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第101話『学園生活』

※2024/01/06改稿しました。


お待たせしました。

第101話の執筆が完了しました。

宜しくお願いいたします。

 ――――ここは安哭(あんこく)学園。どこにでもある普通の学園だ。そして、この俺、アク……黒崎出人(ダスト)も、どこにでもいる普通の人間だ。それ以外の何者でもない。


『お前、ホントにどうしちまったんだよ……』


 俺に心配の眼差しを向けている男の名は、東城亜恋(とうじょうあれん)。俺の幼馴染で親友だ。あと馬鹿だ。


『今、何故かディスられたような気がしたぞ……ってもうこんな時間か!』


 キーンコーンカーンコーン。


 学校を象徴するかのような位置にある大きな時計が昼休みの終了間近を知らせている。


 どうやら、ここの時間概念は俺が居た世界と同じものだろう。


『おい、何ボサッとしてんだよ! 早くしねえと、超絶美人だけど、怒るとかなり怖くて有名なあの(あかね)先生の、(おせっきょう)喰らっちまうぞ! まあ、それはそれでご褒美だけどな!』


『あ、ああ……』


 俺は喉まで出かかっている疑問を飲み込みながら、全力疾走するアレンの後についていく。


『はぁ……はぁ……なんとか間に合ったか』


 走り抜いた先にあったのは、2年1組とかかれた表札がある部屋……いや、教室と言うのだったな。思い出してきた。俺もかつては……いや、正確に言うと、3回くらい前の転移の時か。この学校に通っていた……気がする。


『ダスト? どうした?』


『俺の席とやらは、どこだ?』


『おいおい、勘弁してくれよ。マジで記憶喪失かよ。お前はここだ。俺の前の席だろうが』


 アレンが指を指した席は、1番窓側の後ろから2番目だ。ここが俺の席らしい。


『はーい、皆さん、席について下さい。授業始めますよ』


『な……!』


 俺は驚愕した。Yシャツと黒いミニスカートに、黒タイツを纏い、教科書を片手に持っていたのは……紛れもなくスカーレットだった。どうやらアレンが言ってた茜先生とは、この世界でのスカーレットの事らしい。


『茜先生キター』


『今日もお美しい……怒ると怖いけど』


 周りの男子生徒がヒソヒソと、スカ……茜先生の事を話している。女子生徒達も妬みではなく、憧れの眼差しを向けている。男女共に人気があるらしいな。


『ん? 何ですか? 黒崎くん? 授業が始まるので、席について下さい』


『ん? ああ、すまない』


 思わず立ち尽くしてしまった俺は、踵を返し、席へ戻ろうとすると、クラスメート全員が、なぜか青ざめた表情をしながらこちらを見ている。一体どうしたんだと思っていると、茜先生は俺の何かが気にくわなかったのか、血相変えて怒号を放った。


『ちょっと、黒崎くん! すまないとは、何ですか! 目上の人に対して使っていい言葉ではありませんよ! 敬語を使って下さい! 非常識ですよ!』


 そうだった。俺が生徒でスカーレットが教師ということは、敬語を使わなければいけなかった。俺としたことが……。


『すみません。先生』


 敬語は慣れないが、ここは大人しく敬語で謝罪するしかあるまい。


『はい、以後気をつけて下さいね。黒崎くん』


『はい』


 俺はお辞儀をしてから席に戻った。周りの生徒からは『何やってんだこいつ』と言わんばかりの目線が、全方向から複数飛んできた。アレンも『あちゃー』と言わんばかりの顔をして、額に手を当てていた。


『それでは授業を始めます。号令を……沖田さんお願いします』


 茜先生が、そう言うと沖田美優(おきたみゆう)という女子生徒が、号令をかけた。


『起立! 礼! 着席!』


 そこから先は、茜先生がひたすら、ただただ訳の分からない言葉や記号の数々を黒板に書いては、消して、説明しての繰り返しだった。正直、授業内容はとても退屈なものだ。まあ、覚えておいて損はないだろうが、本当に将来役に立つ知識なのかも怪しい。こんなことに時間を使うくらいなら、もっと将来性のある知識を得るべきだと俺は思うが……そんなこと言っても、誰も取り合ってはくれないだろうな。恐らくこの世界の住人にとっては、これが“常識”なのだから。


『はい、今日の授業はここまでです。皆さん。遊ぶのも良いですが、来週は小テストもありますので、成果を上げるためにも、ちゃんと今日やった事を、復習して下さいね……特に東城君!』


『えー、俺っすか?』


 アレンは名指しをされて、少し不満そうな顔をした。


『正直、あなたが1番心配です。分からない所があれば、先生が相談にのりますから、ちゃんと勉強して下さいね』


『は……はい』


『東城~、また赤点取るなよー』


 別の男子生徒が赤点常習犯のアレンを茶化してきた。だが、それは悪意で言ったわけではなく、むしろ愛されてるような感じがした。


『やかましい!』


 アレンがそうツッコむと、周りの生徒が一斉に笑い出した。茜先生もどこか笑っているような気がした。前のギルドの時も、こんな感じでアレンが馬鹿な事をして、それを見たスカーレットがよく笑ってたな。だが、俺は……そんなギルドを、最後まで守りきれなかった……。



 それから、この後の授業も退屈を感じながらも、真面目に受けて帰りのホームルームも終わり、ようやく放課後になった。


『ダスト、一緒に帰ろうぜ』


『ああ。そういえば、俺の家ってどこにあるんだ?』


『おいおい、それも忘れたのかよ……その前に、1回病院行った方が、良いんじゃないか?』


 病院……確か、火の国のような文明が発達した国にもある医療施設というやつか。別にどこも悪いわけではないんだがな。かと言って、他の世界から来た……と言っても、信じてもらえないどころか、別の病院を紹介されそうだ。


『俺は病院など好まない。自力で治す』


『はぁ……こりゃ、重症だな……』


 アレンは、ガクッと肩を落とした。


第101話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、22(火)か23日(水)に投稿予定です。

宜しくお願いいたします。

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