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第105話『旅の前の景色』

お待たせしました。

第105話の執筆が完了しました。

宜しくお願いいたします。


※2024/06/08改稿しました。

『お、シルバー。おはよう』


『……お姉ちゃん。おはよう』


 ゴールドは気持ちを入れ換えようと早朝の景色を見に行くと、恐らく同じ理由で外に出ているシルバーと遭遇した。


 ――早朝の太陽が、この壮大な大地を照らし出す。いつも見る光景のはずだが、今だけは特別に思えてしまう。まるで彼女達の旅の始まりを祝福しているかのように。


『さて、いよいよ出発だな……』


『うん……』


 不安な感情に心を支配されるシルバー。今にも逃げ出したい気持ちでいっぱいだろう。もしアクタにそう言っても許してもらえる。きっと留守を任せたぞと言われるだろう。


 しかし、シルバーは逃げない。愛する姉と妹はきっと前へ進むから。家族と離ればなれは寂しいから。何より、家族と仲間を守りたい。そんな思いが強いシルバーだが、どうしても不安で足がうまく動かない。まるで常に重りをつけているようで、前に進めない。


『シルバー……』


 ゴールドはシルバーの様子を読み取る。ブロンズのように心までは読めなくとも、大体の事情は察している。


 妹の為に何ができるのか。そう深く考える前に、ゴールドはシルバーの手を強く握った。


『お姉ちゃん?』


『シルバー!』


 ゴールドは、シルバーの手を引き寄せ優しく抱きしめた。


『お姉ちゃん……?』


『大丈夫だ、シルバー。きっと無事に旅を終える。そして時の女神に会って、赤髪ちゃんや、あおいちゃん……そして、ダストっちも助けられる』


 その言葉になんの根拠もないが、ゴールドは、自分達の力を信じているからこそ、自信を持って言える。


『なんせ、私達には師匠やアミっちも居て、まーちゃんやアースちゃんもいざとなればどこにでも駆けつけて助けるって言ってるんだ。こんなに頼もしい事が他にあるか?』


 そもそも今回の旅のメンバーは戦力的に言えば充分すぎるくらいだ。不安どころか負ける気すら感じなくなるレベルだ。ゴールドの言う通り、こんなに頼もしい事はない。


『お姉ちゃん……ありがとう』


 シルバーは手で涙を拭った。


『そうだね。アクタさんも、アミさんも居るんだ。うん、頼もしすぎるね!』


『おお!』


 それから二人は手を繋いだまま、しばらくこのいつもの景色を目に焼き付けた。この温もりが、愛おしくて――




 それから時計の針は進み、朝食の時間になると食堂では……。


『おはよう……おお、めっちゃ良い匂い!』


 まずは、フラン達三兄妹がやってきた。三人共、起きたばかりなのか寝癖が少し残っている。


『おお、おはよう! もう朝飯出来てるぜ』


 ゴールド達三姉妹は、既に朝飯の支度を済ませテーブルの上には、大量のラァイス (白米)と、ストロングカリカリ(トースト)と、アイズインフェルノ(目玉焼き)と、ヴェェェェコン(ベーコン)と、創世磁(ソーセージ)が置いてある。


 相変わらず奇抜なメニュー名に、フラン三兄弟は揃って首を傾げた。


『あ、一番下に、線引きされてるけど、食パンって、あの食パン?……』


 フランがそう質問すると、ブロンズが、何か悪巧みを考えたかのようなニヤニヤ顔をしながら、フランにこう耳打ちをした。


『ああ、それはね……パンツよ』


『…………は?』


 フランは何言ってんだこいつと言わんばかりに、困惑した顔を見せた。


『え? 今、何て言った? え? パンツ……? そういう料理名なのか?』


『ええ、そうよ……ゴールド姉の部屋にあるから、持ってきてあげようか?』


 ゴールドの部屋からパンツを取ってこようと、食堂を出ようとしたブロンズを、ゴールドは全力で阻止した。


『こら、やめろ! あの悲劇をまた繰り返す気か!』


『え~! ゴールド姉の、あの真っ赤に恥じらう、可愛い顔が見たいのに~』


 ブロンズは残念そうな顔でゴールドを見る。


『見たいのに~じゃない!』


 ゴールドが恥じらいながらツッコむと、ブロンズが、また悪巧みを考えたかのようなニヤニヤ顔をして、こう言ってきた。


『あ、そっか! ゴールド姉のパンツを食べていいのは、お兄ちゃんだけだもんね!』


『んなわけねえだろ! てかパンツ食べるってなんだ!』


 その後もゴールドは、ブロンズにめちゃくちゃ弄られた。そうしている間にアミとアリス、アースも来て、そして最後にアクタが来た。


『これで全員だな』


 正確にはマーブルとみどり以外の全員が来ている。みどりはマーブルが独りで寂しく外で朝飯を食べている所を見兼ねて、通信魔法を起動させながら、一緒に朝食を食べることとなった。


『頂きます!』


 ――30分後。


『ごちそうさま!』


 大量に作ってあった朝飯も、皆で一品も残さず全て食べ尽くした。これで腹が減っては戦はできぬなんて状況は生まれないだろう。


『よし、では準備が出来次第、玄関前に集合だ』


『はーい!』


 各々、出発する準備を進めた。アクタは既に準備を済ませてあるので、魔王城に残るアースと()()()()を起動させる手伝いをした。尚、その間アースは全然、アクタ口を聞かなかった。


(お前は思春期の娘か)


 ――――そして、出発の時は来た。


『皆、準備はいいな?』


『はい!!!』


『うむ。良い返事だ』


 俺は空を見上げ、皆に向ける言葉を考え、そして再び皆に顔を向けて、言葉を発した。


『みんな聞いてくれ。この旅は確かに未知で危険だ。自分の命も落としかねないかもしれない。だが忘れないでほしい。これは生き残る為……我々の日常を取り戻す為の旅だ! そこに一人でも欠けてしまえば、それは……もはや日常とは呼べない! だから……誰一人欠けるな! 全員生き残れ! お前達が、笑顔で過ごせる未来を掴み取れ!』


『はい!!!!!』


『うむ……それでは……行くぞ!!』


 こうして時の女神の捜索の旅は始まった。


第105話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、10月1日(木)~3日(土)に投稿予定です。

宜しくお願いいたします。

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