金なら一枚、銀なら五枚で婚約破棄
王族の何か良く分からないパーティ会場で見つけたちょっと派手めな女に手を出したばかりに、私は後々苦労することとなった。
見た目は若々しく20代前半と見受けられたが、その実なんと42歳! 今時のメイクは詐欺レベルの威力である。しかも私は酔った勢いで結婚まで約束してしまった為、3カ月後の結婚式にてこの女と結婚しなくてはならないのだ!!
(マズイ! 何とか式までに婚約破棄をせねば!!)
私は市中を駆けずり回り、とあるお菓子を買い集めた!
政府が密かに資金集めの為に製造しているお菓子なのだが、なんと当たり付きで『金の壊れかけのエンヂェル』なら一枚、『銀の翼の折れたエンヂェル』なら五枚で密かに頼み事を頼まれてくれるのだ!!
私は祈りながら馬車に溢れんばかりに載せたお菓子を次々と開けた!!
──パカッ!
「外れ!」
──モグモグ……
──パカッ!
「外れか!」
──モグモグ……
──パカッ!
「くそっ、外れ!」
──モグモグ……
──パカッ!
「また外れ!」
──モグモグ……
──パカッ!
「外れぇぇ!!」
──モグモグ……
キチンとお菓子を食べるのを忘れないのが私のポリシーだ!
ピーナツ味に飽きたら次はイチゴ味!
キャラメル味は詰め物が取れちゃうから、個人的には舐めて溶かすかホットミルクに溶かすのがオススメだ!!
馬車半分ほどのお菓子を平らげた俺の目の前には銀が三枚。しかしまだ足りない!!!!
「ババァと婚約破棄するためにも、もっと俺にエンヂェルを!!!!」
俺は気合と根性と愛と誠と恋しさと切なさと心強さと愛と勇気と情熱と冷静の狭間で無心にお菓子を食べ続けた!!
―――そして式当日
俺は五枚のエンヂェルを手に、ババァと対面した。
「婚約は……は―――」
「このデブ誰なの!? 気持ち悪すぎて無理無理無理無理!!!!」
俺は、お菓子の食べ過ぎで体重が120kgを軽く肥えていた…………。
念願の婚約破棄をエンヂェル無しで叶えたが、俺の心には虚しさだけが残った。
そして、五枚のエンヂェルを封筒に……願い事は『痩せたい』とだけ書いた。
読んで頂きましてありがとうございました!
(*'ω'*)