第99話『なんだこれは』
※2023/12/28改稿しました。
お待たせしました。
第99話の執筆が完了しました。
宜しくお願いいたします。
『ただいま』
『ただいまですぅ!』
ブロンズとみどりが火の国から帰還した。どうやら無事に任務を遂行してきたようだ。
報告を聞いたフランとケンは準備が出来次第すぐに、魔王城に向かうとの事だった。だが、結界が張ってあるため、解除役のブロンズとみどりと迷いの森の前で、待ち合わせする事になった。
『そういうことなら、シュタインはここで待機だな』
『了解です!』
その後、ふてくされてるアースを含めた全員で、食卓を囲い、夕飯を頂いた。
その後、アミと連絡を取るために、みどりが魔法で球状の光を出現させた。すると、そこからうっすらとアミの顔が映った。
これは通信魔法だ。ブロンズとみどりが火の国の基地へ行った際に、みどりはアミと通信魔法の契約をしたようだ。通信魔法が使える者同士が契約すれば遠くに居ても会話をする事ができる。
というか、みどりよ。通信魔法が使えるなら、最初から言ってくれ。まあ本当は俺自身が通信魔法を覚えてれば良かったが、残念ながら俺には適性では無い。
『やあ、皆、元気かい?』
光の中のアミの顔が鮮明に姿を現し、はっきりと声も聞こえる。ここにはいないはずだが、まるで目の前にいるようだ。
『おお! アミっち! 皆、元気だぞ!』
久々にアミの顔を見れて嬉しいのか、ゴールド達の高揚が収まらない。
『アミお姉ちゃんに話したい事がいっぱいあるの。聞いてくれる?』
『もちろんだ! ブロンズちゃん!』
『ねえ、アミさん……その女、誰……?』
突然アミの横から顔を出してきたアリスは、闇色の憎悪のオーラを放ちつつ、今にも呪いそうな目でブロンズを睨む。
アリスよ。お前はそんな目をする奴だったか? この短い時間で一体何があった?
『ああ、私の仲間達だよ』
アミがアリスにそう言うと、アリスは即座にいつもの表情に切り替えた。
『あの、その女の子誰?』
『そいつの名はアリスだ。道具の中に潜り込むという、非常に珍しい魔法が使える逸材だ』
アリスの事については、この中では俺しか分からないので、俺から説明した。
『あ、どうも、アクタさん。アミさんは無事に守らせて頂きました!』
アリスは営業スマイルのような顔をしながら、成果を報告した。お前はそんなあからさまな愛想笑いをする奴だったか? やはり何かあったのか? アリスよ。
『ご、ご苦労だった』
俺としたことが、アリスのあまりの性格の変動ぶりに動揺して少し噛んでしまった。
『あ、団長! 事情はブロンズちゃんから聞きました。大変だったみたいですね……お疲れ様でした』
思い付いたかのように、アミが俺を労った。
『ああ、報告が遅れてすまなかったな』
『いえいえ、気にしないで下さい……。あ、それと、先ほどフラン君とケン君がそちらに向かいました』
『本当ですか!?』
さっきからずっと静かだったシュタインは途端に会話に食いついてきた。
『うーんと君がシュタインちゃんかな? うん、さっきね、君のお兄ちゃん達が基地を出て、そっちに向かっていったんだ』
シュタインは目をキラキラと輝かせたまま、固まってしまった。よほど、兄弟と会えるのが、嬉しいのだろうな。俺も早くダストを解放させる方法を考えなくては。
『分かった。ブロンズ、みどり。あいつらの体力を考えると、恐らく1日で着くだろう。明日の夕方には迷いの森前に、居てくれ』
『はーい!』
『分かったわ』
本当は俺が火の国まで行って、迎えに行った方が効率的だが、まだ休暇を命じられたままだからな。
その後は特に報告する事もなかったが、ゴールド達は、アミと話したいことが沢山あるようで、しばらく思い出ばなしに花を咲かせた。
『――――でさ、師匠がさ――――』
邪魔にならないように俺は食堂から出て、マーブルの様子を見に行くついでに夜空を眺めた。
――――それから、1時間が経過した。
そろそろ風呂に入ろうかと、大浴場へ向かっていた時の事だった。
『ん? 食堂がやけに騒がしいな。そんなに話が盛り上がってるのか?』
食堂から尋常ではない程の大きな笑い声が聞こえる。ここが集落だったら、大勢の鼓膜が破けるだろう。最悪な近所迷惑だ。
『あいつら、何やってるんだ』
気になった俺は食堂に入った。
『なんだこれは』
俺の目に映った光景は、それはもう悲惨なものだった。まずゴールドとみどりとアースが酒で酔ったのか机の上でモンスターのように吠えたり、腕を組んで合唱したりと、普段では見られない狂気がそこにあった。
俺は唖然とした。普段狂ってるアースはともかく、ゴールドとみどりはそもそも年齢的に酒は飲めないはずだ。
不思議に思っていると床にひれ伏してるシルバーと、ブロンズが俺の足を掴んできた。
『アクタさん……助けて……下さい……』
『アクタお兄ちゃん……ここは……地獄よ……』
まるで戦死する寸前の兵士のような顔をした2人は、一言ずつ残してから、意識を失った。
2人の身体には大量のキスマークがあり、服装も激しく乱れていた。あまり想像したくないが、よほど、あの酔っぱらい共に濃厚に絡まれたのだろう。
『やれやれ……』
俺はシルバーとブロンズを抱え、それぞれの部屋のベッドまで丁寧に運んだ。
『あの大馬鹿者共め……後は任せろ』
第99話を見て下さり、ありがとうございました。
次回は、19日(土)~20日(日)に投稿予定です。
宜しくお願いいたします。