第112話『まさかの襲来者』
お待たせしました。
第112話の執筆が完了しました。
宜しくお願いいたします。
※2024/06/15改稿しました。
《女神アース視点》
全く、なんて事だ。こんなの誰が予想した? 資格も無しに魔王城に侵入できるだけでもビックリだと言うのに……。
なぜ、ゼウスがここにいる!
『はぁ……はぁ……』
『地の女神アース。貴様には失望した』
――遡ること1時間前、ゼウスが自分達の今後の脅威となる可能性がある魔王軍を滅ぼす為、外を見張っていたマーブルを、たったの一撃で蹴散らし、魔王城に侵入しようとしたので『ここは、私が制圧したので、ここにゼウス様の脅威となる者はいません』と、咄嗟に嘘をついた。さっき、マーブルに襲われたのに、そんな嘘なんて通用するはずが無いのに……。
案の定、嘘がバレて私はゼウスに嘘をついた事による反逆罪で、私は裁かれようとしている。
正直このまま大人しく処分されるのが1番楽だが……私はシルバーちゃん達と……また皆と魔王城で楽しく過ごしたい。そんな思いがあったから、バカな私はゼウスに逆らってしまった。
そんな思いを胸に私はゼウスに反撃を試みるが、全く攻撃が通らない。きっとインチキな防御魔法でも使っているに違いない。このままではあの雷撃を受けるのも時間の問題だと考えた私は、隙をついて逃げようとする。しかし、すぐに回り込まれ、雷撃を受ける。
『うわああああああああああああああああ!!!!!』
思わず、子供のように泣き叫んでしまうくらいめちゃくちゃ痛い。
だけど、それでも歯を食い縛り、生きる事を諦めず、反撃と逃亡の機会を窺った。
『いつまで、そうしているつもりだ』
ゼウスはまるで瞬間移動でもしたのかと思うような速さで、私の後ろに立ち、至近距離で雷撃を放ち、私の身体を貫いた。
『いだあああ!! いだいいいいいいい!』
また喰らってしまった。ゼウスの雷撃。その辺の冒険者の雷魔法ならば、いくら受けても少し痛む程度だが、ゼウスの雷撃はその辺の雷とはまるで次元が違う。神さえ殺せる威力だ。私は既に2回喰らっている。生きてるのが奇跡だ。
『貴様では我を止めるどころか、傷1つ付ける事すらできない。それは貴様も分かっているであろう。このままでは貴様が苦しむだけだ。“謹んで処分を受けます”と言えば痛みなく消してやれる』
『嫌だ……生きたい……』
『何だと?』
『まだ……生きたいんだ……中には嫌いな奴もいるけど……この魔王城の人達とまだまだ楽しく、この先も……一緒に過ごしたいんだ……それの何が悪い』
私は言い切った。私の願いを。
『解せぬ』
ゼウス、お前には分からないだろうな。人間の可能性を、そして人間の愛を。こんなクズな私でも、受け入れてくれる女の子がいる事を……ひとりぼっちの私を見つけてくれた、銀色に輝く親友の女の子がいる事を! ゼウス……貴様が、その女の子を悲しませるような事をするなら……私は……。
『私の天命を賭してでも、貴様を止める!』
『ほう……』
1年以上前から準備をしていた大魔法を使う時が来た。本来は、違う目的で使う予定だったが……やむを得ない。
『ん? あいつから大魔法の合図が、今、来た……ちっ、こんな時に……今はそれどころじゃない!』
悪いが……この大魔法はここで使わせてもらう。じゃないと、皆が死ぬ事になってしまう。アクタ……お前程の実力でも、ゼウスは倒せない。だから……私はここでゼウスを止める!
『大地混沌魔法……ガイア・カオス!!!』
私がそう唱えると、周りの地面が歪み、粘土のように分裂し、人や武器、モンスターにまで姿を成し、まるでそれぞれが意志を持ってるかのように、ゼウスに襲いかかる。
この大地混沌魔法ガイア・カオスは、この世界の大地の全てを操り、姿形を変える事ができる。これを利用すれば、味方がどんなに遠くにいても援護する事ができる。尚、この魔法は女神レベルの相当高い魔法レベルの者しか使えず、途方もない魔力を消費する。なので一気に魔力を消費するより、年単位で少しずつ魔力を貯めてから、使う方が疲弊しなくなる。
『ほう。まさか、このような大魔法を使ってくるとはな……だが』
さすがは最高守護神ゼウスと言ったところか。下手すれば世界を破壊できる程の大魔法でも、まるで臆する事なく、襲ってくるもの全てを難なく破壊した。
『やっぱダメだよね……』
『もう終わりか』
『ああ、もう終わりだよ……貴様がな』
『何……?』
私は、先程粉々になった大量の大地の欠片をゼウスに張り付くように、纏わせた。
『ほう……』
ゼウスは全く抵抗する気がなく、ただ様子を伺っている。
油断しているようだが、これから貴様はその大量の大地の欠片によって、貴様を拘束する。
『なるほどな、先程我が破壊した大量の大地の欠片だけで我の動きを、完全に封じるということか。 確かにこのままでは我は動けない』
まるで、やろうと思えばこの状況をどうにかできると言ってるような口ぶりだ。だが……。
『だが、この程度では我を封じる事はできぬ』
ゼウスがそう言うと纏わりついた大地の欠片を全て、気合いだけで吹き飛ばした。
『そんな……バカな……!?』
くっ……どうすれば……?
第112話を見て下さり、ありがとうございました。
次回は、18日(日)か19日(月)に投稿予定です。
宜しくお願いいたします。