第122話『マゼンダの告白』
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※2024/06/23改稿しました。
赤髪ちゃんはこれまでの魔王への不信感を告白した。
当時、魔王が俺を召喚する前に、マゼンダはその理由を魔王に聞いた。すると魔王は『戦力を補強するため』と答えた。
だが、いざ召喚してみると、戦力を補強するどころか、この世界で生きていけるか心配になるレベルの弱い人間だった。
いや、戦力を補強するんじゃなかったのか? と、当然疑問に思った。
魔王に問い詰めてみたが、『実は彼にはとんでもない力を秘めてるんじゃ!』と言われ、押し切られてしまった。
確かに、俺は他の人と比較すると、全体的な戦闘のレベルは低いものの、珍しい魔法を習得しているし、封印されている魔法があるって言うのも案外嘘ではないのかもな。
その後、魔王がなぜか俺を3代目魔王にしようとしていると皆に話してくれた。まあ皆、全然信用してなかったみたいだが……。その時、ブロンズは、『まーちゃんの心がまた読めない! さてはまた阻害魔法かけたわね~!』と地団駄を踏みながらイライラしていたそうだ。そういえばブロンズはやたら嘘をつかれるのを嫌っていたな。
その次に、魔王が取った行動は誰もが予想できないものだった。それは、俺を修練場に呼び出し、なぜか殺そうとしていた事だった。止めに入ろうとしたが、修練場には結界が張ってあったので、なかなか入る事ができなかった。
3代目魔王は嘘だったのか。なぜそんな嘘をついたのか? ホント一体、魔王は何がしたいんだ……とこれまでにないくらい頭を悩ませた。
そこでマゼンダはふと思った。もしかしたら、前々から魔王城に住み着いてると噂されている地の女神アースなら何か知ってるのではないかと……。
だが、その時はどこに住み着いてるのか分からないし、そもそも本当に地の女神なんているのか……と思っていると、デジャヴ現象なのか、まだ会ったことないはずなのに、地の女神アースの顔や性格等がはっきりと、頭の中に浮かんできた。
その後、俺とシルバーの挙動不審ぶりを偶然見かけると、1つの説が浮上した。それは、“アースは地下のどこかにある幻の図書室に住み着いてる”と……こっそり地下を調べてみると、案の定だった。すり抜けられる壁を見つけて、幻の図書室にたどり着き、アースと会った。
アースは『なぜお前がここに!?』と言わんばかりに驚いたような顔をしていたようだが、マゼンダはそんな事はお構い無しに、俺について問い詰めた。するとアースはとんでもない慌てっぷりで、『それは教えられない』とか『世界を揺るがす事態になる』とか訳の分からない事を言われてしまい、結局、確実な情報を得る事はできなかった。
だが、地の女神アースのあの慌てっぷりで、しかも、世界を揺るがす事態と言ったという情報は得た。一体どういう事なのかと頭を悩ませ、再び魔王に問い詰めようとしたが、そのタイミングであの魔王消失事件が発生した。
なぜ魔王がこのタイミングで消えたのか……一体ここで何が起こっているのか……?
その後、魔王を取り戻す為に、2グループに分かる事になり、火の国へ向かったが……到着した後に、母であるスカーレットと出会い、謎の場所に連れてかれたと思ったら、マゼンダはスカーレットの魔法で殺されてしまった。そして気付いたら、あおいちゃんとバレスが一緒にいて、謎の声に俺の夢の中へ導かれ、今に至る。
『というわけです』
『なるほど……』
『なぜ母が私を殺したのかは分かりません。ただ、あの時の母は、禍々しい何かにとり憑かれたような……明らかに異常でした』
これまで一切崩す事がなかったあのマゼンダの表情が、悲しみと恐怖のダブルパンチで一瞬だけ崩れたような気がした。
それもそうだ。長年行方不明になっていた母親を見つけて、連れてかれたと思ったら、その母親に殺されてしまったのだ。心も体も鋼鉄なマゼンダであっても動揺してしまってもおかしくはない。
『それに、結局、魔王様に真相を聞けてないままです……全く……情けない話です……!』
マゼンダは自分の不甲斐なさが許せないのか、自分を責め始めた。失態したからとはいえ、ネガティブに陥りやすいのは、シアンと似ているところがある。改めて血の繋がった姉妹なんだなと思った。
そんなマゼンダを見て、シアンとバレスは、落ち込むマゼンダをフォローしようとしているものの、何て言葉をかけたらいいか分からず、結局、何も言えなかった。
『いやいや仕方ないですよ! 異常事態が連発してしまったんですから! 俺なんて足しか引っ張ってませんでしたし!』
俺は自分を卑下する事で、マゼンダのフォローをした。ダストである俺ならそう言うだろうしな。
『ダスト様……フォローありがとうございます。ですが、主君である魔王様が何かとんでもない事に加担しているのなら、私は……いえ私達は、魔王軍幹部として全力で魔王様を止めなければなりません』
マゼンダがそう言うと、シアンも同意見なのか真剣な眼差しで頷いた。
『……あー、私は魔王とか名乗ってる奴は大嫌いだけど、赤髪ちゃんとあおいちゃんがそう言うなら私も手伝うよ』
『バレス……』
『バレスさん……』
バレスは、あくまで魔王だけが敵というわけか。今回は仲間割れしなくて済みそうだな……。
『ん? 手伝うって言っても、3人共、幽霊じゃないですか。どうやって手伝うんですか?』
『この世界のどこかに、あらゆるものを再生する事ができると言われている“不死鳥の女神”がいます』
あらゆるもの……つまりマゼンダ達の肉体を再生させて、その肉体に入れば、実質的な死者の蘇生ができるってわけか。
『その女神を探せって事ですか?』
『はい』
また女神探しかよ……。きっとまたロクな目に遭わないんだろうな。
『探せといっても、ダスト様お1人で探させるわけにはいきません』
『えっと……どういうことです?』
他に当てがある助っ人でもいるのか?
『私に任せて下さい』
そう言ってきたのはシアンだった。一体どうする気なんだ?
『ん? うわっ!』
突然、まるで暗闇を全て呑み込むように、光が辺りを覆った。どうやら時間のようだ。そろそろ朝が来る。
くそっ、まだ聞きたい事が――。
『――はっ!』
目覚めて、辺りを見渡してみても、特に変わった様子はなかった。
先程見た夢の内容もはっきりと覚えている。俺が見た夢って大抵、記憶が消えるか、うっすらと覚えてるかのどちらかだったが、今回に至ってはちゃんと脳に焼き付いている。まるで夢じゃなくて現実に起こった事みたいだ。
――ダスト様。おはようございます――
突然、どこかから聞き覚えのある声が聞こえた。いや、まさか……。
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次回は、10日(火)か11日(水)に投稿予定です。
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