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第118話『本当の始まり』

お待たせしました。

第118話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※2024/06/23改稿しました。

※2024/06/25少しだけ改稿しました。

 まだ思い出してない記憶があるような気がするけど、重要なことを思い出した!!!


 そうだ、俺はこんなところで死ぬわけにはいかない!


 あの謎の声の主に、記憶を返してもらわないと……。


 それには、そいつが言っていた神の居城(ヴァルハラ)だっけ? そこに行かなきゃいけないようだ。


『なあ……ところで神の居城(ヴァルハラ)っていうのは、どこにあんだ?』


『何……?』


 これから殺される事など気にせずに、俺はそう質問した。


『それを知ってどうする? 今からお前は殺される。知ったところで何か意味があるとは思えないが?』


 向こうからすればそう思うだろうな。()()()そうなればな。


『なあ、本当に俺を殺す気なのか? 悪いことは言わない。やめた方がいいぜ』


『どういうことだ?』


『確かに俺はダストではない。でもおかしいと思わないか?』


『おかしいだと?』


『俺は今、ダストの身体で生きているだろ? なら本物のダストの魂はどこにいると思う?』


『まさか……!?』


『そのまさかだ! 俺の中にはダストの魂がいる!』


 もちろんハッタリだ。そうでも言わなきゃ、殺されてしまうからな。この状況を打破するには、とりあえずこうするしか思い付かなかった。


『なんだと……!?』


 そっちからしたら、まさかダストの魂が俺の中にいるなんて誰も予想してなかったんだろうな。3人共、驚愕の表情を浮かべている。


『そんな……そんな事って……』


『驚愕……』


 しかし俺の言葉を、疑いもせずそのまま鵜呑みにするとは、少しは俺を疑うと思ったんだがな……。


『……では、もう1度問おう。これを聞いても尚、俺を殺す気か?』


 俺がそう問うと、3人共沈黙してしまった。


 まあ、この状況で俺を殺すなんてできるはずもない。今の俺はダストを人質にしているようなもの。やってる事は前の世界にいた頃と変わらないが、生きるためにはこうするしかないのだ。許せ謎の声の主よ。


『……分かった。お前を殺すのはやめる。どこにでも行くがいい』


 アクタはそう言って、あっさり引き下がり、部屋を去っていった。特に悔しいといった感情も読み取れなかった。もしかして、“俺を殺したい”のではなく、“ダストを助けたい”が為に、俺を殺そうとしたのかもしれない。そう自分で納得した。


 時の女神は俺の拘束を解き、何も言わず姿を消した。


 この和室に残ったのは俺とアースだけ。こうして対面するのも話すのも、およそ300年振りだ。昔はよく喋る仲であっても、会わないまま時間が経ちすぎると、何を喋ったらいいのか、と悩んでしまうものだ。


 そう思っていると俺の予想を裏切る形で、アースが社交辞令のような輝かしい笑顔で話しかけてきた。


『ダスト君、久々ー! 元気だった? さっきはごめんねー! 私は反対したんだけどね? あの2人がどうしてもってさー!』


 こっちの事はおかまいなしで、ベラベラとマシンガントークを繰り広げた。こいつ、どういう神経してるんだ? アースもさっきまで俺に敵意を向けてきたと思ったんだが……。


『もういい。どうせアースも内心、俺に敵意を持っているんだろう?』


『そ、そんなことないよ! わ、私はいつだってダスト君の味方だよ!』


 アースはそう言ってるが、表情が微妙に引きつってるし、目も反らしている。こんなの嘘ついてますって言ってるようなものだ。


 アースの対応に、内心苛立ちを覚えた俺は、アースに近づき、こう言った。


『ほう、本当に俺の味方だと言うならさ……頼みがあるんだけど』


『お、おう、なんだい?』


 俺はアースを壁まで追いやり、壁ドンをしてから、不適な笑みでこう言った。


『俺の物になれ』


 俺がそう言うと、アースはさすがに許容範囲を越えたのか、途端に憤怒の表情を浮かべ、俺を睨み付けた。


『は? てめえふざけてんのか……?』


 アースはこれまでに聞いたこともない口調で、再び殺意をむき出しにし、魔法で作った剣を俺に向けた。


『おいおい、殺す気は無いんじゃなかったのか?』


 俺はアースの殺意に臆する事なく、堂々とした態度で返答する。


『気が変わった。やっぱ殺す……と言いたいところだが、それはできない。今、お前を殺してしまえば、お前の中の本物のダスト君が死んでしまうからな……くそっ……もどかしい……早く殺したいけど……一体どうすれば……』


