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第104話『会議と出発前夜』

お待たせしました。

第104話の執筆が完了しました。

宜しくお願いいたします。


※2024/06/07改稿しました。

『時の女神捜索隊?』


『ああ。そろそろ、編成しようと思ってな』


 3連休という名の鎖から解き放たれた俺は、早速、皆を食堂へ呼びつけ会議を始めた。アミとアリスも、通信魔法越しで会議に参加している。


『んー、そもそも時の女神って、どこにいるんだっけ?』


『確か、世界の果てとか言ってたような……』


 世界の果て、か。


 確か、俺がシュタインを連れて魔王城に戻った時に時の女神が突然、俺の目の前に現れた時にその事について聞いてみたが、彼女はこう言った。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()


 どういうことだ? と聞いても、首を横に振り、『それ以上は、答えられない』と言われてしまった。その情報だけでは正直お手上げだ。この世にはないと言われても、じゃあ別の世界へ行けるか、と言われたら、それは無理だ、と言わざるを得ない。


 なら、この世にはないというのは、比喩的な意味なのか? とも考えたが、どんなに知恵を絞っても、思い付く事は何もなかった。もはやしらみ潰しに世界中を駆け、世界の果てを探していくしかない。効率的じゃないどころか、現実的ですらない。かなり苦しいが仕方あるまい。


『世界の果てについては、とにかく手当たり次第に探そう。それしかない』


『手がかりとか一切ないの?』


『そうだな……世界の果ては、この世には存在しないって事くらいだ』


『なんじゃそりゃ?』


 案の定、みんな揃って首を傾げ、頭にハテナマークを浮かべている。まあ、そういう反応にもなるだろうな。俺も同様のリアクションを披露したからな。


『とにかく、一刻も早く世界の果てに行き、時の女神に力を借りたい』


 神の居城(ヴァルハラ)の連中がいつまでも、世界の裁定を見送ってくれるとも限らない。とはいえ俺が火の国に行った時、プロメテウスを重篤な状態にさせた事で、世界の裁定はしばらく延期にせざるを得なくなった。なぜなら世界を裁定するには、数多くの神々の力が必要だからだ。それに、特に大きく貢献しているのは、“ゼウス” “ヘラ” そして“プロメテウス”の3人だ。この中の1人でも再起不能になれば、世界の裁定は極めて難関だ。だが逆に言えば、難しいだけで不可能ではないということだ。いつまでもじっとはしていられない。


『皆、力を貸してほしい』


『もちろんだぜ! 師匠! なあ皆!』


 ゴールドの後に続いて、アース以外の他の皆も、『おおー!』と腕をあげ、力を貸してくれる意志を見せてくれた。


『ありがとう』


 盛り上がったところで、突然アースが立ち上がり、俺にこう言った。


『私は、お前に協力しない』


 そう言うと、さっきまで盛り上がってたのが嘘のように、空気が静寂に支配された。


『でも……シルバーちゃん達は、お前に協力しようとしている』


 複雑な表情でアースは言った。


『そうだな』


『シルバーちゃん達が、お前に協力するということは、彼女達に危険が及ぶ可能性が高い。そして、私はシルバーちゃん達を助けたい』


『つまり、遠回しに俺に協力するということだな?』


『違う! お前にじゃない。あくまでシルバーちゃん達に協力するってことだ。勘違いするな』


 そう言うと、アースは踵を返し、静かに食堂を出た。


『ま、まあ、これでアース様からも、ご協力頂けるってことですよね! 良かったわ! ね、フラン! ケン!』


 シュタインがうまく纒めて、重い空気を変えてくれた。


『お、おう』


『そうだね』


『うむ。シュタインの言う通り、これで一歩前進だ。では、次の話に移ろう』


 その後は、時の女神捜索隊の編成についての話をした。何人で行くのか。二つ以上のグループに別けるのか……それぞれ意見を出し合った。そして結論は……。


『我々の中から、いくつかグループに分けて、それぞれの役割を全うしよう』


『異議なーし!』


 全員、快く頷いてくれた。


『ここからは長い旅になる事を考慮し、出発の日は1週間後の朝だ! それまでに、各々準備を済ませるように! 解散!』


『はい!!!』


 それから準備期間に入り、皆、忙しない一週間を過ごした。中には俺に修行をつけて欲しいと懇願する者もいた。ゴールドとフランとケンだ。俺はその強い意志を汲み取り、毎日修行をつける事にした。


 そして、出発日の前日になると修行をつけた三人の身体能力は飛躍的に向上し、魔法の熟練度も修行をつけた日と比べ物にならない程となった。


 夜になると豪華な夕食が待っていた。出発日の前日ということで、ゴールド達姉妹がスペシャルコースを振る舞ってくれた。どうせなら皆で食べたいということで火の国の基地で待機しているアミと、アリスも、夕食に招待した。魔王城の中に入れないマーブルの分ももちろん作ってある。それでも独りで食べる事になってしまう事には変わりないので、側に通信魔法が使えるアミが、マーブルと一緒に食事をする事となった。これで、皆の顔を見ながら、食事ができる。


 マーブルはこの雰囲気だけで静かに涙を流している。押し殺していた感情が溢れているようだ。


『それじゃ、皆……長い旅の成功を祈って……乾杯!』


『乾杯!』


 グラスを交わし合い、これまでにないほどの盛り上がりを見せた。


 そんな中でシルバーとシュタインは、表面上は笑いつつも、どこか不安げな様子を漂わせた。不安があるのも無理はない。明日からは危険な未知の世界へ足を踏み入れるのだから。


 二人の様子を見ていると、ゴールドがシルバーに、フランがシュタインに話しかけ、それぞれ別の場所へ移動した。どうやらゴールドもフランも、二人に元気が無いのを察して、動いてくれたようだ。


『どうやら、俺の出番は無いようだな』


 そう思っていた時だった。ブロンズが青ざめた表情で、俺の元へやってきた。


『アクタお兄ちゃん! 大変よ! アースちゃんが、またお酒飲み過ぎて、暴走してるわ!』


 やっぱり俺の出番はあったようだ。主に、馬鹿女神関連で。


『やれやれ、またか……』


 泥酔したアースはアリスの服を脱がそうとしている。


『やめろ! この変態女神!』


『ぐへへへ……良いではないか~』


 全然良くないぞ。この馬鹿女神が。


 すると、アリスの堪忍袋も限界に達したのか、殺傷能力の高い光魔法をアースにぶつけた。とはいえ簡易的ではあるが、アリスの魔力レベルも、魔法レベルも、極めて高い為、女神相手だとしても、多少のダメージを与えることができる。


『いい加減にしろよ! この変態女神!』


『ぐへへ……ぐへへへへへへへへへへ』


 血まみれのアースは、打ち所が悪かったのか、さらなる狂喜乱舞を披露している。


『仕方ない』


 俺は前回と同じように、アースを気絶させ、そのまま幻の図書室の奥の部屋のベッドまで運んだ。


『二回目だぞ……全く……次は無いぞ』


 こうして、各々不安を抱きながらも、()は明ける。これから何が起きるのか……俺にも分からない。だが、これだけは言える。アミ、アリス、ゴールド、シルバー、ブロンズ、みどり、フラン、ケン、シュタイン、そしてマーブル……お前達だけは、俺が守ってみせる。


 たとえ俺が死ぬことになろうとも……。

第104話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、28日(月)~30日(水)に投稿予定です。

宜しくお願いいたします。

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