469 決 戦 1
私とファルセットのふたりで王宮へ行き、王様達に情報提供。
そして時間節約のため、その場で他国への連絡文書を書いてもらい、私達が周辺国に届けて廻ることにした。
いや、早馬とかで知らせると、何日も掛かるだろうからね。
各国宛ての文書を受け取ると、4座小型艇に5人で乗って、配達に。
前席は操縦者の恭ちゃんと、この中で一番ガタイのいいファルセット。
後席に、身体が小さいレイアと私、そしてレイコの3人掛け。
今回は、レイアも付き合ってくれる模様。
但し、『歪み』が発生した場合以外は手出しする気はないらしい。ただ、退屈凌ぎに見物するだけだってさ。
まあ、他の担当者の担当エリアで勝手なことをするわけにはいかないのだろうから、仕方ないか。
「間もなく、最初の配達先の上空だよ~」
「了解! じゃあ、恭ちゃんは留守番お願いね!」
「りょ!」
安全のため、恭ちゃんは小型艇に乗ったまま上空待機をお願いした。
……そう、安全のために、ね……。
そして、私達4人はレイコの重力魔法で小型艇からふわふわと地上へ。
いや、さすがに王様の執務室にいきなり現れたりはしない。
そんなことをすると大騒ぎになって、無駄な時間が掛かるだけだからね。
ちゃんとお城の正門の前に降りて、門番さんに入れてもらうよ。
あ、4人でゾロゾロやって来たのは、アレだ。
まず、女神の御寵愛を賜りし巫女、ということになっている私は外せない。
そして魔法が使えるレイコも外せない。
護衛のファルセットがついてこないはずがない。
レイアが退屈凌ぎの見世物を見逃すはずがない。
そして安全のため、恭ちゃんは連れて来ない。
……うん、まあ、そういうコトだ。
「な、ななな、何者だっ!!」
立てていた槍を構え、真っ青な顔で私達を威嚇する、ふたりの門番。
……いや、そりゃ、怪しげな女が空から降りてくれば、警戒するだろう。
にこにこと笑顔で『ようこそ、王宮へ!』なんて迎えたら、馬鹿だ。
「怪しい者じゃありませんよ」
「「…………」」
まあ、そう言われて『何だ、そうなのか』って信じる奴はいないよ!
もしいたとしても、そういう奴は王宮の門番にしちゃ駄目だ。
「あ~、隣国の国王の遣いです。王様に、『空から御使いが降りてきた』と、見たままを報告してください」
門番が互いの顔を見合わせて、……そして片方が、だっ、と建物の方へと駆け出した。
もうひとりは、勿論私達を見張っている。
いくらこっちが小娘でも、ひとりで4人を相手にするのは大変……と思っていたら、すぐに応援が来た。
おそらく、報告に行った門番が途中で応援を頼んだのだろう。
うむむ、出来る門番だったか……。
まあ、王宮の門番を任されているのだから、それなりの能力はあるのだろう。
駆け付けた応援の兵士達は、血相を変えているけれど、私達に近寄ることも、声を掛けることもなかった。
……まあ、誰も危険物をつつきたいとは思わないよね。
特に、何かあった場合に責任を取るのが自分達である場合には……。
ただ、私達が無理矢理押し入ろうとした場合にのみ、命を懸けて阻止するつもりなのだろう。
別に兵士達を苛めたいわけでも、騒ぎを起こしたいわけでもないので、上の人が来るまで待ってるよ、ちゃんと……。
* *
そして、慌ててやって来た大臣に預かっていた文書を渡し、さっさと引き揚げ。
別に、王様に直接手渡ししなきゃならないわけでもないから、自分達が王宮に乗り込む必要はない。
これだけ騒ぎになっているのに、文書が途中で握り潰されて、なんてことにはならないだろうし、帰りの姿もみんなに見せてあげるから、私達が偽者だと思う者はいないだろうしね。
「レイコ、戻るよ!」
「了解!」
そして、レイコの魔法で空中に浮かび上がり、そのまま小型艇へと飛んでいった。
……勿論、不思議な光とか色々で、地上からスカートの中が見えたりはしないようになっている。
「「…………」」
護衛としての出番がなかったため御不満顔のファルセットと、全然面白いシーンがなかったためつまらなかった様子のレイアだけど、こんなことで護衛の出番があっちゃ駄目でしょうが!
そして、レイアが楽しめることって人間達が慌てふためいてあわあわするシーンだろうから、同じく、あっちゃ駄目なシーンだよ……。
* *
あれから、同じようなことを繰り返して、周辺諸国に文書を届けて廻った。
既に各国は兵を出して、危なそうな魔物の生息地やら国境近くやらにある程度布陣していたらしく、それぞれの軍に連絡の早馬を飛ばしていた。
「……これで、地元の人々は人事を尽くした、ってわけだ……」
「あとは、天命を待つばかり、と……」
レイコと恭ちゃんが言うとおりだ。
そして……。
「私が、ただ今御紹介に与りました、『天命』でございます……」
「「何でやね~ん!!」」
よしよし、このノリだ!
ピンチになる程、明るく楽しく!
……それが我ら、KKR!!




