第121話『再会する3色の光』
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第121話の執筆が完了しました。
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※2024/06/23改稿しました。
うーん、ここは……またあの夢の中か……?
ずいぶん久々だな。300年振りじゃないかって300年振りってなんだよ……まさか人生でそんな長寿的な言葉を使う時が来ようとはな……。
あの真っ白空間にいる間は歳を取らないようだからな。俺のような弱い人間でも、300年も生きれたし。
そういえばあの真っ白空間って結局なんだったんだ? 俺が消える前にダークネスが仕込んだのか?
情報が無さすぎるから、さっぱり分からん。よし、その件に関しては、今は考えるのをやめた。
『で、これからどうすればいいんだ……?』
ここは相変わらず真っ暗だな。思ったんが、なんで毎回暗闇なんだ? 俺の深層心理が表した結果なのか? だとしたら俺どんだけ暗闇好きなんだよ……中二病患者だよもう。
『てか、やはりダークネスの気配はないか……マジであいつどこ行ったんだ?』
300年前までは確かにダークネスは常にそばにいた。何回か夢にも出てきたのも覚えてる。まあ、夢の内容は濃かったはずなのに、不思議とあまり覚えていないが。
そう思いながら、辺りを見渡していると、突然、上から暗闇に3つの光が差し込んだ。それはまるで、天からの使者が降臨するような神聖な感じだった。
『え? 何か降臨してくるのか?』
光をジッと見つめてみると、上から見覚えのある3人の女性が、まるで天使のように神々しく降りてきた。
『う、嘘だろ……まさか……!?』
その3人の女性は、静かにゆっくりと目を見開いて、穏やかな笑顔でこう言った。
『ダスト様お久し振りです』
『あ……赤髪ちゃん!?』
『はい、赤髪ちゃんです♪』
赤髪ちゃん……いや本名は確かマゼンダだったか? そのマゼンダの後ろにいる2人も見覚えがある。というか思いっきり知り合いだ。
『しかも後ろにいるのは……あおいちゃんに、バレスさん?』
『はい。ダストさん、お久し振りです』
あおいちゃん……本名は……なんだっけな? 確かアクタの話の中に、シアンという名前が出てきたから、多分それかな、知らんけど。
『ダスト君、ホント久し振りだね!』
バレスは笑顔で明るく手を振りながら、そう言った。
あんまり良い別れ方しなかったのに、なんでそんな笑顔でいられるの? どんなメンタルしてるんだよ……。
そういえば、その別れ際に別の魔王がどうのこうの言ってたけど……その別の魔王は、300年経った今はどうなってるんだろうな?
『ん? どうしたのかな? ダスト君? そんなに見つめて』
『あ、いやなんでもないです』
まあそれは、今、重要じゃないか。
やはり300年経っても、3人の顔は忘れない。いや、3人共、キャラの印象が強すぎて忘れられないという方が正しいか……。
『え? というかなぜ俺の夢の中に?』
そもそも彼女達は本物なのか? もしかしたら偽物かもしれない。警戒態勢はとっておこう。
『それが私達も何が何だかさっぱりで……ただ、私達が消滅した後、誰かの声に導かれたのです。“ダストの夢の中で邂逅せよ”と』
『声に……導かれた……?』
『ええ……全然聞いたこともない声でした』
邂逅なんて厨二な言葉を使っているあたり、ダークネスっぽいが……どうだろうな。
『ところで、今、現実ではどういう状況なのでしょうか? ダスト様は今、何をやっていらっしゃいますか?』
どうやら赤髪ちゃん達も、何が何やらで、今現在の状況が全く分かってないようだ。まあ、本来ならもう死んでる訳だし、情報が全く無くても不思議じゃない。
『実は――』
俺は、あの日火の国に初めて行った時の事から、和室に拘束され、アクタに殺されかけた事までの全て説明した。俺も知らない300年の間の事も、ブロンズやアクタに聞いた話をそのまま伝える形となった。ただ、話がややこしくなりそうなので、本当の俺の正体については伏せた。
『……そうですか、そんな事になっていたのですね。大変でしたね』
『神の居城……そんな場所があったなんて……しかも神様が実在していたとは……』
『どうやら、敵は思ったよりも強大なようだね……』
3人共、情報量が多過ぎる話を聞かされたのに、落ち着いている。内心驚いてるのかもしれないけど、表情に出さないのはさすがだ。伊達に魔王軍幹部してないな……バレスは違うけど。
そういえば、バレスは何をやってる人なんだ? 甲冑を纏っていたところを見ると、どこかの王国の騎士だと勝手に思っていたが……どうなんだろうか?
『それにしてもダスト君もホント大変だったね~、そのアクタって人に危険だからってお前を殺してやるーって言われて殺されかけたんでしょ?』
『ええ……まぁ……』
皮肉な事に、そのおかげで本当の俺を思い出したんだがな。
『ダスト様は、これから神の居城に行くのですか?』
『はい、そのつもりです』
神の居城に行って、例の声の主に会って、本当の記憶を取り戻し、ついでに知っていれば元の世界に戻る方法も聞く。これで元の世界に戻れれば、万々歳だ……もうこんな危険な世界とはおさらばできる。
『分かりました。それなら私もダスト様のお手伝いをさせて下さい』
『え? あ、いいんですか? だって俺、アクタと敵対してるんですよ? 必然的に魔王軍とも敵対しているんですよ?』
俺がそう聞いても、マゼンダは表情を崩す事なくこう答えた。
『大丈夫ですよ。私達はもう死んでいますので、魔王軍の幹部という肩書は完全に消滅しました。それに……今回の件……何か引っかかるんです』
『引っかかるとは?』
『はい……実は――』
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次回は、8日(日)か9日(月)に投稿予定です。
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