


『ダスト様見てて下さい』


 俺はシアンに取り憑かれた俺の身体を見た。


『変身魔法“マゼンダ(お姉さま)”』


 シアンは、俺の姿で俺の声でそう唱えた。


 自分の声ってこんな感じだったのか……初めて知った。なんか変な感じだな。


 すると、俺の身体はみるみる内に、マゼンダの姿へと変貌した。


『って、なんですかこれーーー!』


 マゼンダに変身したのはいいが、肝心の服を着ていなかった。これでは、ただの露出狂である。


『は、早く服を着てください!』


 さすがのマゼンダも裸は恥ずかしいのか、珍しく顔が赤くなっていた。


 だが、シアンは服を着る様子はなく、むしろそのままの状態で身体のあちこちを触り始めた。


『ちょっと! あおい! 何やってるんですか!?』


 そして、伸ばした指先は柔らかい山にたどり着いた。


『はぁ……はぁ……これがお姉さまの……』


 シアンはそう言って手を伸ばし、とうとう触れてはいけない箇所まで触り始めた。


『や、ややややややややめてやめてやめて下さい!!!!!』


 鋼の精神を持ったあのマゼンダさんが、思わず声が激しく揺れてしまう程に動揺している。顔もさっきより真っ赤である。


『ふむ……赤髪ちゃん……結構良い身体してるねぇ……』


 さっきから横でバレスが興味津々な目で見ている。揃いも揃って変態ばっかかよ。俺もだが。


 というかマゼンダさん? あなた他の女の子の恥ずかしい所は、“良いではないか~”の精神でよく盗撮するじゃないですか……。これも因果応報なのかね。


 とはいえ、マゼンダの事を考えると、これ以上はマズイ。俺としてはこの光景をずっと見てても構わないが……今後の旅に支障が出るかもしれない。ここは()()()()()()止めよう


『あおいちゃん、目のやり場に困るので、早く服を着てください……』


『あ、はーい!』


 シアンは、また変身魔法を発動した。


 すると今度は、全裸から下着姿に変身した。


『下着姿じゃないですか! ほぼ全裸ですよ! 服を着てください!』


『え~ちゃんと服着てるじゃないですか~』


 そう言って、シアンはまた身体を触り始めた。


『また身体触って……ダスト様が見てるんですよ!』


『いいじゃないですか! むしろお姉さまの芸術的な肉体美を見せつけてやりましょうよ!』


『なに言ってるんですか! やめてください!』


 何回やめろと言っても、シアンは言うことを聞かず、身体を触りまくる。深夜の番組でも放送できないレベルで、ヤバい感じになってきた。


『お姉さま……お姉さま!!』


 お姉さまが好き過ぎる故なのか、とても口で言えないような事を平然と行っている。他に人がいないとはいえ、ここまで来るともはや狂気だな。


 こうなったら最終奥義を使おう。これならきっと止まるはず。


『あの、あおいちゃん……もうやめましょう? あんまりやると赤髪ちゃんに嫌われますよ?』


 このままだと話が進まなそうなので、最終奥義“嫌われるよ?”を使って、精神を揺さぶってみた。


『あ、ごめんなさい……私、また暴走して……ホントごめんなさい……自制心カスでごめんなさい……はぁ……もう最悪だ私……』


 どうやら効果抜群だったようで、300年振りのネガティブモードをお披露目する事となった。


 やはり、お姉さま大好きなシアンにとって、お姉さまに嫌われるというのが、1番精神的ダメージが大きいようだな。


 とはいえ、少しやりすぎたか……? 300年前よりもネガティブに拍車がかかっているような気がする。


 シアンはその後、魔力切れで眠くなるまで自分を責め続けた。その間はいくら声をかけても、シアンの耳に届くことはなかった。


第123話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、11日(水)から13日(金)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