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短編63

【べっびん煎餅】

世にも奇妙な、しかしありふれた噂話。H県M市の辺境にある、温泉と少しの果樹園があり、その近く。石焼き芋の歌が流れ出す夕刻。パジャマ姿の色白男性がイモを掲げる。「べっぴん煎餅一名様ごあんない」いもか煎餅か、適当な宣伝だが、惹かれるものがある。その名のべっぴん煎餅。




【べっびん煎餅2】

ここが噂の真骨頂。かく言う、色白男性は確かにこう言ったのだ。「売り切れごめん」と。意味深でもなく、綾がある訳でもない。何がおかしいって、客が一人もいないのに、締め切ったからだ。販売者が食べてしまったかもしれないが、そうなると自作自演で、痛い話である。真実はこう。




【べっびん煎餅3】

べっぴん煎餅の正体は、幽霊だったという、やはりありふれたオチだった。説明しよう。色白男性は言った。「一名様ごあんない」と。そして「売り切れごめん」そしてその後。男は夕闇に消えた。これが真実。これを見た人はさぞ顔面蒼白、べっぴん顔になっただろう。可愛い噂話である。




【チョコっと耳より】

チョコと言えば茶色のあれ、というイメージが強く持たれています。ですが、色や味の種類はたくさん出回っています。中には「茶色いチョコ以外はチョコだと認めない」という強いコダワリをもった人がいるでしょう。とはいえ、そんな派閥は少数派なので、多数は新しいものを求めています。結果、ホワイトもグリーンもピンクも受け入れれているのが現在のチョコ業界です。

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