第100話『アース大暴走』
※2023/12/31改稿しました。
お待たせしました。
第100話の執筆が完了しました。
宜しくお願いいたします。
混沌とした食堂を治める為に俺は再び食堂の扉を開ける。
『あはははは! あ、ししょーだあ! あれぇ? なんかししょー、ぶんしんしてね?』
どうやらゴールドには俺が分身して見えているらしい。
『分身など出来たらもうとっくにやっている。いいから水飲んでもう寝ろ』
俺はゴールドに水を飲ませ、部屋へ連れてこうとするが……。
『い~や~だ~! まだまだよるはこれからだろぉぉ!』
ゴールドは駄々をこねた子供のように床に寝転び、就寝を拒絶している。端ないことに、足をバタバタ動かしているせいで、スカートの中が見えてしまっている。
『はぁ……やれやれ……』
俺は暴れるゴールドを無理やり抱き抱え、ついでに横で倒れているみどりも回収する。
『まだまだのめるぞぉ……』
『飲むな。呑まれるな』
『あれぇ? おかあさん? どうしてこんなところにいるのぉ?』
今起きたかと思えば、みどりはまだ酔いが覚めてないようだ。
『俺はお前のお母さんじゃないぞ、みどり』
俺はこの酔っぱらい共をゴールドの部屋のベッドまで運び、寝かせた。ちなみにみどりは、どうやらローテーションでゴールド姉妹と一緒に寝てるらしい。
そういえばシュタインはどこで寝てるんだ? 食堂には居なかったが……。俺は気になってシュタインの気を探ってみた。
『うむ……どうやら、空き部屋で寝てるようだな。となると……あと、食堂に残ってるのは、あの馬鹿女神だけだな……』
俺はアースに特別嫌われてる。一体何を言われるのやら……。
俺は止まらないため息を延々とつきながら、食堂の扉を開ける。さあ、最終決戦だ。
『あれれ~? わたしのいとしいいとしい女神は?』
アースは千鳥足で片手に酒の瓶を持ち、気持ち悪い笑みを浮かべながらそう言った。
『ゴールド達なら、もう部屋で寝ているぞ。全く……何やってるんだ。この馬鹿女神』
そう言うと、アースは俺が居ることに今、気付いたのか、途端に不機嫌になり、持っていた酒の瓶で俺に殴りつけてきた。瓶は豪快に割れ、破片が俺の頭に刺さり、残っていた酒を浴びた。
『……るせぇ』
『何だ?』
アースはスゥゥゥと息を吸い込んだ。すると……。
『うるせえんだよ!!!!!!!』
それはとてつもない怒号だった。俺の鼓膜がまるで恐怖でビクビクと震えていると思ってしまう程の声量だ。この大きさだと魔王城内はおろか外まで響いているのではないだろうか。
『大体何なんだよ!!! てめえは!!! 私の保護者か? ふざけんな!!!』
『前から思っていたが何をそんなに憤る? 俺がお前に何かしたのか?』
『ああ? 何しらばっくれてんだよ!!! このカス野郎!!!』
やれやれ、しらばっくれてるわけではないのだがな。本当に何なんだ?
しばらく、アースから俺への罵倒の嵐が続いた。とてつもない憎悪を感じ取れる。
『はぁ……はぁ……フフ……フフフフフフフフフ』
罵倒が治まったと思ったら、今度は壊れたように狂い、笑った。
『大丈夫か?』
『ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!』
とうとう頭のネジが外れたのか……いや、そんなレベルの話ではない。アースの身体から闇色のオーラが溢れている。これは憎悪によるものか……それとも呪いか……どちらにせよ、対処するしかない。
『アクタアアア!!! 殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!!!!』
アースは流血するほど自らの頭に爪を立て、その血が、床に落ちた瞬間、魔王城全体に描ききれない程の巨大な魔法陣が現れた。
『おい、この魔法は……シャレにならんぞ』
大地魔法“アースクェイク”。魔法陣内にある、大地を震動させる魔法だ。もし、この魔法が発動してしまえば魔王城は崩れるだけではなく、迷いの森やベンリ街、近くにある地までも、揺れによる多大な被害を及ぼす事になる。この魔法を止めるには術者であるアースの意識を奪う必要がある。だが大地魔法が発動するまで、およそ30秒程。それまでにアースを止めなければならない。
『考えてる時間はない!』
俺は全身に光魔法を纏わせ、瞬時にアースの後ろを取った。だが。
『アアアアアアアクタアアアアクタアクタアクタアアアア!!!!!』
アースはまるで俺の動きを読んでたかのように、すぐに後ろを振り返り、隙だらけになった俺の身体を、生成した尖った岩で貫く。
『ぐっ……多少は痛むが……この程度なら……』
俺はアースの目の前まで光速移動し、光を纏った拳の拳圧をアースにぶつけた。無論手加減はした。
すると、アースはブクブクと泡を吹き……気絶した。
『おっと』
アースの身体が床に倒れる前に受け止めた。
『全く……世話が焼ける……』
仕方ないので、アースを幻の図書室にある、奥の部屋のベッドまで運んだ。やれやれ、今日だけで何回ベッドに運んでるんだ……。俺はそっと部屋から立ち去った。
『……俺も寝るか』
しかし、どこで寝れば……。ああ、そうだ。あいつの部屋がいいか。少し気になる事もあるしな。
俺はあいつの部屋へ入り、中を観察した。だが特に気になるところはなかった。
『まあ、それもそうか……』
俺はそのままベッドの中に入り、やがて意識は夢の中に誘われた。
――――――――――
……ん? ここは夢の中か? 身に覚えがあるようなないような時計付きの白い建物がある。
『ここは……?』
同じような格好をした者達があちらこちらへ行き交う。多くの者はまだ十代の若者のようだが、孤児院か何かだろうか?
『おい、ダスト』
『は?』
突然、白いYシャツに黒いズボンを纏った、俺のよく知る男、アレンが、俺に声をかけてきた。
『おいおい、どうしたんだよ。ボーッとして』
聞き間違いか? 今、目の前にいるアレンが俺の事をダストと呼び間違えた上に、まるで同期のように馴れ馴れしくしてくる。
状況が全く掴めないが、まあここは夢の中だ。訳の分からない夢を見ることもあるだろう。俺は一度この状況を受け入れ、アレンの話を聞くことにした。
とはいえ俺がダストになるなんて、なぜこんな奇妙すぎる夢を見てるのだろうか?
『お前、何か様子が変だぞ?』
変なのはお前の口調だ。アレン。お前はいつも俺に対しては敬語を使うから、どうしても違和感を覚える。
『ん? おーい。ホントにどうしたんだ?』
聞きたい事は色々あるが、まずは情報収集だ。アレンに聞いてみよう。
『なあ、アレン。ここはどこだ?』
『はあ? お前記憶喪失にでもなったのかよ。ここは学校だろ?』
『学校……だと?』
第100話を見て下さり、ありがとうございます。
次回は、21日(月)~22日(火)に投稿予定です。
今回で、とうとう100話目ということで、少し話をさせて下さい。
ここまで書けたのも、いつも見て下さっている皆様のおかげです!
見て下さってるからこそ、面白いものが書きたい! もっと、皆様を楽しませたい! と思えたのです。
見て下さってる皆様、僕を応援したり、アドバイスをしてくれた方々、そして、僕の頭に降りてきてくれたキャラクター達には、感謝の気持ちでいっぱいです!
本当にありがとうございました!
これからも、宜しくお願いいたします!