 その後は、俺の事などお構い無しに、取り憑かれたようにブツブツと独り言を呟き続けた。何を言っているか聞き取れなかったし、聞きたくもない。


 アクタだろうと女神であろうと、俺の嘘にまんまと乗らされているようだ。いや、実は嘘を見抜いている事を分かっていて、心理戦を……ってそれはないか。だって、こいつバカそうだし。


『今、バカそうとか思ってるだろ?』


 なぜ分かった……!? こいつも()()()()と同じように心が読めるのか!?


 ここはどう答えるべきか……? 下手に正直に言ってしまえば、逆鱗に触れ、我を忘れて、俺は今度こそ本当に殺されるかもしれない。なのでここは、相手の機嫌を取ることにした。


『いや、逆だ。アースは聡明だと思う。しかも美人だし』


 聡明の部分は完全に嘘だが、美人なのは事実。


『お、おう。よく分かってるじゃないか!』


 褒められて気持ちがいいのか、さっきまでの殺意が嘘のように、機嫌が良くなり、高笑いをした。


 なんか腹立つわ……。


 だが、これは好機。


『アース様最高! よっ! 世界一の美女!』


『えへへへへへ~』


 更に褒めてみると、アースは見事に乗せられ、天狗モードになった。だが、普段の性格がアレなので、あまり普段と変わってないような気もする。


『やはりアース様は聡明なのだから……知らない事なんて無いだろうな~いいな~羨ましいな~それに比べて俺は何にも無いもんな~こんな俺にもアース様のように胸をはれるような知識力があればなぁ……』


 俺はアースに羨望 (嘘だけど)の眼差しを注いだ。


『そんな眼をされては仕方がない! 私の知識を君に与えよう!』


『え! 良いんですか!?』


『もちろんだとも!』


『ありがとうございます! さすがアース様! 聡明で美人なだけではなく、心まで寛大とは……改めて恐れ入ります!』


『いや~そんなに褒めるなよ~あはははは』


 こいつチョロすぎる。


『それじゃ、そこに立っててくれ。今、君に記憶転送魔法を使って、私の記憶を君に届けようじゃないか。それで知識勝負で他の者にマウントでも何でも取ってくるがいい!』


 アースがそう言うと、俺に手を向けた。


 すると、アースの記憶が俺の頭の中に流れた。この記憶転送魔法は、術者の記憶を対象の人物に送り込める魔法である。これを使えば、口で説明するのがめんどくさい時に、わざわざ口で説明しなくても、相手に説明内容を理解させる事ができる。なかなか便利な魔法だ。だが、珍しい魔法なので、あんまり使える人物はいるとかいないとか。


 ほう……これが、アースの記憶……。


 俺は、アースが送り込んだ記憶を全て把握した。


『ありがとうございます!』


『礼など良い! 今の私は気分が良い!』


『ははぁ~! ありがたき幸せでございます!』


 俺はまるで時代劇でお偉いさんに最大の敬意を払うかのように、作り笑いの笑顔で床にひれ伏した。


『うむ。くるしゅうないわ! あはははははは! では達者でな! 私の信者よ!』


 アースは、そう言って上機嫌のまま部屋を去っていった。


 というか俺はいつから信者になった。


 まあ、それはともあれ、アースの記憶が確かなら……よし! これで神の居城(ヴァルハラ)に行く事ができる……!

第118話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、11月1日(日)か2日(月)に投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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