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第111話『怪物は霧を払う』

お待たせしました。

予定ギリギリの更新になってしまい、申し訳ございませんでした。

第111話の執筆が完了しました。

宜しくお願いいたします。


※2024/06/13改稿しました。

『さて……準備完了だ』


 あとは()()()が問いかけに応えてくれれば。


 いや、応えてくれる気がしないな。あいつの事だから俺だけは見殺しにして、シルバーだけはちゃんと助けるのだろうな。


 ――惑え。


 もはや馴染み深いその声が響くと、今度は霧が赤く、室内が熱くなった。


『何だ……?』


 霧が晴れると燃え盛る炎が四方八方に塞がっていた。普通に走って逃げられる気がしない。


『これは……幻覚か?』


 そう思ったが、熱気は確かに俺達の水分を奪っていく。どうやら霧が晴れる間での刹那に炎魔法で炎の壁を作ったのだろう。


『うーむ……』


 対処法を考える時間がもったいない。そう思った俺はそろそろ暑苦しくなってきたので周りの炎を、吐き出した息だけで軽く吹き飛ばした。


『え? あの……あれ?』


 何やら戸惑っているような声が聞こえる。


 霧の女神と思われる女が姿を現した。


『あの……どうやって炎を吹き飛ばしたんですか?』


『普通に口で吹き飛ばした』


『……は? えええええええええええ!?』


 霧の女神は驚愕の声を上げた。何をそんなに驚いている。この程度の炎なら、わざわざ魔法で対抗するまでもないだろう。


『本気で俺を封じ込めたいなら、プロメテウスの炎でも使うんだな』


『ぐぬぬ……これならどうだ!』


 ――惑え。


 すると、今度は青い霧が舞い始め、先程の暑さとは対称的に気温がかなり低くなった。雪山に遭難するようなシチュエーションを思わせるような危険な寒波だ。もし一睡でもするようなら死は免れない。普通の人間だったらの話だが。


『うむ。ちょうどいい温度だな』


『へ?』


 俺は涼を求めるあまり、この極寒の空間で上の服を脱いだ。久々の半裸だな。


『ええ!? ちょ、何やってるんですか!』


『何って、せっかく良い感じにひんやりしているからな。脱ぐことでさらに効率よく涼を取ることができるからな』


『いや、そんなこと言ってられるレベルじゃないですよ!? マイナス36度ですよ!』


『おお、1番心地よい温度じゃないか』


『えぇ……こいつマジかよ……』


 霧の女神は何やら引いている様子。俺は何かおかしな事を言ってしまったのだろうか?


『なら……こいつはどうかな……』


 ――惑え。


 今度は黄色い霧が舞う。すると、どこかから雷鳴が聞こえ始める。


『今度は雷か』


『雷なら、さすがに効きますよね!?』


 そんな霧の女神の願いも虚しく、俺は上空の雷を避雷針の如く全てこちらに集めて吸収し、雷魔法の足しにした。つまり次、雷魔法を発動する時にさっき集めた雷を使えば強力な雷魔法1回分の魔力が浮くというわけだ。うむ。我ながら素晴らしいエコ精神だ。


『なんでですかああああああああああああああ!』


『次はどうする?』


『じゃあ……これはどうだ!』


 ――惑え。


 次は、緑色の霧が舞った。次は目の前に巨大な竜巻が霧ごと蹴散らしてこちらに向かっている。どうやら、霧の女神が意図的に動かしているようだ。


『なるほど、そう来たか』


『あはははは! どうですかどうですかぁ! 今度こそあなたは終わ――――』


『よし、これで風魔法の足しになった。考えてみれば最初の炎も吸収すれば良かったな』


 先程の雷の時と同様に竜巻も丸ごと吸収した。


『ふ、ふざけるなああああああああああああああああああ!!!!!』


 竜巻まで吸収されたのがそんなに悔しいのか、尋常じゃない程の怒鳴り声が聞こえた。うるさい。


『少しは落ち着いたらどうだ?』


 俺はなだめるつもりでそう言った。


『うるさい!!! もうこうなったら……()()()()()()を使ってやりますよお!!!』


『切り札?』


『切り札カモーン!』


 ――惑え。


 黒い霧が舞う。いや霧というより、もはや闇か。


『!?』


 俺は唐突に強い引力を感じ足元がグラついた。


『これは……まさか……!』


 光が見えない程黒く……どこまでも黒く何もかもを引きずり込む闇の天体……()()()()()()()が、目の前にあった。


『ダメだ。吸い込まれる』


 俺は精一杯引力に逆らってみたが、さすがに引力には勝てず、そのまま吸い込まれてしまった。


『これなら、さすがのあなたでも……コテンパンのパンパンですよおおおおお!!!!! あははははははははははははははは!!!!!』


『――もう脱出したのだが』


『……え? ドウユウコト?』


『ブラックホールは光の速度さえ飲み込まれる。なら、()()()()()()()()()()()


 まあ、光を越える速度を出すのに体力がかなり消費されてしまったがな。それでも良い運動になったと思えば、むしろ儲けものだろう。


『光よりも速く走ったってこと?』


『そうだな』


『ドウヤッテ?』


『本気で走っただけだ。おかげで久々に汗をかいた』


『……』


 霧の女神は驚いてるのか呆れてるのか、とうとう絶句してしまった。


『おい、霧の女神』


『……なんですか』


『いや、もう終わりかと思ってな』


『……終わりにしましょう……せっかく()()()()()ちゃんを連れてきたのに……こんなに歯が立たないなんて……』


 ファントムちゃん? もう1人の敵か?


『はぁ……もう降参ですよー。はい、終わり! 解散! ファントムちゃん帰ろー』


『……うん』


 霧の女神がそう言うと途端に2人の気配が消えた。俺もいつの間に元の和室へと帰って来た。


 消えてしまった他の皆も、倒れて眠っていただけで特に外傷などは無かった。


『どうやら、皆、無事のようだな』


 俺はホッと胸を撫で下ろした。


 しかし、あいつら一体何だったんだ……? なぜ俺達を襲って来たんだ……? それにあいつらの言っていたあの方とは誰だ? まさかアテナか? いや……アテナの性格を考えると、よりによって今、襲ってくるとは考えにくい。あいつはゴール目前で絶望を与えてくるような奴だ。今はまだその時ではない。


『そういえば結局()()()からは、何も応答なかったな』


 全く……何やってるんだ……アースよ。


第111話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、16日(金)、17日(土)に投稿予定です。

宜しくお願いいたします。

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